2022年シーズン、投打の柱として福岡ソフトバンクホークスを支える、新キャプテン・柳田悠岐選手と開幕投手・千賀滉大投手にインタビュー。普段の息抜きやお互い相手に思うこと、今年のチームについてリモートで話を聞きました。今回は千賀投手編です。
—「開幕投手」への思いを聞かせてください。
1年間、チームの中心になって戦えというメッセージが込められているポジションだと思うので、それに対して責任をもって立ち向かいたいなと思います。
—エースとはどういう存在だと思いますか。
やっぱりそういう大事な試合とか節目の時に、チームのみんなから「行けよ」と言ってもらえる存在のピッチャーだと思います。
—千賀投手が注目している自チームの選手は。
ホークスはポテンシャルが高い若いピッチャーが本当に多いですし、自分の考えに凝り固まるのではなくどんどん考え方を上積みして、幅広い視点を持てれば、すごい結果を残しそうな選手がいっぱいいるなという印象です。誰、とかではなく、結構みんなそうじゃないかな。
—千賀投手自身、さまざまな媒体で勉強されていますが最近感銘をうけたものは?
もっと効率よく機能的に体を使えないかなと思って意識的にトレーニングできるようなジムへ行ったりはしています。あとは、やり投げの選手の方と練習をさせてもらう機会があったのですが、フィジカルの差がすごくて面白いなと思いました。野球選手ってほんまに体弱いなって(笑)。
やり投げは、僕たち野球選手が投げるボールより数倍重たい物を投げている競技ですし、圧倒的に力が必要なんですよね。「力の中の技術」というか。それに対して僕たちはどうしてもボールが軽いので「技術の中の力」なんですよ。その辺の違いが体作りにも現れていて面白いな、と。やり投げの人たちのボディーバランスがすごすぎて引きましたもん(笑)。
—体作りという面では、食事で意識されているところも?
僕は先発ピッチャーなので、登板日に合わせながら必要な栄養の取り方をしています。シーズン中は登板日から逆算して食事の内容を変える感じですね。
栄養士の方にアドバイスをもらいながらなのですが、登板前はエネルギーをより多く取れるように糖質を多めに。終わった瞬間からはタンパク質を増やして、筋肉の回復を促せるように、というのを繰り返しています。
—登板に向けてということで、ルーティンなどはありますか。
取り組む定番の練習メニューとかはもちろんあるんですけど、(ゲン担ぎ的な)こういうのをする、みたいなのは僕あんまりないですね。やればやるほど今まで裏切られてきたので…(笑)。別にもう関係ないか、と思って今は適当に過ごしています(笑)。
—後輩へのメッセージも印象的ですが、思い描く理想の先輩像みたいなものはありますか。
僕が「こういう先輩でいてほしい」と思う先輩というか、どんな会話であっても引き出しを多く持っていて、「そういう時ってこういうことが多いよね」とか、アドバイスをくれる先輩です。やってきた経験の中でしか分からない会話ができる人。
僕自身、自チームに限らずいろんな人と話をしたいと思うタイプで、積極的に交流するので、いろんな方と話をしながら、幅広くものを考えられたらなと思っています。
—オフシーズンハマったことはありますか?
ハマったことか~…。ハマった、まではいかないんですけれど、シーズンが終わるとやっぱりみんなゴルフに行くようになるんですよ。でも僕は正直、野球選手でいる間はゴルフの練習とかは全然行こうとは思わなくて。ただ僕ら世代になるとだんだんと同級生や年下の方が裏方さんになるんです。で、裏方さんになって行くゴルフは、僕もすごく行きたいなーと、うらやましく思ったので、野球を終えたら僕もあれくらいうまくなりたいなと、今年すごく思いました。
あと、お笑いもすごく好きで結構見ています。日頃見るのは相席食堂とか、あとはYouTubeで「さらば青春の光」さんとか「ジャルジャル」さんのネタとかですね。ネタ系は結構見ます! かまいたちさんとか霜降り明星さんとか有名なのは見ていますよ。
基本家のテレビの僕の分の録画は、お笑い番組しか録っていないです(笑)。
—漫画もよく読まれるとか。アニメも見ますか?
アニメは元からそんなに見ないんですよ。漫画はすごく好きなんですけど。あ、でも春季キャンプ中は久しぶりに「北斗の拳」のアニメをずっと見ていました。
見ていたら、オリックスのラオウ(杉本裕太郎選手)がよぎったんですが、「でも(ホームランを打った時にする)あのポーズって死ぬときのポーズだよな…いいんかなこれ…」とか思ってしまいました(笑)。
—癒やしになっているのはそういう時間ですか。
そうですね! 僕の中で「笑い」はやっぱり大事なポイントになっていると思います。あとは、子どもたちと公園で遊んでいる時間も僕は大切です。子どもから「野球しよう」と言われればすることもありますが、僕から「しよう」って言うことはまずないかな(笑)。
—野球人生のターニングポイントはどこでしたか。
僕が3年目の時、中継ぎで50試合投げさせてもらいました。一番ターニングポイントだと思えるのはそこかな。その年は、オープン戦中に体調を崩してしまったんです。先発の予定で準備していたのに、へんとう腺から熱が出てしまって、投げられなかった。そのまま2軍降格を言われたのですが「1週間後に中継ぎとして呼ぶから」と言ってもらって。それをきっかけに、中継ぎとしてオールスターに出られるぐらいまでになれたので、僕の中であのへんとう腺の風邪は大きかったなと思います。
それがあって1軍で本格的に投げさせてもらえるようになりましたし、1軍で活躍するにはまず中継ぎで投げさせてもらって「1軍っていうのはこういうものなんだ」というのを学ばせてもらう良い機会だった。だからあれが、一番大きなターニングポイントだったと思います。
—開幕戦を控え、打の柱として柳田選手に期待することは。
柳田さんとは本当に会話も多いですし、お互いに…あの、僕のことを認めてくれているかは分からないですけれど(笑)、僕はもう、圧倒的にすごい人だと尊敬しています。人としての器も大きくて、しゃべっていても面白い人。
日頃からこれはよく話しているんですが、柳田さんはずっと「2割ちょっと(の打率)で、ホームランは40本打ちたい」ってなめたことを言っている(笑)。だから「いや、3割は超えたうえでホームランも40本打ってくれ」って僕はいつも言っています(笑)。柳田さんにしかできないことをやってほしいと期待しています。
開幕戦ももちろんホームラン。打たなかったらビンタですね(笑)!
もっと知りたい! 千賀投手プロフィル
生年月日:1993年1月30日
身長/体重:186cm/92kg
血液型:A型
ニックネーム:僕は名字が独特なので、千賀って呼ばれることが多いですけど、年上の裏方さんとかは「せんちゃん」って呼んでくれたり…「がせん」って呼んでくれたり(笑)。選手からは「千賀」が多いですね。下の名前より上の名字の方が短いんで(笑)。
趣味:漫画を読むことと、お笑いを見ること。ずっと(漫画)「キングダム」が好きです。原(泰久)先生とも交流させていただいていて、「早く続き描いてほしいな」と思いながらお話させてもらってます(笑)。
好きな食べ物:焼肉とすしとイチゴ。イチゴ本当に好きです。
苦手な食べ物:トマトだけ! サラダとかに入っていたら、食べないというか…横にいる石川柊太さんにいつもプレゼントしています(笑)。
一番仲が良い選手は?:それはもう柊太さんですねやっぱり。感性がちょっと似ていると思うので、野球の話をしていても、あれがいいこれがいいって話せる。一番会話が多いんじゃないかな。
憧れの選手は?:僕がちっちゃい頃はやっぱりダイスケ・マツザカ(松坂大輔)とイチローさん。この世代はみんなこの2人がトップに来るんじゃないかな。