全身に血液を運ぶ血管にダメージが蓄積されるとどのような悪影響があるのでしょうか。一見繋がりのないように思える足と心臓について六本松 足と心臓血管クリニックの竹内一馬先生にお聞きしました。
【循環器専門医】六本松 足と心臓血管クリニック 竹内一馬先生
京都府出身。福岡大学医学部卒業。同医学部心臓血管外科講師、那珂川病院血管外科部長などを経て2018年「六本松 足と心臓血管クリニック」を開業。NPO法人「足もと健康サポートねっと」代表。健康は足元から、をモットーとした質の高い診療とケアが評判。
見えない血管が老いることで命に関わる疾患を引き起こす
全身の隅々まで血液を運ぶ血管に、老廃物が詰まるなどのダメージが蓄積すると、さまざまな疾患が引き起こされます。
例えば、脳の血管が詰まれば「脳梗塞」や「脳内出血」、心筋の血管に異常が起これば「心筋梗塞」や「狭心症」、足にできた血栓が肺に運ばれて詰まる疾患は「エコノミークラス症候群」など。どれも良く耳にし、後遺症の心配だけでなく命の危険もある疾患ばかりで、「血管を健康に保つ」ことが、いかに重要かがわかるのではないでしょうか。
血管は、年齢とともに固くもろくなります。古くなった輪ゴムを思い浮かべると分かりやすいでしょう。血管が劣化する原因は加齢だけではなく、喫煙や肥満、高血圧や糖尿病、脂質異常症、さらに遺伝なども考えられます。
放置しがちな「むくみ」に意外な大病が潜んでいるかも
血管を通じて、血液を全身に送るのが心臓です。心臓の機能は、「ポンプ」として動脈へ送り出すこと。足先まで行った血液が、静脈を通じて再び心臓に戻って来るまでには、「足の筋肉」の力が不可欠です。
足を動かさないことで血流は滞り、むくみから血栓症まで様々な異常が発生します。軽く考えられがちなむくみですが、実は原因が多岐にわたるため、医者にとっても診断が難しい症状です。心臓や腎臓、肝臓の機能低下や薬の副作用、タンパク質不足による水分バランスの異常、貧血や甲状腺の影響などに加え、コロナ禍においては出歩く機会が減ったことで、筋力低下によるむくみも増えています。
「足は第二の心臓」です。密接な関係にある足と心臓を同時に診ることで、隠れた疾患が見つかるかもしれません。むくみだけではなく巻爪、しびれなど、今までなかった「足の違和感」に気づいたら、軽視せずに早めの受診を。