伝統的工芸品「博多織」を守り、革新に挑む筑前織物3代目社長・丸本修司の新たなチャレンジ

 全国の伝統工芸品は1984年(昭和59年)に生産額がピークを迎えました。
 その後バブル崩壊に伴い長い経済低迷や国内外のファストファッション製品の台頭、ライフスタイルの変化などによって生産額も年々減少し、現在はピーク時に比べ5分の1程度の生産額になっていると言われています。
 そんな中、伝統を守りながらも革新に挑み続ける、筑前織物の取り組みについて伺ってきました。

目次

780余年続く博多織の起源とは?

 博多織の起源は鎌倉時代まで遡ります。博多織の始祖満田彌三右衛門が中国(宋)に渡り、6年間の滞在中に織物の技法を取得し、博多に戻り広東織と称し独特の技法を加えたのが始まりと言われています。さらにその約250年後、彌三右衛門の子孫、満田彦三郎が中国・広東へ渡り、織物の技法を研究して帰ったと伝えられており、その技法を竹若藤兵衛と共に改良工夫して織物を作り出しました。そしてその織物が作られたこの土地、博多の地名をとって、「覇家台織」(はかたおり)すなわち博多織と名づけられたと伝えられています。
 男帯にも定評のある博多織。多くの落語家が博多帯を締めて高座に上がるそうです。また、相撲界では幕下にあがると博多織を結ぶことが許されると言われています。

幕府に献上した『献上博多織』の特徴とは?

 博多織は繊細で美しい光沢の優雅な絹織物で、独特の張りがあって結びやすいのが特徴です。その由来は、慶長5年(1600年)黒田長政が筑前を領有するようになってから、幕府への献上品として博多織を選び、毎年3月に帯地十筋と生絹三疋を献上するようになったことから来ています。その模様は仏具の「独鈷」と「華皿」との結合紋様と中間に縞を配した定格に固定されていました。それ以前は単に独鈷、華皿浮け柄といわれていたものが、それ以来「献上」と呼称されるようになったのです。

独鈷(どっこ)

密教法具の一つ。真言宗では、煩悩を破砕し、菩薩心を表わす金属製の仏具であり、修法に用いられます。細長く手に握れるほどの大きさで、中程がくびれ両端がとがっています。

↑独鈷を図案化した模様

華皿(はなざら)

元来は仏具の一種。仏の供養をするとき、花を散布するのに用いられる器です。

↑華皿を図案化した模様

縞(しま)

献上の模様の「縞」には両子持(りょうこもち)と中子持(なかこもち)を使います。

↑両子持(孝行縞)
↑中子持(親子縞)

3代続く筑前織物とは?

 祖父である丸本正一が昭和24年に創業しました。元々、博多織の産地卸問屋からスタートし、昭和9年に福絖織物(筑前織物周船寺工場(現在)を設立、弊社でも博多織の生産が可能になりました。周船寺工場では今主流のジャガード織機だけでなく、昔ながらの手織り機も設置しております。そして、伝統工芸士を含む20代から70代のまでのスタッフが、意匠(帯のデザイン 組織)、製織、準備工程とモノづくりに携わっています。業界関係者によると、「ここまで若いスタッフが勤務している織元は少ない」と言われるぐらい、若手スタッフが活躍しています。

 これまでの実績としては、博多織工業組合主催の「博多織求評会」にて、内閣総理大臣賞を18回受賞しており、今年度も受賞いたしました。

3代目社長丸本修司の歩み

 1983年生まれで現在38歳です。福岡大学経済学部を卒業後、九州インターメディア研究所という福岡地場の会社に就職しました。ここではweb制作やデジタルハリウッドSTUDIO福岡の運営、クリエイティブな人材派遣などに携わっておりました。その後、稼業を継ぐために2年間博多織ディベロップメントカレッジという博多織クリエイター・プロデューサーを育成する学校に通い、この学校では、実際に織機を使って手織りの作品を制作し、合わせて日本文化、デザインなど勉強しました。その中で、モノづくりの楽しさ、苦労などを実体験することができました。そして、2019年に父から会社を引き継ぎ現在に至ります。

帯だけにはとらわれない柔軟な発想から生まれ数々の作品

 博多織は、帯は勿論のこと、テキスタイルデザインとしても注目されています。 これまでにホテルや様々な企業様とコラボレーションしてきました。例えばインテリアとして、2013年に博多駅前に開業された「JR九州ホテルブラッサム博多中央」様のエントランスロビーに博多織のアートワークで装飾させて頂きました。

 他にも「エスペリアホテル博多」様のベッドボードや室内の額装の生地をオリジナルで製作させて頂きました。

 また面白い取り組みとしては博多では超人気ラーメン店の「博多一双」様のラーメン丼を弊社の伝統工芸士がオリジナル献上柄でデザインして、どこにも無いラーメン丼となりました。

筑前織物のこれからの展望

 やはり一番は博多織の帯を結んで、もっと多くの人に着物を楽しんでもらいたいですね。ただ、それだけではなく博多織の裾野を広げられるように色んな可能性を模索しています。その一つが時計メーカーのKnot様とのコラボレーションです。

 Knot様とは日本各地に息づくモノづくりの伝統を世界へ伝えたいというコンセプトの元、お声かけかけていただき、博多織の帯地を使った博多織の時計ベルト制作からはじまり、スターウォーズコレクションの企画にも参加させて頂きました。

 この様に博多織ならではの、織り方や柄の魅力をもっと多くの方に知ってもらうために、筑前織物では、異業種アーティストとのコラボした製品の開発など積極的に行っていきたいと考えています。是非、ご興味ある方はいつでもご連絡いただきたいと思っています。

企業情報

筑前織物株式会社

住所:福岡市博多区博多駅東2丁目6番24号 
代表取締役社長:丸本 修司
会社設立:昭和25年2月

※この記事内容は公開日時点での情報です。

著者情報

福岡のベンチャー企業「ラシン株式会社」が運営しています。福岡の中小企業、個人事業主さんの紹介を行なっています。

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