お子さんのゲームのやり過ぎに困っている保護者の声をたくさん聞きます。ゲームの時間をいくら規制しても、親の目を盗んで…。そんな話も、決して珍しくないようです。子ども自身がゲーム障害の実態を知り、自らゲームを抑制しようという意識が芽生えないと、なかなか保護者の悩みは解決しないようです。
1.まずは記事を読んでみよう!
ゲーム障害の現実
「ゲームができないと、感情をコントロールできない自分が怖い」「つらい現実を生きられない」。ゲームのやり過ぎで日常生活が困難になる「ゲーム障害」と診断された2人が取材に答え、生活が破綻しても抜け出せない苦しさを明らかにした。専門家は「依存の原因解明は尽くされておらず、治療終了まで10年以上かかるケースもある」と指摘している。
眠らず5日「自分が怖い」
2018年に神奈川県の久里浜医療センターでゲーム障害と診断された男性(29)は、生活保護を受給しながら通院している。男性にとってゲームは「自分という存在を認めてくれる場」。高校1年から夢中になったのは、ファンタジーの世界で仲間をつくり、他のグループと戦いながら旅を楽しむオンラインゲーム。5日間眠らず続け、300万人中2位にランクインすると、仲間から称賛された。やればやるほど評価される。勉強よりゲームにやりがいを感じた。 卒業後、塗装工や清掃など職を転々としたが、ゲームに没頭すると遅刻しがちに。親族から機器を取り上げられると怒りを制御できず、職場でもトラブルを起こした。 「ゲームができなくなるとどうしようもなく怒りがこみ上げる自分が怖い」。それでも、「いつか自立しなければ」と思う。「ゲームをせず過ごす方法」について毎週、他の通院患者と話し合いながら「就労移行支援施設」に通う。
「現実逃避」遅刻や欠勤も
「ストレス解消や現実逃避の手段として当たり前のようにゲームをする生活から脱したい」と話す男性(30)も7月に診断された一人。男性は27歳で受診した病院で、強迫性パーソナリティー障害と指摘された。宮城県で独り暮らしをしながら建設会社に勤めていたが、仕事でも私生活でも自分のルールを少しでも破ると自分を責め、苦しみから逃れるためにオンラインの対戦ゲームに打ち込んだ。だがゲームに終わりはなく、何十時間とプレーするうちに遅刻や欠勤が重なり、7月に会社を辞めた。 ゲーム障害に詳しい神戸大大学院医学研究科の曽良一郎教授は「ゲーム障害のメカニズムは、アルコールや薬物依存ほど解明されていない。患者の多くが『自分は依存ではない』との否認から治療が始まり、人によっては終了まで10年以上かかり、再発することも。ゲームを禁止しても治療には結びつかず、本人が『やめる』という動機付けを促すため、辛抱強く寄り添うことが大事」と話した。 国民生活センターによると、ゲームを巡るトラブル相談は昨年度、過去最多の5388件に上り、過半数は未成年者に関する内容だった。世界保健機関(WHO)は昨年5月、新たな依存症として認定した。
2.設問に答えてみよう! 口頭でもOKです
問1 次から記事の内容に合わないものを一つ選んでください。 1. 記事に登場する29歳の男性は、ゲームのことを「自分という存在を認めてくれる場」だと思った。 2. 記事に登場する27歳の男性は、ゲームのやり過ぎで遅刻や欠勤が重なり、会社を辞めた。 3. 強制的にゲームを禁止することは有効な手段だ。 問2 記事中に登場する29歳の男性は、ゲーム機器を取り上げられるとどういう態度を取るようになっていましたか。 問3 ゲーム障害の治療について、曽良一郎教授は、どういうことが大事だと述べていますか。
3.感想などを親子で話し合ってみよう!
この記事を読んで、ゲーム障害に悩む2人が、なぜゲームに没頭してしまったのか、親子で話してみませんか。原因を知ることで、自分自身がゲームとどう付き合っていくべきかを考えるきっかけになるのではないかと思います。 私たち親は、子どものゲームのやり過ぎを抑えるため、時間を制限しようと考えるのが一般的ではないでしょうか。しかし、「ゲームを禁止しても治療には結びつかない」という専門家の言葉は説得力があるように感じます。
4.解答例です。答えは一つとは限りません
問1 3. 問2 怒りを抑えきれず、職場でもトラブルを起こした。 問3 本人が「やめる」という動機付けを促すために、周囲が辛抱強く寄り添うこと。
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