極上のポップソングが詰め込まれた劇団四季のミュージカル「マンマ・ミーア!」が10月1日から、キャナルシティ劇場(福岡市博多区)で上演中です。福岡では2007年の初演から約13年ぶり。主人公の娘・ソフィ役の一人、三代川柚姫さんに作品や思いについて聞きました。
「ハッピーでエネルギーに満ちた舞台です」(三代川さん)
―ミュージカル「マンマ・ミーア!」の魅力とは。 とにかくハッピーでポジティブなエネルギーにあふれている作品です。歌われる楽曲は、全て世界的ポップスグループABBA(アバ)のヒットナンバーで、誰もが一度は耳にしたことがあるような名曲ばかりです。これは他のミュージカルと違う、大きな魅力の一つだと思います。 ―ソフィとはどんな女性ですか。 明るく元気で天真らんまん、何事にも物おじしない、母親ゆずりの強い意志を持った女性だと思います。 ―これまで出演した作品や役と大きく違う点は? 今回の福岡公演で「マンマ・ミーア!」に初出演させていただきましたが、今まで出演した作品より1人で歌うナンバーや、物語を進めていく重要なせりふも多い役です。責任とプレッシャーを日々感じていますが、周りの先輩方に助けていただきながら、一人の登場人物として、その瞬間を生きられるよう心掛けています。
―印象的なセリフや場面を挙げると? 結婚式の直前に母ドナが歌う、「手をすり抜けて」です。娘のソフィにウエディングドレスを着せながら歌う曲なのですが、これまで母と娘2人で過ごしてきたいとおしい日々を、大切に思いながら過ごすシーンです。観劇する時には、いつも涙があふれてしまいます。 ―お気に入りのナンバーは。 「ダンシング・クイーン」と「音楽をありがとう」です。 ABBAの中でも、もともとよく聞いていた曲で、元気をもらえる美しいメロディーと温かい歌詞が好きです。母がABBAを好きだったので、子どもの頃からCDを聴いていました。ミュージカルを初めて観劇した時は、どれも知っている曲ばかりでとても楽しかったです。ソフィ役のオーディションを受けた時には、映画を見て、役のイメージを膨らませました。
―コロナ対策下での稽古の様子はどうでしたか。 マスクやフェースシールドを着けて稽古をしていました。自分の声がどのくらい出ているのか感覚が分からなかったり、ダンスシーンなどは息苦しかったり大変でした。感染症対策で稽古中の小まめな手指消毒や換気はもちろん、稽古前後の椅子や床などの消毒も皆で徹底して行いました。 ―「マンマ・ミーア!」の楽しみ方を教えて。 誰もが過去に経験したことがあるようなノスタルジックな物語でもあり、どの世代の方にも共感してもらえる作品です。最後のカーテンコールはお客さまと一緒に盛り上がれる時間です。思いっきり楽しんでください!
―福岡の読者にメッセージを。 新型コロナウイルスの影響で公演中止が重なり、今回半年ぶりに福岡公演を再開することができました。劇場は“人生の素晴らしさ”を再確認する場所であり、泣いて笑って感動して、生きていくために必要な時間が詰まった場所だと思います。こんな時だからこそ鮮やかで華やかな「マンマ・ミーア!」で笑顔になっていただけたらうれしいです。皆さまの期待を裏切らないようなエネルギーに満ちた舞台をお届けしたいです。
みよかわ・ゆずき
「ライオンキング」の観劇をきっかけに舞台に興味を持つ。バレエ、ジャズダンス、タップダンス、声楽、演技のレッスンを重ね、子役時代に「ライオンキング」ヤングナラ役に。16年劇団四季研究所入所。「嵐の中の子どもたち」で初舞台を踏み、 18年から「キャッツ」シラバブ役を演じている。