不妊治療、保険適用と最後のチャレンジ。

前回の更新から随分と時間が経ってしまいましたが、この間に「不妊治療の保険適用」が開始されました。今回はこれが本当に最後と決めて取り組んだ不妊治療ついて綴りたいと思います。

目次

不妊治療の保険適用について思う事

 これまでほとんどが自費診療だった不妊治療が保険適用になった事は少子化対策の大きな一歩だと思っています。経済的な理由で治療を諦めていた夫婦が挑戦しやすくなるのですから。一方で、保険適用外の検査も多いため、望む検査を取り入れた場合、保険診療と自費診療の混合診療はできないので、結果、本来保険適用であるはずの診療費も全てが自費診療になってしまうというのは残念なところ。 

治療を始めたばかりの若い夫婦の場合は、保険適用の範囲内でまずは治療に取り組むことが出来るでしょう。しかし、年齢が高い夫婦や、何らかの原因がある夫婦は、結局自費で治療に取り組むことになってしまいます。しかも所得による助成金制度はなくなってしまったので(福岡市)、これまでより経済的な負担が増える方もいらっしゃるかもしれません。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/boshi-hoken/funin-01.html

これから治療に取り組む夫婦にとっては朗報、厳しい状況の夫婦にとっては依然厳しいままという印象です。とはいえ、当事者以外にはあまり知られてこなかった不妊治療が、広く知られ、理解が深まり、そのことによって女性が仕事と治療を両立しやすい環境が整っていくことを願うばかりです。

もう一度頑張るための、転院という選択

これまでのコラムで片っ端から不妊治療が上手くいかなかった話を書いてきました。身も心もボロボロになり、私の中ではもう充分頑張ったから不妊治療を辞めてもいいと思えるようになっていたのですが、それには夫婦で話し合いが必要です。夫の素直な気持ちを聞いてみると「もう一回だけ頑張って欲しい」でした。高度不妊治療は、痛く辛い治療に取り組むのは女性です。ですから、私だけに負担がかかることをお願いするのは夫もかなり勇気が必要だったと思います。

しかし、5年近く通院した不妊治療専門のクリニックは、嫌な思い出というか、上手くいかないネガティブイメージしかなもてなくなっていました。治療方針には不満もないし、ドクターも親身に寄り添って治療にあたってくれました。できることなら、このクリニックで結果を出して笑顔でお礼を言って卒業したかったのですが、どうしてもあとひと踏ん張りの為に次の予約をとることができなかったのです。

悩んだ挙句、他の不妊治療専門クリニックに転院することを決めました。病院が変わることで気分転換にもなるし、違うアプローチの治療で良い結果がでることもあるかもしれない。そう考えると少し前向きになれました。

転院後の治療の結果は・・・

身体に負担の少ない採卵方法を選んだので、以前の病院では20個ほど採卵できていたものが、今回は半数程度。胚盤胞まで培養できたものは2つでした。

流産による精神的・身体的な負担を減らすため、前のクリニックでもトライした着床前胚染色体異性数検査を受けたかったのですが、検査の必須条件となる胚移植の失敗回数が転院したことによりカウントされない、と言われてしまい検査できず、一か八か移植するしかなくなりました。

結果は一回目は妊娠判定陰性。二回目では化学流産でした。今回、転院して採卵し、それが最後のトライのつもりだったのですが、違うアプローチで妊娠判定陽性になった事と、医師からも妊娠できるんだから、ここで辞めるのは勿体ない、と説得され、もう一度だけ採卵からトライすることになりました。

これが本当に最後の挑戦

転院後2度目の採卵も、移植できる受精卵は2つでした。1つ目は失敗。残すは1つです。移植のタイミングをうかがっているうちに、引っ越しやら仕事やらで、なかなかタイミングが合わず、現在まだ移植できていません。

しかし、時間が空いた事で残り1つの受精卵とじっくり向き合い、「不妊治療を辞める」という決断について考え、自分の中で消化することが出来た様に思います。次回は不妊治療を辞めるという選択について書いていきたいと思います。

※この記事内容は公開日時点での情報です。

著者情報

福岡を拠点にフリーアナウンサー・タレントとしてテレビリポーター、イベントMC、ラジオパーソナリティ、コラム執筆など多方面で活躍中。健康管理士、食生活アドバイザー。自身の不妊治療の経験を通して、より多くの方に不妊治療に対する理解を深めて欲しいと発信している。

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