九州の食材にこだわる新北欧料理【Restaurant SNOW】

 ファンファン福岡の食いしん坊ライターYと料理研究家Fのコンビで、気になる飲食店を開拓! 今回は話題のカフェやレストランがひしめき合う福岡市中央区の白金・高砂エリアに、7月にオープンした「Restaurant SNOW(レストラン スノゥ)」のランチを堪能してきました。

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九州の素材を使い、北欧の素材や食を新しく提案

出典:https://fanfunfukuoka.aumo.jp

 お店は高砂公園の並びのマンション1階にあり、エントランスドアには「SNOW」という店名通り、雪の結晶のロゴが。  コンセプトは「フレンチのテクニックにニューノルディック(新北欧料理)の概念を取り入れ、地元九州の郷土性を表現する」。ニューノルディックとは、10年ほど前にデンマークで起こったムーブメントで、料理で自国の郷土性を表現することとか。例えば自国産の食材だけを使う、伝統的な技法を見直してどこにもない新しい料理を生み出す、といった考えといいます。

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 開放感のある高い天井の店内はコンクリートと木というモダンと伝統を融合させたスタイルで、北欧家具がアクセントになっています。  オープンキッチンを見渡せるカウンター席がメインですが、とにかく広く、ニューノーマル時代にぴったりのゆとりを感じる空間です。店内を見渡すと、どうやらシェフ一人でのオペレーションのよう。予約時間に遅れずに訪れたいですね。

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 私たちの予約席は、唯一あるテーブル席でした。太陽光がほどよく差し込むテーブルにセッティングしてあるのは、九州地図がデザインされたガラスプレート。糸島市のガラス工房にオーダーしたオリジナルだそうで、この上にいったい何が並ぶのかな? と期待が高まります。

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 メニューは毎月11日に一新されるそうで、毎月違った旬のおいしさが楽しめます。なぜ11日に切り替わるのかと尋ねると「7月11日がオープン日だったので、その日を起点にしています」とオーナーシェフの海野元気さんは話します。  ランチは3,500円(税別)の1種類のみ。シェフの自信を感じさせます。

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 ワンドリンクオーダーは、ソムリエの資格も持つ海野シェフの選ぶワインなどを注文するのもいいですが、私たちは店オリジナルのノンアルコールドリンクをチョイス。  「北欧伝統・エルダーフラワー&レモン」(770円)は、ほのかな甘さがありつつさっぱりしていて、ハーブの香りに包まれる1杯でした。

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 九州地図のプレートに盛られたアミューズ「九州各地の味」。  糸島市産のチーズ、長崎県沖で水揚げされたキビナゴ、鹿児島県産の黒豚を使った自家製生ハムなど、その産地の地図上に料理が載せられていて、そのアイデアにうなります。どれも個性的な味で、このプレートだけでも話に花が咲き、盛り上がることうけあいです。

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 オリーブオイルで作ったソルベに、鮮やかなグリーンの冷製スープ、ガスパチョが目の前に注がれる「New Nordicのガスパチョとオリーブオイルのソルベ」。このガスパチョが、香り、口に含んで、喉を通る時とそれぞれ風味が異なる複雑な味わい。  思わず海野シェフに「これはどんな素材で作られているんですか?」と尋ねると「何だと思いますか、当ててみてください」と笑顔。2人で考えましたが、結局最後まで当てることができませんでした…。

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 ミナミノカオリという九州産小麦で作られた「ロデブ」というパン。レシピを考えたシェフの奥さまがプロデュースし、海野シェフが店で焼いているそうで、外側はパリッ、中はもちもちというよりむちむちの高加水タイプ。他のテーブルから「持ち帰り用に売ってもらえませんか?」という声が聞こえてくるほどのおいしさ。大変な手間と時間をかけて作るパンなので、店で出すだけで精いっぱいということでした。  ロデブ以外にも「レンコンのフォカッチャ」や「全粒粉のカンパーニュ」など3種類の個性豊かなパンが提供され、どれもお代わりしたくなるおいしさでした。

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 ソルベの時と同じく「飛び鉋(かんな)」の模様が美しい小石原焼の器に、まるで粉雪のように盛られた「宮崎・奥日向サーモン レモンの雪」。低温でじっくり火を通したサーモンは、豊かな香りとジューシーな味わい。レモンとクリーム風味の「雪」ソースが、口の中でほろほろっととろけます。

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 白い器に大胆に盛られた「玄界灘産・イトヨリのポワレ 福岡のしろなと地アサリのソース」。甘味を感じるパースニップという根菜のペーストと、アサリのソースをたっぷりつけていただくイトヨリは、魚介のふくよかなうま味が広がります。鹿児島県・沖永良部島産キクラゲのコリコリ感、福岡県産シロナのシャキシャキ感と、豊かな食感も楽しめる一皿です。

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 お肉のメインは「鹿児島県産 黒豚ロース 南瓜×かぼちゃ×カボチャ」というカボチャ尽くし。さくさく食感の品種コリンキーだったり、シンプルに皮ごとグリルしたり。カボチャの種も添えられ、旬のおいしさを丸ごと味わえます。黒豚の甘さとかぼちゃの甘さの相性もばっちりです。

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 すでに1度来たことがあったFから「ここはデザートもすごい」と聞いていて、楽しみにしていた「ザ・グランド・デザート」。写真は1人前です!  ムース、フィナンシェ、シャーベット、アーモンドの砂糖がけなど途中でメモするのをあきらめたくらいバラエティーに富んでいて、「ちょっとずついろんなものを」食べたい人にぴったり。  木のプレートは、店のカウンターテーブルも制作した海野シェフの友人のオリジナル。最後の最後まで手を抜かないこだわりを、ひしひしと感じます。  北九州市出身で、20代の半分はヨーロッパにいたという海野シェフ、実はフランスのミシュラン三ツ星レストランやベルギーのレストランでフレンチを学び、デンマークでニューノルディックに出合ってその技術と感性を磨いた実力者。すでに多くの客が海野シェフの人柄と味に魅せられ、あっという間に予約の取りにくい店になっています。

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 「おなかいっぱい過ぎる…」と時計を見ると、すでに入店して2時間以上経過していました。店の中だけゆっくりと時間が流れているようです。シェフにごあいさつすると「どうりで詳しくメモを取ってるなあと思っていましたよ!(笑)ぜひ次はディナーにもいらしてくださいね」と明るく見送ってくださいました。  ディナーは7,500円、10,000円の2コースが用意されています。特別な日、自分を甘やかしたい夜、遠くから来た旅人に九州のおいしい食材を食べてほしい時に、ぜひ利用したいレストランです。  さて、食いしん坊コンビ、次はどこの店で食べようか。みなさんのおすすめの店があればぜひ教えてくださいね!

Restaurant SNOW

住所:福岡市中央区高砂1-16-17 エスペランサ天神南 1階 電話:092-707-2184 営業:12:00~15:00、18:00~23:00 火・水曜休 インスタグラム: @restaurant_snow_fukuoka

※この記事内容は公開日時点での情報です。

著者情報

「ファンファン福岡/サブクリップ」(福岡都市圏内配布、福岡市地下鉄駅駅設置)紙面に掲載した話題、編集部員が突撃取材した話題などを紹介します!

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