2020年7月21日にオープンした「BOSS E・ZO FUKUOKA」は、日本初の絶景アトラクションやバーチャルコンテンツ体験、スポーツミュージアムなどが集まり、コロナ対策を取りながら、人気を博しています。福岡 PayPayドームに隣接し、世界に誇る「楽しいbaseballパーク」になることを目指したこの施設。福岡のタウン情報誌の編集者として活躍していた、帆足 千恵さんが、福岡市民の野球に寄せる想いとあわせながら、福岡にもたらす効果を探っていきます!
王貞治氏、そしてソフトバンクホークスが福岡にもたらしたもの
まず、私がもっとも思い入れをもって紹介したいのが、リニューアルオープンした「王貞治ベースボールミュージアム Supported by リポビタンD」。「自分のまちにスポーツの球団がある」ということが、市民の誇りであり、元気の源であることを改めて感じさせてくれるのがここです。 1970年代後半にライオンズ(西鉄〜太平洋クラブ〜クラウンライター)が埼玉に移転してから1988年に福岡ダイエーホークスが誕生するまでの球団不在の時代がありました。ライオンズのホームであった平和台球場に足を運んでいた私だけでなく、福岡のファンにとってはとても寂しい時期でした。
1992年に完成した福岡ドームに本拠地を移し、1994年の「世界のホームラン王」王監督の就任した時の福岡のファンの盛り上がりはすごかったのです。 しかし、なかなか浮上できないチームに業を煮やし、1996年には王監督や選手が乗ったバスに心無いファンから生卵が投げつけられる事件もありました。現在の「平成の常勝軍団」のイメージしか知らない方には、意外かもしれませんが、1999年の日本一までには長い低迷の時代もあったのです。 そんななかでも王さんは決して怒らず、福岡のファンに勝利と笑顔をもたらすことをいつも考えていたのだとか。野球、スポーツの真の素晴らしさを王さんが根気強く、私たちに伝えてくれたから、現在の熱狂と一体感があるといっても過言ではありません。 王さんの輝かしい歴史がつまったヒストリーゾーンは、野球の歴史そのものを振り返る資料がたくさん展示されています。
4F 王貞治ベースボールミュージアム Supported by リポビタンD チケット大人(16歳〜) 1,800円
野球にあまり興味のない方でも、「89パーク」では15種類の体感型のアトラクションで盛り上がって楽しめます。千賀投手の「160キロ」のストレートをキャッチャー目線で体感したり、周東選手と短距離走で競争もできますよ。
理屈抜きに楽しい日本初、世界初がいっぱい
そもそもこの施設は、2018年に球団創設80周年の節目に際して、1年中いつでも、非日常・革新的な次世代複合エンターテインメント空間を目指す「FUKUOKA超・ボールパーク宣言」をし、ドームリニューアルとこのビルの建設に入りました。 今までにない「世界の人が楽しめる施設」を計画するために、経営陣は世界のベースボールパークや施設をみてまわったそうです。日本初のアトラクションや初出店のグルメなどが集結し、福岡の新名所ともいえる施設で一日中楽しめます。 イチオシはなんといっても日本初を含む3種類の絶景アトラクション「絶景3兄弟」! 日本初、ビルの屋上に設置されたレールコースター「つりZO」や地上40mから一気に滑り降りる「すべZO」、最高到達点が地上約50mにもなるクライミングウォールの「のぼZO」。最初は少し勇気はいりますが、ものすごく気分爽快になります。
5F チームラボフォレスト – SBI証券 大人(16歳〜) 2,200円
次に注目したいのが、待ち望んでいたチームラボの福岡の常設ミュージアム「チームラボフォレスト – SBI証券」。 日本のみならず、ニューヨークやロンドン、パリ、シンガポールや上海など世界各地で常設や展示を行ない、最上級の評価を得ているアート集団が、福岡で新しくて限りなく美しい空間にいざなってくれます。新作品もたくさん登場です。
6・7階のバーチャルコンテンツが楽しめる「V-World AREA」
6・7階のバーチャルコンテンツが楽しめる「V-World AREA」では、最先端のデジタル技術やバーチャルリアリティを体験できます。全16種のうち、10種が九州初進出!
ここでは、グルメもエンタメ系!日本初出店、九州初出店を含むTHE FOODHALLや、西日本初出店のMLB公認アメリカンダイニングレストラン「MLB café FUKUOKA」と、とにかく気分がアガル陽気な雰囲気にあふれています。
その他、7階にはよしもと興業の常設劇場、1階にHKT48劇場とエンタメ拠点が2つオープン。6階の最先端アートからサブカルまで様々なイベントを開催するイベントホールでは、11月には「嵐を旅する展覧会」の開催が決定しています。
ドーム〜百道浜、福岡のシーサイドエリアが一年を通して魅力的に
福岡PayPayドームがある地行浜から福岡タワーがある百道浜は、20年以上前に埋め立てによってできたシーサイドエリア。いまや都心からバスや車で20分のリゾートとして人気を集めています。春〜秋は野球シーズンでもあり、また、のんびりと海辺を楽しむ人も多いのですが、冬場はかなり寂しい感じに。 最近は、東アジア、韓国、中国を中心に多くの外国人旅行者が冬も多く訪れるようになっていましたが、コロナ禍の前からもっと多くの人が楽しめるようにと、このエリアの施設で協議会を作り模索していたところでした。 この「BOSS E・ZO FUKUOKA」は、球団を含めて地元の方から愛され、国内外からの旅行者が楽しめるシーサイドエリアの核になるでしょう。
例えば私がおすすめしたいアフターのモデルコース
ドームから歩いて百道浜(福岡タワー・福岡市博物館)から ❶ 車、バスやタクシーで姪浜の渡船場で10分の船旅で能古島、あるいは車やバスでマリノアシティ福岡 ❷ 福岡タワー北のマリゾンから出ている船「うみなかライン」で20分のクルーズで博多湾を横断し、海の中道(マリンワールド海の中道、海の中道海浜公園)・志賀島 ★あわせて読みたい記事→福岡の観光おすすめエリア3選
一日ゆったりとリゾート気分を満喫できるのがこのシーサイドエリアなのです。
取材を終えて
今はコロナの影響で「リアルの体験」「多くの人が集まって、熱狂する」ことが難しく、我々の対応が試されているとき。 変化に対応しながら「五感で体感する」「心の底から楽しむ」体験をできる施設がここなのではないでしょうか。 地元をはじめ、国内の人々にファンになってもらい、いつかその日が来たら、世界の旅行者が満喫できる魅力満載のエリアになると確信しています。 文=帆足 千恵
BOSS E・ZO FUKUOKA
■住:福岡市中央区地行浜2-2-6 ■営:9:00~24:00 (土日祝 8:00~24:00)