初めての妊娠。子どもを望んでいた私と夫はとても喜びました。つわりも軽く、経過も順調でしたが…。まさか自分がスピード出産をすることになるなんて、この時考えてもいませんでした。
陣痛にソワソワする毎日
里帰り出産の私は、妊娠後期から実家にいました。寝る前の日課は、ネットでの検索。陣痛がどんなものなのか調べていました。友人からは
「陣痛はすぐ分かる」と言われていましたが、元々お腹の弱い私は、それに気付けるか心配でした。
迎えた出産予定日。ドキドキしながらの健診では
「あと1週間はかかりそうだね」と言われ、まだ産まれないのかぁ… と、呑気に家へ帰りました。
事態が急展開したのは、その2日後の朝です。目を覚ますと、キューっとするお腹の痛み。でもまだ産まれないだろうと言われているし、きっと前駆陣痛だと言い聞かせ、ゆっくり過ごしていました。
これは陣痛?
その日は夫が実家へ来てくれたので、気分転換に出かけることに。その頃にはお腹の痛みも無くなっていました。
「やっぱり前駆陣痛だよ、陣痛があんな痛さなわけない」と夫と笑ってはいましたが、気になるので、病院の近くの公園やショッピングモールを散策することに。
しばらく歩いていると、またキューっとした痛みがきます。5分おきもあれば1時間おきの時も。「これが陣痛?」と一気に不安になりましたが、痛みが10分間隔になったら病院へと言われていた私は、まだ痛みも不定期だからと、夫と散策を続けました。
夕方実家へ戻り、母にも話しましたが
「そんな痛みじゃ、まだだよ」と一言。母の言葉を疑うことなく、少しずつ増す痛みに耐えながら眠りにつきました。
陣痛はすぐ分かる、そんな痛みじゃまだ。そんな周りの言葉を鵜呑みにしていた私。この時、どんどんお産が進んでいることに気付いていませんでした…。
ついに来た出産の時!
痛みで目が覚めたのは明け方。大分痛みが増しており、お腹を押さえながら歩く程でした。時間を計ると既に5分間隔だったので病院に即連絡。その後、夫にも
「すぐには産まれないと思う」とだけ伝え、私は母の運転で病院へ向かいました。数分ごとにくる、息を止めてしまう程の痛み。「陣痛はそんなもんじゃない」と言っていた母も、「車で産まれるかも」とかなり焦ったそうです。
病院に着いた頃には、痛みで座り込む程に。うずくまっている私を見た助産師さんが
「これかなり進んでるね!」と、車椅子を持ってきてくれました。
その後すぐに分娩室で内診。
「もう全開よ。すぐ先生呼んでくるから」と、周りの助産師さん達が急に慌ただしく動き始めます。
「もう産まれるわ。立ち会い予定の旦那さん、間に合わないけどいい?」と聞かれましたが、それどころではなく必死に頷いたのを覚えています。
その後はあっという間。病院に着いてから1時間というスピード出産でした。
先生は、
「もう少しで家で産まれるところだったね。痛みに強い人、たまにいるんだよ」と笑っていました。私が
「陣痛はそんな痛さじゃないって皆に言われたから、もっと痛くなると思って我慢してた…」と言うと、
「ここまで我慢できる人は中々いない。痛みに強いのもいいけど、もし次があるならその時は気をつけて!」と笑顔で釘を刺されました。
夫が病院に着いたのは出産の約30分後。
「もう産まれたの!?」と驚く夫。立会いできず残念そうでしたが、赤ちゃんを抱っこしている顔はお父さんの顔でした。
出産は自分の思い通りにはいきませんね。私が言うのも何ですが、我慢しすぎは禁物ですよ!
(ファンファン福岡公式ライター / こんぺいとう)