「あなたがいなくても会社はまわる」突然の育休切り 本当の敵は女性

子どもが1歳を過ぎると控えている育休からの職場復帰。子どもを保育園に預けて仕事の再スタートを切るという方も多いのではないでしょうか。私は職場復帰のはずが、思わぬ人生の転機となってしまい、悔し涙を流した経験があります。

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復職面談で放たれた強烈な一言

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 春、3人目の育休からそろそろ復帰という時期に、会社から面談の打診がありました。
これまで一緒に働いていた所属部の部長は異動となっていて、新しい部長は面識のない人でした。
 
 私は「緊張するな…」と思いましたが、過去2回は同じ部署に時短勤務で復帰していたので、「今回も同じところに戻れるといいな」と軽く考えていたのです。

 ところが面談当日、部長からは
 「〇〇営業部に異動してもらう」と、まさかの宣告をされました。営業部では顧客対応が必要なため、土日や深夜までのシフトをこなさなければなりません。夫も土日勤務がある仕事だし、子どもどうしよう… 一番下はまだ1歳なのに、夜23時までの勤務なんて絶対に無理だ…。

 私は、ショックで混乱する頭でぐるぐると考え、
 「子どもが小さいので、〇〇営業部での勤務は難しいです」となんとか答えました。

 すると部長は、勝ち誇ったような表情で、
 「これまで子どもが小さい社員の深夜勤務は免除してきたけれど、他の社員の負担になっている」
 「そんなに子どもといたいなら、まだ復帰はしなくても良いんじゃないか? あなたがいなくても会社はまわります」と言ってきたのです。

 私は、悔しくて涙が出そうになるのをこらえながら、ただうつむくことしかできませんでした。

一緒にしないで! 本当の敵は…

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 面談には、所属部の課長も同席していました。
 この課長は小学生の子どもを育てながら管理職をこなすワーママで、「多少は私の状況をわかってくれるかもしれない」とひそかに期待していました。

 ところが、それは大きな誤算でした。
 課長は誇らしげな表情で嬉々として話し始めました。
 「うちの子も今日熱出してるけど、義母に見てもらってるよ」
 「Mさん(会社の同僚)もお子さん1歳だけど、遅番シフトも土日勤務も頑張ってるよ。あなたも復帰するならそれくらいの覚悟で仕事をしないと」

 その言葉に、ショックを通り越して怒りが湧いてきました。
 (いやいや、あなたみたいに義母近くに住んでないから。Mさんだって実家と徒歩10分の近居だし、子どもの送り迎えから晩御飯まで全部お世話してもらえるような人と比べないでください!)心の中で精いっぱい毒づきました。

 同じワーママと言っても、頼れる実家や夫の協力体制など境遇は人それぞれです。
 恵まれた境遇のワーママ課長には、頼れるところのない私の主張は理解できなかったようです。

私の決断

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 結局、私は10年以上勤めた会社を辞めることにしました。
 退職届は
 「そうですか」の一言で受け入れられ、迷惑な社員が退職してくれて、せいせいすると言わんばかりでした。
 職を失うことに不安はありましたが、恵まれた境遇のワーママと同じ土俵で比較され、子どもに負担をかけてまで働くなんてまっぴらです。

 「こんな考えの上司が仕切っている会社なんて、辞めて正解!」と割り切って、前に進むことにしました。

 現在の私は、育休中に取った資格を生かして新たな職に就いています。前職よりも楽しく、子育てとも両立しながら働けているので概ね満足しています。
 1年前の復職面談は、思い出すと今でも悔しい気持ちになる苦い経験ですが、「結果オーライ」と笑い飛ばせる日も近いのではないでしょうか。

(ファンファン福岡公式ライター/demi)

※この記事内容は公開日時点での情報です。

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