福岡市地下鉄梅林駅2番出口から高架沿いに徒歩約6分、梅の並木道を抜けた住宅街に突然現れるログハウス。手作りの味にとことんこだわるカフェダイニング「ログキッチン」（城南区梅林）は、地域の人や福岡大学の学生に愛される町の「ホーム」的存在です。
飲食店なのに大通りに面しておらず、福大のグラウンド横の奥まった場所にある訳は、ここが以前は、大学の学生寮の食堂だったという歴史を知り、納得です。
「両親が30年前に建て、多くの学生の面倒を見てきた食堂でした。ログハウスにしたのは『どうせ建てるなら学生が楽しくなるような、目立つ建物を』という単純な理由だったそうですが、親が寮をやめることになり、せっかくの建物がもったいないと私が受け継ぎ店にしました」とオーナーの松永幸さんは話します。
2013年からカフェダイニングとしてオープンした同店は、学生や大学病院関係者のおなかを満たすだけでなく、地域の人のオアシスとしても愛されています。
若い人や忙しい病院関係者に「添加物や保存料を使わない手作りの味で、健康的にたらふく楽しんでほしい」と、副菜もしっかりついたボリュームのあるメニューが並ぶ中、一番人気は熱々のスキレットで提供される「チキン南蛮＆手ごねハンバーグ」（980円税込み）。
「チキン南蛮がなぜか医大生の間で人気になり、それから研究を重ねて現在の味が完成。お客さんのリクエストに応えたり、意見を参考にして生まれたメニューが多いんですよ」と笑う松永さん。店と来店者の間に、温かいコミュニケーションがあるのがうかがえます。
チキン南蛮は、あっさり食べられる鶏胸肉を塩こうじに漬け込むことでプリッとジューシーにしているとか。甘酢ダレやタルタルソースも自家製で、特にタルタルソースには店で漬け込む玉ネギピクルスを使い、その深みのある味と甘さが特徴です。 鶏肉は仕込みの時に1度揚げを済ませ、注文時に2度揚げして衣のカリッと感を引き出すそうです。 ハンバーグは、牛肉と豚肉のミンチのうち、豚肉のみを粗びきにして、肉の存在感を残しごろっとした食感を実現。赤ワインを煮込んだデミグラスソースも味わい豊かです。
メインだけでなく、付け合せにも松永さんのこだわりが光ります。サラダのドレッシングや冷やっこのジャポネソースも自家製で、どちらもしょう油風味ですが、味わいはそれぞれ全く違います。 さらにこの日の日替わりスープはチキンスープでしたが、既成のコンソメとはあきらかに違う、優しく深い味わいに思わず「うまい！」の声が出てしまいました。
「チキン南蛮で使わなかった鶏の皮でとったスープなんですよ」と松永さん。学生向けだとつい濃い味を想像してしまいますが、どれも手作りの優しさ、気配りが感じられるおいしさでした。
ごはんは並盛り150gが基本で、中盛り300ｇ、大盛り400ｇまで無料サービス。なんと特盛り500ｇでも＋120円という安さはさすが学生街です。
冬季限定の「自家製ホットジンジャー」（480円）は、体がぽかぽか温まる癒やし系ドリンク。秋の新ショウガの時期に、薄切りのショウガをテンサイ糖で煮詰めて漬け込んだジンジャーシロップを使い、なくなったら提供終了。 水を使わず、ショウガの水分だけで仕込んだシロップは、ショウガの味がふくよかです。カップの底に薄切りのショウガが沈んでいるのでそっと混ぜ、時折かじってピリッとした辛味を味わいます。
スイーツメニューも人気で、ガトーショコラやチーズケーキなどのケーキとドリンクはセットで700円、午後1時以降ならホットコーヒーはおかわり無料というサービスもうれしいですね。 自家製プリン付き「お子様ランチ」（680円・小学生以下のみ）は子連れにも好評で、メインを手ごねハンバーグ、ふわとろオムライス、チキン南蛮から選べます。
明るく話し上手な松永さんと、まるで別荘のような雰囲気のログハウス。その温かい空間で心もおなかも満たされた気分になれますよ。
チェックポイント ・座席…カウンター3席、テーブル16席 ・個室…なし ・平均予算…1,200円 ・駐車場…5台
ログキッチン
住所：福岡市城南区梅林2-26-11 電話：092-864-0080 営業：11：30～17：00、水曜～15：00、土曜～16：00 日曜・祝日休 インスタグラム ＠log_kitchen
