チョビは今時珍しい「テレビっ子」だ 【サ日記】

 お久しぶりです。福岡のベテラン猫・サニです。

 すっかり春らしくなってきたように見えて、案外寒い日もありますニャ。飼い主は、暖房を早々と片づけて後悔しとるぞ。

 とはいえ、気持ちの良い晴れた日はおれも後輩のチョビも外出したくなるみたいだ。

  飼い主の中でもJはぼんやりしてマヌケだから、ドアを開けたときにこっそり忍び寄って足元を抜けるのは簡単だ。きのうはおれが出たことに気づきもせんで、後から「サニがおらん」と騒いでおった。

 それで、おれはすぐに帰ってきたのに、誰も気づかずしばらく放置された。

 チョビも5か月前まで野良だったこともあり、外に出たがる。よく庭の草花の匂いをかいでいる。人間が捕まえようと近づくと、「シャーっ」と火を噴くような声を出す。けっこう気が荒い。

 草木の中に分け入って冒険しているつもりかもしれんが、しょせん家の庭の中だ。

 飼い主が「チョビ、チョビ」と呼んでいるが、帰るつもりはないらしい。

 仲の良くない黒猫双子がいないので、落ち着いている。

 けっこう手足が長いのがチョビの特徴だ。家のすぐ近くまでは来たが、まだ入らない。

 おれは飽きたから部屋に戻るぞ。油断してると、すぐ変なやつらがやって来るので、警戒して入る。

 戻ってきたチョビも外が気になるようだ。

 チョビのおかあさんが面会に来ている。

 「元気そうで安心したよ」と去っていく。おなかが大きいみたいで、飼い主は「また庭で赤ちゃんを産むんじゃないか」と心配しているが、そう言い出してから1か月以上経つような気がする。ただ肥っているだけなのかもしれん。

 果たして、チョビにきょうだいができるのか。

 それにしてもチョビは若いだけあって、元気があり余っておる。勝手にひもで遊ぶ分には良いが、

 ソファをガリガリしたり、爪とぎのしかたも激しくて段ボールの紙が部屋に飛び散って困ると言われている。

 食い入るように熱心にテレビの画面に見入ることもある。

 とくに生き物が出る映像のときは、近くに寄って行く。

 チョビは未熟者だから、この中に本物の鳥が居るんだと思っている。

 岩合光昭さんの「ねこ歩き」やっているときなど、しきりに中の猫を引っ掻くようなしぐさを見せる。

 経験豊富なおれは、テレビが現実ではないことを知っているが、チョビをがっかりさせたらかわいそうなので、何も言わん。

 チョビとおれとはおじいさんと孫くらい年が離れているが、どうも兄弟くらいと勘違いしているじゃないかと思う。

 疲れがちなおれがこうして寝そべっていると、すぐに遊んでくれとやって来る。

 黙って座っている分には問題ないが。

 なんか知らんが、おれのことを押さえつけたがる。おれはどこにも行かんがな。

 どうしてもめんどくさくなったときは、飼い主の膝の上に避難する。チョビはまだ完全には慣れておらず、飼い主には寄って来ないからだ。

 おれに相手にしてもらえんと、読者さんからいただいたたい焼き君と仲良くしているようだ。

 これは、「こっちに来い」と呼んでいるのか、手の長さを自慢しているのか。

 お前さんもかなり眠そうだが。

 昼寝なら邪魔にならんから一緒におってもいいぞ。

 チョビはおれより睡眠時間が短いのか、時々目を開ける。

 長いこと寝たら腹も減る。こうやって無言で飼い主をにらむ団体交渉をチョビも心得てきた。

 ちゃんと、結果が出た。無心にいただく。

 食足りて礼節を知るおれたち。チョビが乗っているのはパソコンの上。

 パソコンの上は居心地が良いので、ついつい乗りたくなるが、「毛が入り込んで故障する」と怒られる。

 このハサミには、「ネコ用」と書いてある。生えさを開けるときに使うので、そのだし汁、匂いがつくそうだ。なので、おれも親近感がわくはずだ。

 きょうもいっぱい書いて疲れたんで、ぼちぼち失礼するからニャ。

※この記事内容は公開日時点での情報です。

著者情報

福岡市南区在住。サバトラ柄。熟年オス猫。雑種だが、アメショーの血が入っていると思っている。
ふてぶてしさが身上の甘え上手。
推定5歳か6歳の頃、今の飼い主宅に上がり込み飼い猫に。それ以前は不明だが、数百メートル離れた公園にいたとの不確かな情報。おととしの暮れ、孫娘のようなキジ白猫チョビが弟子入り。
世の中の動きに敏感なものの、とくに行動はしない。

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