来福客をもてなす最新はしご酒事情

もし、出張で来福した先輩を、おもてなしするなら…? 美味しいものがある、面白い料理人がいると聞けば、どこへでも飛んでいくライター・寺脇 あゆ子さんが、最新のはしご酒事情について調べてきています。

出典:フクリパ

福岡は陽が沈むのが遅い。花火大会のスタートが20時なのは、その時間でもまだ明るいかららしい。今夜は久しぶりに東京から来福する先輩をアテンドする予定。定期的に福岡に来られていたけれど、コロナの影響で数ヶ月ぶりの福岡という。予定よりも早く仕事が終わったので、待ち合わせ場所のワインバーへ向かった。

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午後3時から自然派ワインが飲める隠れ家へ

出典:フクリパ:OPENであることを確認してチャイムを鳴らす
出典:フクリパ:店主の手嶋渚さん

大正通りのマンションの2階。外には店名が書かれておらず、OPENを示す目標を確認してチャイムを鳴らす。「あら、いらっしゃい」そういって迎えてくれたのは店主の手嶋渚さん。東京やオランダ、フランス、モナコなど国内外で経験を重ねた彼女は、フランスで働いていたときに自然派ワインと出会い、2017年3月、この場所に「黄昏」を開いた。店内は薄暗く、外はまだ明るいながらも一気にオフモードになれるところが、この店のいいところ。

出典:フクリパ:自然派ワインやジンのほか、クラフトビールも充実している

まずはクラフトビールで喉を潤す。待ち合わせは17時。まだ1時間ほどある。2杯目は白ワイン。うん、グビグビいけてしまう。とはいえ、この後に備え、ペースを保ちつつ、渚さんとの他愛もない会話を楽しむこととする。 17時少し前、先輩が登場。お腹がすいたそうだが、ここはグッと我慢していただく。けれど、この店はワインバーでありながら、すぐ近くにある「クボカリー大名店」のカレーや、同じ建物の1階にある「赤坂こみかん」の天丼のデリバリーができるのだ。といっても、メニューに書かれているわけではないので、知っていると一目置かれることだろう。さて、そろそろ移動しなければ。目的の店までは歩いて5分ほど。そろそろ次に向かうと伝えると、渚さんは「最後に戻っておいで」と、笑顔で送り出してくれた。

出典:フクリパ

黄昏

■TEL:092-753-8559 ■住:福岡市中央区大名1-7-10 ワコーハイツ205号 ■営:15:00〜OS23:00 ■休:不定休

黄昏 Facebookページ

赤坂から警固へ移転!新たな一歩を踏み出したあの店へ

出典:フクリパ:新しいビルの地下1階。奥にはエレベータもあるので飲みすぎても安心

黄昏から大正通りを少し南下し、警固本通りに入ると右側に新しいビルが建っている。目的の店「赤坂メトロ」は地下にあり、通りすがりではなかなか気がつかない。実はこちら、地下鉄赤坂駅のすぐ近くにあったが、2020 年2月でその場所での営業を終了し、7月に警固に移ってきたばかり。カウンターがメインなので1人や2人で訪れることの多い店である。

出典:フクリパ:赤坂時代から変わらぬ店主・中島淳さんとかおりさんのコンビも心地よい

自然派ワインの品揃えも充実しており、ワインはグラスでもボトルでもOK。まずはお気に入りの「フレンチポテト」をオーダーしようと思ったけれど、メインの付け合わせでも選べることを思い出し、「エシレバターのオムレツ」をお願いした。冷たい前菜、温かい前菜ともに品数も豊富で、2軒目にふらりと立ち寄る常連客も少なくない。

出典:フクリパ:糸島豚のカツレツ(1500円・税別)

白ワインをいただきつつ、前菜を数品楽しんだ後、メインの「糸島豚のカツレツ」が登場! もちろん、付け合わせは大好きな「フレンチポテト」だ。カツレツはシンプルなだけに、料理人の実力が如実にわかる料理の一つ。「赤坂メトロ」はカジュアルな印象の店でありながら、料理の一つひとつがちゃんと美味しいところも、多くのファンを獲得する理由となっている。帰り際、店の隣に「カヌレ プティメトロ」の看板を見つけた。訊けば、9月初旬に姉妹店をオープンさせるとのこと。営業時間は12〜16時。福岡の新たな手みやげの誕生が楽しみだ。

出典:フクリパ

赤坂メトロ

■TEL:080-4623-7056 ■住:福岡市中央区警固2-15-3 CANNERY警固本通り地下1階 ■営:17:00~24:00 ■休:不定休 ■Facebookページ: https://www.facebook.com/akasakametro

赤坂メトロ Instagram

ワインや日本酒とともに極上のデザートを愉しむ

出典:フクリパ:店内はキャンドルの灯りのみ

時計を見ると午後8時を回っていた。ちょうどいい。とっておきのデザートバーを予約しておいたのだ。警固からその店がある薬院まで歩けなくはないし、東京の人は歩いてしまう距離だろうけど、近くてもタクシーに乗ってしまうのが福岡らしさ。 まだまだ暑いし、今日のところはタクシーに乗ることにした。店の外には初めての人は気づかないであろう小さなプレートには、「日と常」と刻まれている。ドアを開けると、真っ暗な空間にキャンドルの灯りが揺れていた。店主の寺田裕亮さんは、アンリシャルパンティエやブルガリ・イル・チョコラート、ザ・リッツ・カールトン沖縄などで、ショコラティエやシェフパティシエとして活躍してきた方。テイクアウトが基本のケーキショップではなく、レストランのデザートを中心に経験を積んできたことから、ショップではなくバーというスタイルを選択したという。

出典:フクリパ:リンゴのキャラメリゼ。甘くなくワインとの相性も抜群
出典:フクリパ:デザートに合うお酒を提供するため、「とどろきstand!」で働いたという寺田さん ※店内の雰囲気を忠実に再現するため暗いままの写真でお届けします

テリーヌ・オ・ショコラなどの定番のほか、生産者から直接届く季節のフルーツなどでつくるアシェットデセール(皿盛りのデザート)など、約10種類のデザートを提供している。甘すぎず素材そのものの味わいを引き立てるデザートは、意外にも男性からの支持も高いとか。オリジナルのコンフィチュールやシロップのほか、寺田さんのこれまでの人生で関わってきた様々なジャンルの友人たちにオリジナルで作ってもらった器やキャンドルなども販売している。

出典:フクリパ

日と常

■TEL:電話なし(予約・問い合わせはInstagramのDMにて) ■住:福岡市中央区薬院4-18-17 ■営:14:00〜22::00(完全予約制/1日4組限定) ■休:不定休

日と常 Instagram

ラーメンでもなく、うどんでもない。蕎麦で〆る福岡の夜

出典:フクリパ:店主の大谷信玄さん(左)とスタッフ近藤碧惟さん(右)

先輩が福岡の〆は麺と言うので、個人的に私が〆に訪れている店へお連れすることにした。その名は「信玄酒店」という。以前は警固にあったのだが、この春平尾に移転オープンしたのだ。移転前と異なるのは、その日打ったばかりの蕎麦がいただけること。福岡の〆といえばラーメンというイメージが強く、近年はうどんも認知され始めているが、手打ち蕎麦で〆られる店はほかに知らない。日本酒の品揃えも充実しており、深夜でありながら東京の蕎麦屋のような楽しみ方ができる。 アペから始まり、ビストロ、デザートバーを経てココにたどり着いたワケだが、この時間になると不思議とお腹がすいてくる。蕎麦は〆にいただくとして、まずはこの店の名物「らんらんらん」をオーダーした。「らんらんらん」とは、だし巻き卵にいくらととびこをのせたフォトジェニックな一品。見た目のインパクトもさることながら、ふんわりとした仕上がりとお出汁の香りにホッとした気持ちになる。

出典:フクリパ:28時まで営業しており、深夜でも本格的なお蕎麦がいただける
出典:フクリパ:お蕎麦に合うワインを!とお願いしたら、素晴らしいワインがグラスで登場

ふと時計を見ると23時少し前。といっても、普段この店にたどり着くのは午前2時を過ぎているので、普段に比べるとかなり早い。店主の太谷信玄さんからも「あれ?今日は早いですね。この後、どこに行くんですか?」と言われてしまった。 そろそろ〆のお蕎麦をいただきましょう。そば打ちを始めて5ヶ月という信玄さんが毎日打っている本格そばは、喉越しもよくするすると胃に収まっていく。あれ? そういえば1軒目の「黄昏」を出るとき店主の渚さんから何か言われたような…。先輩、どうしましょう?

出典:フクリパ

米と葡萄 信玄酒店

■TEL:092-985-9744 ■住:福岡市中央区平尾1-12-21 ■営:18:00〜翌4:00 ■休:月曜休

*掲載している情報は2020/08/22現在のものです。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、営業時間や定休日は変動しておりますので、事前にご確認いただけると幸いです。 文=寺脇 あゆ子

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※この記事内容は公開日時点での情報です。

著者情報

成長する地方都市 #福岡 のリアルな姿を届けます。福岡のまちやひと、ビジネス、経済に焦点をあて、多彩なライター陣が独自の視点で深掘り。 「フクリパ」は「FUKUOKA leap up」の略。 福岡で起こっている、現象を知り、未来を想像し、思いをめぐらせる。 飛躍するまちの姿を感じることができると思います。 https://fukuoka-leapup.jp

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