ボーナスといえば夏の楽しみ。私と夫がワクワクしながらボーナスの話をしていたせいか、わが家の息子は意味を勘違いしました。今回は、息子の平和な勘違いによって、家族みんなが笑顔になった出来事をお話しします。
息子の素朴な疑問
6月に入り、私と夫で
「ボーナスっていつ支給だっけ?」
「毎年なのに日にち忘れちゃうよね~」と、話していました。隣でテレビを見ていた3歳の息子。聞き慣れない単語が気になったのか
「ボーナスって何?」と首を傾げます。
「頑張って働いている人がもらえるご褒美だよ」そう答えると、ふーんと納得した様子。
「俺ももらえるかなあ?」などと微笑ましいことを言うので、笑いながら
「もらえるといいね」と答えました。
おそらくこのとき、息子の中でボーナスは形のある贈り物として認識されました。誕生日プレゼントやサンタさんからの贈り物のようなものです。その約2カ月後、息子は思わぬ形で「ボーナス」と遭遇することになります。
親戚宅で遭遇した「ボーナス」
お盆に、夫の叔父宅へ遊びに行くことになりました。隣県の叔父宅は、もともと夫の祖父母が住んでいて、祖母が亡くなったあと叔父家族が移り住みました。その年は祖母の7回忌だったため、叔父に「お線香をあげにおいで」と誘われ、お邪魔することになったのです。
お盆期間に、夫と私と息子の3人でお邪魔します。叔父夫妻には成人済みのお子さんがいますが、幼い子どもは久しぶりだったようで、来訪を喜んでくれました。息子は、初めての場所に戸惑いつつも興味津々。家は大きな日本家屋で、土間の玄関だけでも、マンション住まいの息子には物珍しいようです。ゲームのダンジョンにいる気分だったのでしょう。
「探検したい」と、口にします。
「よそのおうちだからダメだよ」と止めたのですが、叔父が気を利かせ
「じゃあ案内してあげようね」と、客間や縁側を見せてくれました。
客間に飾られた掛け軸や、広々とした縁側。縁側から見える立派な松など、息子の目には新鮮で、瞳をキラキラさせています。最後は縁側の隅にしつらえられた盆棚に案内されました。
「最後はここでお線香をあげようか」叔父か言います。盆棚を見つめていた息子が
「あ!」と叫び、お供え物を指しました。
「これ知ってる! ボーナスだ!」ボーナス? はしゃぐ息子は、宝物を見つけたかのよう。指差す先を確認すると、精霊牛がありました。棒をナスに差した精霊牛。棒とナス。まさしくボーナスです。
息子へのボーナス
息子にとってボーナスはご褒美のプレゼントですから、日本家屋を探検した証として精霊牛を貰えると思ったのでしょう。まるでダンジョン攻略報酬のように。
「ママ、これ俺のボーナス?」と、嬉しそうに言いました。私は笑いをこらえながら
「ううん、これはご先祖様が乗ってくるボーナスだよ」と答えます。
「じゃあ俺のボーナスどこかなあ…」息子はしょんぼりと肩を落としました。
不思議そうにしている叔父に
「精霊牛をボーナスと勘違いしてるんですよ」と伝えます。叔父は
「なるほどなあ、子どもは柔軟だよね」と笑っていました。息子は探検後、叔父たちにお菓子や果物をいただき、大喜び。息子にとってのボーナスは、甘いおやつだったようです。
ちなみに盆棚には、キュウリの精霊馬もありました。叔父は息子の勘違いを面白がり
「こっちの名前はわかる?」と尋ねると…。
「ボーキュウリ!」息子は元気よく答え、和やかな笑いに包まれました。息子には素直なまま、たくさんの物事に触れて育って欲しいと思います。
(ファンファン福岡公式ライター/芦谷)