古臭い慣習がはびこり、謎ルールが横行する「PTA」。なぜ、誰もやりたがらないのに続いていくのか? なくすことはできるのか? 実際の経験をもとに前編と後編で解説していきます。
PTAの役員は、強制!!?
私が「PTAの本部役員」になったのは、子どもが通っていた学校で決まっていた「在学中に“ポイント6点”を獲得しなければならない」というルールのせいでした。
ポイントってなに? という方も多いと思いますが、会長は任期2年で6点、副会長以下の本部役員は2年で5点、学年委員という子どもの学年だけに関わる職は、任期1年2点。それ以外の運動会やお祭・バザーなどの行事の手伝いがそれぞれ1点ずつという割り振りでした。これらを合計して、6ポイントを各家庭が獲得しなければならないのです。
学校の運営に「不可欠だから」という理由で、問答無用で課されていたのです。
会長以外、全員新人の本部に待っていたのは…。
今まで「このルールから逃げおおせた家庭はない」という噂を聞いていたので、私は5点を得るべく立候補し、会計係となりました。任期が決まっている上に誰も継続してやりたがる人がいないのでしょう。私の時も全員が新人でした。
何もわからない私たちに1日だけ前役員さんたちが引き継ぎをしてくれますが、もちろんそれでは足りません。そこで渡されるのが、ものすごく分厚い手書きのファイル「マニュアル」です。そこには、PTA活動に必要なことの全てが書かれているということでしたが、読むのが苦痛になる要素がありました。
まず、手書きで文字も文体も安定しないこと。また、後任者の赤ペンが入っていて前後しなければならないこと。そして、根拠の記されていない慣例(ほぼルール)が多数存在し、しかも年度によってその慣例が破られているので、何が正しいのかわからないことも多いのです。
お金を扱う会計係としてとても不安になりましたが、前任者に相談してもわからないことが多く困りました。
そのため、どうにかこうにかマニュアル通りにやることで精一杯になってしまうのです。2年目は少しは慣れて楽になるものの、PTA以外に家事・育児・仕事を抱える現代の母親たちには「何かを変えよう」・「変革しよう」という意志は残ってはいません。「もう1年だけ、何とかやり過ごそう」こう思うのも仕方がありませんでした。同じような苦しみが変わらぬまま続いて行くのも仕方がなかったと思います。
まさかの解散宣言!?
四苦八苦しながら「PTA総会」という一大イベントを何とか乗り越え、寄せ集め集団だったPTA本部役員も少しずつですが、チームワークと呼べるようなものが出来上がりつつあった10月。今まで
「責任は取るから、好きなように・やりやすいようにやっていいよ」としか言わなかった会長がある日、思いもよらないことを言い出しました。
「PTA、潰しちゃわない?」
「みんなPTAの活動って辛いよね。やりたくないけど、しょうがなくやっているって感じでしょ。やっていること自体もそんなに意味を感じないし。誰も得をしていないなら、解散しちゃえばいいと思うんだけど、どうかな?」
会長の言葉に凍りつく役員たち。「そりゃそうだけどさ、そんなことできるわけないじゃん」というのが、全員の頭に浮かんだことだと思います。しかし、会長は顔色ひとつ変えません。ここから、私たちの長く辛い改革の日々が始まりました。
【後編】へつづく
(ファンファン福岡公式ライター/Hoshi.ma.k.a東京ビッグブッダ)