能楽・喜多流を継承する塩津哲生さん、塩津圭介さんが出演する「第七回 塩津能の會(かい) 九州公演」が11月14日(土)、大濠公園能楽堂(福岡市中央区)で上演されます。
演目は、舞囃子「山姥」と能「天鼓」
喜多流とは、江戸時代初期に流祖・喜多七太夫長能が打ち立てた能楽の流派で、観世流、宝生(ほうしょう)流、金春(こんぱる)流、金剛流と並ぶ、能楽五流の一つです。豊臣秀吉や福岡藩黒田家の庇護を受けていました。 今回の演目は、舞囃子「山姥(やまんば)」と能「天鼓(てんこ)」。 この秋は、日本の伝統芸能である能楽の深遠で趣のある世界に触れてみてはいかが?
山姥(やまんば) あらすじ 信州善光寺参りをする都の遊女・百萬の一行が上路越の難路をたどるうち、にわかに暗くなり途方に暮れていたところ、今宵の宿を貸そうと一人の女が呼びかける。女は、百萬が百萬山姥と呼ばれる当たり芸「山姥の山巡り」の曲舞を聞きたいと告げる。女は山姥の化身だった。「どうせ謡(うた)うなら、月の出でを待て。私の真の姿をお見せしよう」と言い捨てその姿は消え去る。夜、深山幽谷の景色を眺めつつ、山姥が現れる。恐怖を抑え、百萬は曲舞を謡う。妄執の心を抱き、永遠に山を巡り続ける山姥。名残(なごり)を惜しみつつ、峰や谷を翔(かけ)り、その姿は消え失せる。 今回はクライマックスの山姥の舞の部分を舞囃子(能の一部を紋付袴姿で囃子と地謡と共に演じる形式)で披露されます。豪快、壮大、親和、変幻自在の技を尽くした曲舞といわれます。
天鼓(てんこ) あらすじ 後漢の時代、天鼓という青年が天から降った鼓(つづみ)を愛していたところ、その妙音が噂になり、帝はこれを召し上げようとしたが、天鼓は惜しんで鼓を抱き山中へ逃げた。発見された天鼓は勅命に背いた罪で漏水の底に沈められてしまう。しかし、内裏に運ばれた鼓は音を立てないので、親子ならばと父・王伯が鼓を打つよう召喚される。わが子を死罪とした帝の前で、万感の思いで老父が子の形見の鼓を打つと、鼓は妙音を立てた。これを見た帝は親子の情愛を哀れみ、金銀財宝を下賜した上、天鼓の霊を管弦講で弔った。すると、天鼓の霊が現れ、歓喜の舞を舞い、鼓に戯れながら消えてゆく。 前場、老父王伯のわが子を思う悲痛な心情と、後場、天鼓の霊の純真無垢な舞の対比が楽しめます。
出演者紹介 塩津哲生、塩津圭介
塩津哲生 1945年 1月22日熊本市生まれ。能楽シテ方喜多流職分。日本能楽会会員 1986年 重要無形文化財(総合指定) 1990年 国立能楽堂養成課シテ方主任講師を勤める 2006年 芸術選奨文部科学大臣賞受賞 2007年 観世寿夫記念能楽賞受賞
塩津圭介 1984年10月27日東京都生まれ。能楽シテ方喜多流職分、塩津哲生の長男として東京に生まれる。 三歳で初舞台を踏み、現在、喜多流能楽師として活動中。 1992年に初シテ(初主役)、2011年に若手の登竜門「猩々乱(しょうじょうみだれ)」を初演。 2015年に能「道成寺(どうじょうじ)」を勤め、独立。 能楽協会東京支部会員。十四世六平太記念財団評議員。父塩津哲生師に師事。 東京学芸大学 教育学部卒業。APU立命館アジア太平洋大学非常勤講師。 「若者能」を企画、出演。フランス、イタリア、アルジェリアなど海外公演にも多数出演。
第七回 塩津能の會 九州公演
日時:11月14日(土) 13:30開演 (終演16:30予定) 場所:大濠公園能楽堂(福岡市中央区大濠公園1-5) 演目:舞囃子「山姥」、能「天鼓」 料金:正面特別席1万円、正面指定席7,000円、脇正面指定席5,000円、中正面指定席4,000円、正面自由席6,000円、脇正面自由席4,000円、中正面自由席3,000円 予約・購入方法: [1] インターネットで予約 喜多能楽堂ホームページ(http://kita-noh.com/ticket)から [2] 電話で予約 専用ダイヤル:03-3491-8813(受付10:00〜18:00/定休あり) 問い合わせ:塩津能の會 事務局 電話:03-3330‐6803