普段は良好な関係でも義実家へ泊まるとなると、多少なりとも気疲れするものですよね。私は気持ち以上に体も辛くて、新年早々疲労困ぱい…。年末年始、夫と2歳の息子とともに義実家へ帰省したときのエピソードをお話しします。
親子3人で義実家へ帰省。用意されていた布団はシングル1組…
わが家と義実家は、電車で1時間ほどの距離。孫の顔を見せにちょくちょく訪問はしていたものの、気軽に行き来できることもあって、いつも日帰りでした。
息子が2歳になった冬、
「今年の年末年始は泊まりに来なさい」と誘われて、初めて義両親の住むマンションに2泊することになりました。
私たちの寝室として案内されたのは、4畳半ほどの洋室。荷物を置いて、キッチンやリビングで過ごし、疲れたら洋室でひと息つくこともできました。エアコンがついているのもありがたかったです。
息子をお昼寝させようとして、ふと部屋の隅に用意されている布団に気が付きました。そこにあるのは、シングルサイズの布団が1組だけ…。義両親の寝室にはベットがありますが、他の布団をしまっておけるような押し入れは無いようです。 「もしかして、私たちの寝具ってこれだけ!?」
恐る恐る義母に確認してみると、
「あなたたちの布団? 洋室に出してあるでしょ?」と、悪びれる様子もありません。
「仕方ない、2泊する間だけなら我慢しよう」そう思いながら、その夜は親子3人で一つの布団に入りました。
狭さを気にせず、あっという間に熟睡してしまった夫と息子。2人ともしっかりと布団にくるまっていて、私に残されたスペースはほんのわずか。体の片側を下にして敷布団に横たわり、上着をかけて寒さをしのぎました。 エアコンをつけていても寒さは変わらず、その夜は寒さと狭さでよく眠れませんでした。
追加の布団の代わりに出されたものは…
「ねえ、布団が狭すぎて眠れなかったんだけど」翌朝、夫に訴えると
「他に布団はないのか」と義両親に聞いてくれました。
「ああ、なら、これを使いなさい」そう言って義父が出してくれたものは、タオルケットと座椅子でした。
タオルケットはまだしも、座椅子をいったいどうしろというのでしょう? ソファーベッドのように立派なものではなく、ごく普通のサイズの、一人用の座椅子です。
「ほら。こうすれば、敷布団の代わりにならないかな?」義父は、座椅子の背もたれを倒しながら言いました。
「…ありがとうございます」
「なりません!」と思いながら、お礼を言った私の顔は、引きつっていたと思います。
その夜、さっさと眠りについてしまった夫と息子の横で、フラットにした座椅子に横たわってみましたが、小さすぎて手足ははみ出るわ、骨組みが背中にあたって痛いわで、とても敷布団の代わりにはなりませんでした。
義両親に悪気がないのはわかります。ですが、「泊まりにおいで」と誘うのなら、せめて大人の人数分の寝具は用意しておいてほしかったなと思います。
「2泊3日くらいなら大丈夫だろう」と思っていましたが、日中は肩身が狭くて疲れぎみのうえ、夜も布団が狭くてろくに眠れず、ぐったり。 「眠れないのは今晩だけ。明日にはうちに帰れる…」フローリングの上でタオルケットにくるまりながら、「この先、義実家に帰省するときは、寝袋を持参するか、日帰りにしよう!」と、誓ったのでした。
(ファンファン福岡公式ライター/桐谷きこり)