【福岡バー案内Vol.1】今宵は、 世界でもトップクラスの福岡のバーへ、ようこそ!

福岡の地元の人はあまりご存じないかもしれませんが、福岡のバーのレベルは、国内でも高い評価を受けています。日本は最高の“バーテンダー王国”と世界が認めているので、福岡のバーは世界でもトップクラスということになります。福岡のバーに通い続けて40年を超える、Johnnie Walkerさんが文字通り歩いて福岡のお薦めバーにご案内いたします。

出典:フクリパ
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バーテンダー同士の仲が良く、「バー・ホッピング」が楽しい

福岡市内には、「バー」と名前の付く店が約600店、オーセンティック(正統派、本物の)なバーが約200店に上ると言われている。バブル経済前の昭和の時代には、20店程度であったが、バブル経済を経て、バブル崩壊後の平成不況の中でも増殖していった。 バーは不景気になると増えるとも言われ、リーマンショック前後でも店舗数は変わっていない。スナック・クラブのように高いセット料金がなく、自分の飲みたい酒を飲む。飲食そのものを楽しむ若者のライフスタイルにも合って、バーの利用が定着したとも言えそうだ。 バーと名の付く店の中で、オーセンティックなバーの境界線を引くのは難しいが、Johnnie Walker流にいえば、まず洋酒・カクテルがメインで(当たり前か)、店はカウンター中心、制服を着たバーテンダーがいて、落ち着いた照明で、音響も音楽のセンスも良い、と言ったところだろうか。美味しいつまみ(料理)があればなお嬉しい。

出典:フクリパ

福岡のバーには、日本バーテンダー協会(NBA)やホテルバーメンズ協会(HBA)の研修会などで研鑽し、協会やメーカーのカクテルコンテストで優勝、あるいは入賞したバーテンダーも多く、個人のレベルが高い。海外で、「福岡ではこのバーに行った」と伝えると、相手の態度が変わるような、そんな世界に名前が通っているバーもある。 福岡のバーテンダーは、酒の知識や技術もさることながら、客との接し方がフレンドリーで、コミュニケーションをとるのに慣れている。元々もてなすのに慣れている“福岡人”の気質そのままである。東京や大阪と比べると狭い地域でもあり、バーテンダー同士が知り合いで、仲が良い。他の店を気持ちよく紹介し合う文化があり、「バー・ホッピング(酒場のはしご)」が楽しい。 では、今宵は九州最大の歓楽街・中州で創業60年を超える老舗バー「ニッカバー七島」の直弟子である「BAR HEART STRINGS (バー ハートストリングス)」と「Bar Higuchi (バー ヒグチ)」の扉から、開けてみよう。

#1 BAR HEART STRINGS

ーーモヒート、いやそれ以上に、いい酒、いい音、いい雰囲気につつまれる 博多区中洲の中心、高級クラブが入居し、あでやかなお姉さんたちとエレベータで乗り合わせる「第3ラインビル」の5階にある。

出典:フクリパ

暑い夏の定番カクテルはやはりモヒート。ラムベースにライムとミントの葉をつぶしたロングカクテル。ここ10数年、フレッシュミントを使ったモヒートがブームだが、ここでは20年ほど前からモヒートに力を入れていた。モヒート発祥の地・キューバに居た人に相談し、何度もつくり替えて、今のスタイルに行き着いたと言う。 爽快感の強いスペアミントをたっぷり入れた、優しくて上品なハッカの味。甘さ控えめ、パンチが効いていて、後味が良い。特徴は最後にクラッシュアイスで満たすこと。マスターの橋本浩二さん曰く、「氷が少し溶けたぐらいの味がソフトになり、ハマる」。

出典:フクリパ:夏に限らず人気の「モヒート」

ミントの葉がいつでも手に入ることから、年中提供していたら、店の名物カクテルになっていた。食べログの評価も高い。スタンダードカクテルの名手である橋本さんには自分のオリジナルカクテルもあるが、お店のスペシャルカクテルと言うわけだ。

出典:フクリパ:橋本さんと店内の写真

橋本さんがこの5年近く取り組んでいるのが、「カクテルの王様」と呼ばれるマティーニ。ジンとベルモットをステアするだけというシンプルさゆえに、作り手のバーテンダーの個性が際立つ。ジンとベルモットの黄金比率があり、ある一定の比率なると、水のようにすっと入ってくるのだという。1ml単位で変わらないように、自分の目と手におぼえこませる毎日だそうだ。 そんなマティーニに出合えるのももうすぐかもしれない。そのときには、店名のHeart Strings(琴線)に触れることになろう。

BAR HEART STRINGS (バー ハートストリングス) ■TEL:092-262-3136  ■住:福岡市博多区中洲3-2-12 第3ラインビル5階 ■営:19:00~翌3:00(祝~翌1:00) ■休:日曜 ■席:28席 ■カード:可 ■喫煙:可 ■チャージ:500円

#2 Bar Higuchi

ーーモスコミュールだけでなく、随所に店主のこだわりが顔を出す 中洲大通り沿い、「多門ビル‘83」1階の一番奥、黄色のバック地に黒字で「H」のロゴの看板が目印である。看板下のショーケースには、ミニギャラリーと言ったら大げさか、国内外の現代アート作品を1カ月ごとに取り替えて展示している。

出典:フクリパ

店内は正面のバックバー(酒棚)以上に、右手の棚に所狭しと並ぶ、ウイスキーのボトルに圧倒される。その数1,600本、私、Johnnie Walkerが愛してやまないスコッチウイスキーのシングルモルト「ザ・マッカラン」(注1)はオールドボトル(注2)と言われる1938年物から90種類に上る。

(注1)スコットランド北部のハイランド地方スペイサイド地域に蒸留所がある。ここは「スコッチウイスキーのメッカ」と呼ばれ、スコットランド最大の集積地で50以上の蒸留所が存在する。 (注2)リリースから約30年(期間には諸説あり)経ったボトルは「オールド(ボトル)」と称され、「現行品」と区別される。オールドボトルしか置いていないバーもある。

ココはぐっと我慢して、お店のスペシャルカクテルであるモスコミュールでのどを潤す。長崎県は島原産の生姜をアルコール度数50度のウオッカに漬け込んだ自家製ジンジャーウオッカをベースにライムを絞り、ジンジャーエールで満たす。ジンジャーウオッカの作り方は生姜の仕入れに始まって、陰干し、3カ月ごとに入れ替えながら半年寝かせるなど…云々。

出典:フクリパ:店のスペシャルカクテル「モスコミュール」

モスコミュールは、お店特注の銅製マグカップで提供されるが、新潟県燕市にある創業200年を超える玉川堂の手による。マスターの樋口一幸さんは、カップの口を内側にカーブさせ、取っ手の触感にまでこだわった。生姜の香りがカップの真ん中からあがり、味もついてくる。カップのこだわりも半端ないから、話の続きはお店でどうぞ! 2杯目はもちろん、マッカラン。25年物はちょっとお高いかなと思っていたら、すかさず「ハーフで如何ですか」と樋口さんが胃にも財布にも優しい勧め方。こういう心配りが嬉しい。ストレートをショットグラスではなく、これまた内側にカーブしたグラスで、華やかな香り、ホワッとした重厚感が漂う。

出典:フクリパ:樋口さんと店内の写真

お店には、アイラウイスキーのシングルモルト「アードベッグ」(注3)も数多い。樋口さんは九州最大のウイスキーの祭典「ウイスキートーク福岡」(注4)を手掛けるなど、シングルモルトの世界では海外でも知られる存在である。 (注3)「ウイスキーの聖地」と呼ばれるほどウイスキーの蒸留が盛んなスコットランドの南西にあるアイラ島のシングルモルト。個性的な味わいのため好みは分かれる。 (注4)2010年にスタートした年に1度のウイスキーの祭典。国内の約50店のバーが協力し、昨2019年の参加者は1,900名。埼玉県秩父市のベンチャーウイスキー(肥土伊知郎代表)が造り上げたイチローズモルトのオリジナルボトルなども販売した。2020年は、コロナ禍のため、残念ながら中止に。

Bar Higuchi (バー ヒグチ) ■TEL:092-271-6070 ■住:福岡市博多区中洲3-4-6 多門ビル‘83 1階 ■営:19:00~翌1:00 ■休:日曜・祝日 ■席:21席 ■カード:可 ■喫煙:可 ■チャージ:500円 http://www.bar-higuchi.com/

※新型コロナウイルスの影響により、営業時間・定休日等が記載と異なる場合があります。来店時は、事前に店舗へご確認をお願いします。 文=Johnnie Walker(ジョニー・ウォーカー)

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成長する地方都市 #福岡 のリアルな姿を届けます。福岡のまちやひと、ビジネス、経済に焦点をあて、多彩なライター陣が独自の視点で深掘り。 「フクリパ」は「FUKUOKA leap up」の略。 福岡で起こっている、現象を知り、未来を想像し、思いをめぐらせる。 飛躍するまちの姿を感じることができると思います。 https://fukuoka-leapup.jp

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