あれは3年前の夏休み、息子が小学1年生の時です。共働きのわが家は毎日バタバタで、息子と十分に遊んであげることができませんでした。そこで夏休みに、大型温泉ホテルに泊まりに行くことに。妹家族も一緒に、2家族で総勢7名の旅行! しかし、楽しみにしていた夕食のバイキングで、私は衝撃的なミスをしてしまうのです。
ようこそ! パラダイスへ
息子は、年齢の近いいとこと打ち解けて大はしゃぎ! 夕方には
「おなかすいた」と言い出しました。
「今日はバイキングだから、もう少し待って」と諭す私。私は朝からコーヒー1杯で夕食に備えています。
夫に子どもたちを任せてチェックインする私。カードキーと一緒に渡されたのは1枚のドリンク券。
「お飲み物をご注文の際は、こちらをご提示ください」とフロントスタッフに言われるがまま受け取りました。これが大惨事になろうとは…。
年に一度の家族旅行。リーズナブルなバイキングコースもありましたが、奮発して「プレミアムバイキング」を予約していました。
温泉に入り、浴衣に着替え、バイキング会場へ到着すると夢のような世界! 天ぷらや寿司コーナーには板前さんが、ステーキコーナーにはシェフがいて一品ずつ目の前で作ってくれるのです。さすがはプレミアム!
バイキングで至福の時間
バイキングが初めての息子は
「これ全部食べてもいいの?」と大興奮。カニ、生ハム、フカヒレにフォアグラ…。一通り料理を取るとスタッフを呼び、飲み物を注文することにしました。
私はフロントで言われたようにドリンク券を提示。
「メニューから何を選んでもいいんですか?」と尋ねると、スタッフは少し不思議そうな顔で
「どれでもお好きなものをお選びください」と。
「とりあえず生ビール4つと、コーラ3つ」さあ、宴会の始まりです! いつも発泡酒で我慢している夫は、ここぞとばかり高級ビールを頼み、私と妹はワインを注文。義弟は日本酒です。スタッフは注文の品を運んできては、伝票に何やらチェックを入れていますが、私たちは気にも留めず120分間の制限時間ギリギリまで食べて飲んで至福の時を過ごしたのでした。
天国から地獄
翌朝、会計のためフロントに。
「お会計をお願いします」と言うと、フロントスタッフは優しく微笑んで
「ありがとうございます。〇〇円でございます」と一言。ネットで予約した料金よりも、3万円高いのです! 私は何かの間違いだとスマホをかざして
「料金が違うのですが。冷蔵庫も使っていませんし」と自信満々に答えました。
「確かに冷蔵庫のご利用はありませんが、お夕食の飲み物と10%のサービス料を頂戴いたします」と涼やかに答えるフロントスタッフ。
「だって飲み放題ですよね?! ドリンク券もいただいたし」とスマホをかざすと「小学生未満ドリンク無料」の文字が飛び込んできたのです。予約票を改めて見返すと「別途、飲み放題プランもあります」と…。
そう、あのチケットで無料になったのは、1歳の甥っ子が飲んだリンゴジュース1杯のみ。 他は単品でカウントされていたのです。
完全に、私の見落とし勘違い。1カ月分の食費を1晩で使いました。
「お客様、大丈夫ですか?」の声に意識を取り戻し
「カード10回払い。いや20回払いでお願いします」とつぶやく私。そばにいた妹も、飲み物代別と仰天。
「お姉ちゃん大丈夫? なわけないよね…」と気の毒そうに一言。一瞬にして天国から地獄に突き落とされた瞬間でした。
それ以来私は“無料”の文字に敏感になり、2度見チェックを怠らなくなりました。
(ファンファン福岡公式ライター / みっちー)