子どもを出産する前は、夫の両親とは良好な関係でした。実家に頼れない私は、「泊まり込みで産後の手伝いに行く」と申し出てくれた義母の厚意に甘えることに。ところが、一緒に生活するうちにお互いの細かいところが気になってきて…。ついには茶わんに食べ残したご飯粒をめぐって、ピリピリした空気に!
家中を掃除し始めた義母。家事へのダメ出しも…
義母は家事も仕事もテキパキこなす、しっかり者。 私が初産を迎えるにあたり、義母は2週間仕事を休んで手伝いに来てくれることになりました。産後の生活が不安だった私は、喜んでお迎えしました。
産後の体調は思いのほかよく、赤ちゃんの世話は沐浴(もくよく)も含めてほぼ自分でできたので、義母には主に家事をお願いすることに。とはいっても、食事は宅配のおかずを頼んでいて、基本的にはご飯を炊くだけ。実際にしてもらったのは、洗濯やゴミ出し、買い物くらいです。
それでも十分助かっていたのですが、働き者の義母は手持ち無沙汰だったのでしょう。そのうち家のあちこちを掃除し始めました。便器の後ろ側やトースターの中、ベランダまで…。
私が
「冬場は雪も積もるし、ベランダには誰も出ませんから。掃除しなくても大丈夫です」と言っても聞きません。
それでもやりたければ、やってもらっても構いません。しかし、終わった後で必ずといっていいほど
「すごく汚れてたわよ。普段は掃除してないのかしら?」などと、嫌みのように言われます。
夫は残業で帰宅が遅くなりがちで、家にこもって義母と赤ちゃんと過ごす日々。初めはお礼を言って嫌みは聞き流していたのですが、だんだんストレスがたまってきていました。
そして、ある日の夕食を食べ終えたとき、突然、義母に指摘されたのです。
茶わんに食べ残したご飯粒をめぐって険悪な空気に
「ご飯粒、いつも何粒か食べ残してるのはなんで?」
「はい?」 改めて自分の茶わんを見ると、確かに食べ残しのお米が2、3粒付いています。
義母はなおも続けます。
「うちの子たちには小さい頃から、ご飯は最後の1粒まできれいに食べるように、しつけてあるの」
「でも〇〇さん(夫)、しょっちゅうご飯食べ残してますけど」 私はムッとして思わず言い返してしまいました。
新生児の世話で必死な中、ご飯粒にまで気を使って食べる余裕などありません。あら探しをされたようで腹が立ちました。ピリピリした空気を漂わせたまま、私たちはそれぞれの部屋に引っ込みました。
その日の夜遅く、夫が帰ってきて1人で食事をしていました。食べ終えた茶わんを見ると、案の定、ご飯粒がたくさんくっ付いています。私は食器を流しへ持っていくと、夫の茶わんだけ洗わずに置いておきました。
われながら、これ見よがしで意地の悪いことをしたなと思います。家にこもりきりの生活をしているうちに、視野がすっかり狭くなっていたのです。
翌朝、赤ちゃんに添い寝してウトウトしていると、引き戸の向こうから夫の声がしました。
「ねえ母さん。なんで俺の残したご飯食べてんの?」 お義母さん、もしかして証拠隠滅しようとしてる!?
「ああ… いいじゃないの」バツが悪そうに言いよどむ義母。
「ねえねえ。なんでかって聞いてんだけど」事情を知らない夫は、しつこく追及しています。親子のやりとりを聞きながら、私はひとりニヤリとしてしまいました。
2週間後、自宅に戻った義母はしばらく寝こんでしまったと、義父から聞きました。一緒に暮らした2週間は、義母にとっても相当なストレスだったようです。
ほどよい距離での付き合いに戻ってからようやく、義母がそばにいてくれて心強かったと感謝でき、心労をかけてしまったと申し訳なく思いました。
数年後に第2子が生まれた時には、義母から手伝いの申し出はなく、こちらもお願いせずに夫婦で乗りきりました。
(ファンファン福岡公式ライター/konoha*)