4月1日が近づくと思い出す、あの出来事。私がまだ学生だったある日、友達から絶滅危惧種のペットを預かってほしいと言われ、何の動物か聞いてみると…。思いもよらない答えが!
幼少期の夢は“動物たちと暮らすこと”
私は子どもの頃から動物が大好きです。ケガをしている犬猫を見つけると家に連れ帰り、家族を巻き込んで手当をしたり、ごはんを食べさせたりしていました。
犬や猫だけではなく巣から落ちてしまったスズメやハト、カラスのヒナなども拾って帰りました。その度に手当てや、時には通院にも家族を付き合わせ支払いはもちろん両親。たまったものではありませんよね。
そんな私が高校を卒業したある日、同じく動物好きの友達から突然電話がかかってきました。
「旅行に行く間、ペットを預かって!」
彼女は少し前に愛犬を老衰で亡くしたので、新しい犬を家族に迎えたのだと思いました。わが家には大型犬がいたので、彼女の犬の犬種を尋ねると、意外な答えが…。
実在した?! 手乗りの〇〇
「サイやねん。けど大丈夫! 手の平の上に乗る小さな手乗りサイやから! ほんま小さいサイやから、ミルちゃん(飼っている犬の名前)だって気付かんよ。餌と水さえあげてくれたらほったらかしても大丈夫!」
は? サイ? 手に乗るサイ??
「大丈夫」を早口で連発する友達に、私も負けじと質問をぶつけますが… なんとも流暢に答えるのです。
「手乗りサイ? なにそれ?」
「え? 知らんの? めっちゃ流行ってるやん」
「どこにおったん?」
「ペットショップの絶滅危惧種コーナー」
「サイの餌って何あげるん?」
「その辺の雑草だけで大丈夫!」
驚きの真相とは
手乗りのサイなんて本当にいるのかな… と思いつつも、あまりにも自信たっぷりに話す友人を信じ
「いいよ! 夜には家に帰るから、とりあえず連れてきて!」と、私が友達に言い電話を切ろうとした瞬間、急に電話口の声が変わったのです。
その声はなんと! 誰もが知っている有名な女性芸人の2人。何がなんだかわけが分からない私と、なぜか大爆笑の電話の向こう側3人のテンションの差といったら…。
実はこれ、TV番組の収録だったのです。あり得ない嘘を誰かに言って、信じてもらえたら賞金ゲットできるというエイプリールフール企画。その日、大阪駅で芸人の2人に偶然声をかけられた友達が、私に電話をかけてきていたのです。
「お小遣いありがとね!」と声高らかにお礼を言われ、電話は切れました。携帯電話を片手に呆然と立ち尽くす私…。
え? 小さいサイは預からんでいいわけ? 嘘なん?
それからほどなくして、その番組を家族で見ました。友達と同じように「小さなサイを預かって」と知り合いに電話した5人のうち、誰がOKをもらえたでしょうか? というクイズ形式になっており正解は、美人女子大生枠の私の友達…。正解VTRとして、私たちの会話はすべて使われ、私の大ボケっぷりに正解VTRの中の芸人の2人も、番組出演者も大爆笑。友達は1万円の商品券の目録をもらい、それはそれは喜んでおりました。
その番組を見て、家族からは「ほんまアホやな」という目で見られました。ですがあの当時、闘病中だった父がお腹を抱えて笑い、そしてその父を囲み、同じく大笑いする母と弟の姿は今でも涙が出るほどいい思い出として、目に焼き付いています。
最後に一つだけ言わせてください。電話がかかってきたのは、エイプリールの日にはまだ早い、3月! さすがの私でもその日が4月1日なら、嘘ってわかったもんね!
(ファンファン福岡公式ライター/原田らむね)