不妊治療について少しは知っているつもりでしたが、自分が治療を始めてみて驚くことばかりでした。加齢によるリスク、不妊原因の半数近くは男性不妊、精神的な孤独感、莫大な費用なこと…。これから結婚や出産を考えている方は絶対に知っておくべきことだし、社会的にも不妊治療についての理解を一人でも多くの人に深めてもらうことで、救われる方が沢山います。自分や周りの大切な人の為にも、興味本位でも構いません。読んでいただけると嬉しいです。
はじめまして。福岡を拠点にテレビのリポーターやイベントの司会などのお仕事をさせていただいている山口玲香です。2020年12月現在39歳です。もしかたしら「あ、知ってる!」とか「観たことある!」という方も、この記事を読んでくだっているかもしれませんね。 なぜファンファン福岡で福岡で【不妊治療】について書くことにしたのか。しかも、とてもセンシティブな内容を匿名ではなく実名で赤裸々に書こうと思ったのか。もちろん沢山の理由があります。
私が不妊治療について書く理由
私が不妊治療を始めたのは4年半近く前の事。結婚と同時に不妊治療を始めることになりました。(その辺りの詳しい話は次回!)”不妊治療って大変そう”とか、”お金かかるんだよね?”というくらいの事は、なんとなくは知っていました。しかし、いざ自分が治療を始めると、「え!?こんなことしなきゃいけないの?」「え!?こんなにお金かかるの?」と、本当に驚くことだらけで、これはもっと多くの人が知っておくべきことだ、と痛感したのです。 これから結婚や出産を考えるはずの若い世代の方は、その先に必ず”妊娠”や”出産”があるわけではないという可能性も頭の片隅に置いた上で将来のライフプランを考えて欲しいのです。特に女性は仕事が乗りに乗ってくる時期と出産適齢期が重なってしまいがちです。そのバランスをどう取っていくのか、知らずに後悔するより、知った上で選択して欲しいのです。 何故、そんな事を思うのか?まさに私がそうだったからです。結婚すればすぐに子供が出来るものだと思っていました。きっとほとんどの若いシングルの方はそう思っているはずです。あるいは、若くして結婚し何の苦労もなく子供に恵まれた方や、不妊治療がまだメジャーではなかった人生の先輩方の世代もそうかもしれません。私の周りの不妊治療経験者も口を揃えて「結婚すれば、すぐに子供が出来ると思っていた。誰も不妊について教えてくれなかった。」と言います。 妊娠や出産は当たり前ではないのです。検査をして初めて妊娠や出産が難しい体質だったとわかることもある。射精はしていても、その中に元気な精子がいない男性も多い。年齢を重ねるほど、男女とも妊娠自体が難しくなっていき、また流産や染色体異常のリスクは増えてきます。
書こう!と決めたきっかけは子宮外妊娠
治療を始めて早々に「この事実をみんなに知ってもらいたい!」と思ったにも関わらず、治療を進めていくほどに、私のメンタルは疲弊していき、とてもじゃないけれど自分の不妊治療について公にする勇気も気力も持てなくなっていきました。 2020年の夏、子宮外妊娠をしました。これは全妊産婦のうち1%の確率で起こる原因不明の妊娠。卵管で着床し、赤ちゃんが育ってしまうので、卵管ごと赤ちゃんを切除し取り出さなくてはなりません。もちろん妊娠の継続はできません。赤ちゃんを待ち望んで治療を続けていて、やっとの妊娠でのこの事実はあまりにも辛い出来事でした。 しかし、ある人に「子宮外妊娠した」と告げると「おめでとう~!!」と言われたのです。そう、子宮外妊娠について知らないから、子宮外であっても無事に【妊娠した】のだと勘違いしたのです。悲しみの淵にいる私に、「おめでとう~!!」はあまりにも辛い言葉でした。その人を責めるつもりはありません。良かれと思っての言葉だったのですから。ですが、無知って怖い事だと思いませんか? 子供がいない夫婦は「子供はまだ?」「子供は可愛いよ~!」「仕事が楽しいんだろうけど、急いだほうがいいよ」「子供がいないから、わからないだろうけど…」そんな事を言われる機会が多いのです。それもやはり不妊治療についての知識がないからこそ言えてしまう、良かれと思って言ったつもりの言葉。(中にはマウンティングの人もいるかもしれませんが…)しかし当事者にしてみれば笑顔で胸にグサグサとナイフを刺されているような言葉なのです。
誰も教えてくれない【不妊】のこと
不妊治療経験者はデリケートでセンシティブなことなので、あまり口外したがりません。多くの人が職場や友人にも多くを語らず、こっそり治療に励んでいます。もちろん、学校の性教育では【妊娠】【避妊】については教えてくれても、【不妊】については教えてくれません。ですから、多くの人が【不妊】についての知識がないまま、社会に出て、結婚して、子供が出来ないという当事者になって初めて【不妊】について知ることになるのです。そして「もっと早く知っておきたかった」「誰か教えてくれたら良かったのに」と思うようになる。 私の経験を語ることで同じ想いをする人が一人でも減ってほしい、また一人でも多くの人に、少しでも早いうちに、自分の将来の為にも、自分の周りの大切な家族や友人の為にも知っておいて欲しい、そんな想いで、重い腰をあげ、ブログに不妊治療について書き始めました。すると思っていたよりも反響が多く、沢山のメールをいただきました。 「私もこんな経験をしました」と辛い経験を語ってくれる方や「自分の状況と重なって涙が止まらなかった」「知っているつもりで知らないことだらけだった。」「書いてくれて、伝えてくれてありがとう」「ずっと自分だけで抱えていた不妊治療の辛い思いが浄化されるようで癒された」「もっと沢山の人が知るべきだ」など。 それがまた私の勇気になり、ファンファン福岡でも不妊治療について書かせてもらうことになりました。これから過去の治療実績も振り返りながら、不妊治療について書いていきます。驚くことや、読んでいて辛い気持ちになることもあるかもしれません。ですが、是非お付き合いくださいね。