現在、0歳の男の子を育てている新米ママです。勤め先は子育て支援が充実していることで有名な会社。産後の職場復帰率も90%を超え、働くママにとっては理想的といえる環境でした。しかし、私の上司はそんな職場に対してひそかに疑問を持つ「隠れマタハラ上司」だったのです…。
子育て世代に優しい会社
私の勤め先の会社は、つわり休暇や保育手当の支給が充実していることから、出産後も職場に戻るママさんがほとんど。「女性が働きやすい職場」として、メディアにもたびたび紹介されていました。
入社5年目で妊娠が発覚。しかし、その時期は育休中の社員がほかに2人もいたため「ただでさえ忙しい時期に、私含めて3人も抜けると迷惑かけてしまう」思い悩んだ私は、妊娠4カ月になっても報告できずにいたのです。そんな私の様子の変化に最初に気づいてくれたのが、当時の男性上司でした。
私の体調を考慮して、上司から部署内に私の妊娠を伝えてもらいました。早い段階で引き継ぎの段取りを整えてくれた上司には、感謝してもしきれませんでした。「やっぱりこの会社に入ってよかった」その時は、心からそう思ったのです。
上司の突然の豹変に驚愕
安定期が過ぎたころ、これまでなかった吐きつわりが酷くなりました。ある朝、嘔吐が止まらず自宅のトイレから出られない状態に。さすがに出勤できないと思い、上司へ「つわり休暇」を電話で申請した ところ、驚きの言葉が返ってきたのです。
「出社できないほど辛いの? 頑張って来られない?」平然と尋ねる様子に、思わず絶句。あの優しい上司の口からそんなことを言われるなんて…。
上司はその後も、本当に来れないのか何度も執拗に聞いてきました。頭も回らなくなってきている状態で、つわりの辛さを説明することは本当に辛かったです。息も絶え絶えになりながら伝え続けると、上司はしぶしぶ了承してくれました。が、最後にこう告げて電話が切れたのです。
「つわりぐらいで休みを申請したのは、君が初めてだよ。ほかの会社だとこんなに甘くないからね」
あまりの上司の変貌ぶりに、何も言い返せなかった自分が情けなくて、その日は1日中泣いてしまいました。
つわりの辛さを理解していなかった
翌日、出社すると上司は明らかにイライラしていました。まずは昨日の体調のことを説明しようと、恐る恐るデスクに向かうと、気づいた上司は私にだけ聞こえるように、こう吐き捨てました。
「昨日は、誰かさんが本当に休んじゃうから忙しかったよ!」
その言葉のあまりの冷たさに固まる私。「迷惑をかけたのは本当だけど、会社の権利を使って何でここまで言われるの…」確かにつわり休暇を取ったのは私が初めてでしたが、悔しさで涙が溢れそうでした。異変に気づいた先輩が私をそっと連れ出し、トイレで話を聞いてくれました。
「ありえない! そんなこと言われたの?!」激怒した先輩が人事部に報告したことで、上司はマタニティ・ハラスメント研修を急遽受けることに。その後の人事部からの説明では、どうやら上司は、以前から会社の妊産婦へのサポートは過剰すぎると思っていたようです。それでも会社の方針だからと従っていたところ、私がつわり休暇を取ったことで、思わず本音が出たようでした。
その後、上司からは謝罪を受けましたが、心の内では妊娠出産を軽んじていたことを知ってしまい、気まずいまま産休に入りました…。今回のことから、育児支援に積極的な会社でも、上司の考え方によって受けられるはずの待遇が正当に受けられないことをまざまざと思い知らされました。
(ファンファン福岡公式ライター / kinkuma@)