「孫にランドセルを買ってあげたい!」というおじいちゃんおばあちゃんは多いと思います。わが家でも私の母と、夫の母がランドセル購入に名乗りを上げ、水面下の戦いが始まりました。今回は、小学校入学前に起きたわが家のランドセル騒動をお話しします。
ラン活スタート
わが家のラン活がスタートしたのは、息子が年中の冬でした。きっかけは私の母。お正月休み、遠方にある私の実家に帰省すると、母が切り出します。
「そういえば孫くんのランドセルはどうするの?」
「え? 小学校に入るのは再来年だよ?」
このときの私は「ラン活」という言葉すら知らず、呑気なものでした。母は数枚のパンフレットを取り出し、テーブルに置きます。
「ほら、もう予約が始まってるの。3月には展示会があるから行ってみない?」母の目はキラキラと輝き、初孫のランドセルを買う気満々。私には「まだ早いのでは?」という思いがあり、
「うーんそうだねえ」とぼやかします。夫と息子は興味がないらしく、テレビゲームに興じていました。
祖母VS祖母、水面下の戦い
冬休みが明けると、ママ友との話題にランドセルが出るようになりました。わが家もそろそろ本腰を入れなきゃなあと思っている最中、姑から電話が来ます。
「孫くんのランドセルをプレゼントしたいんだけど…」夫の実家は隣の市にあるため、義母は一緒に買いに行きたい様子。お礼を言いつつ、私の母からもランドセルを贈る申し出があることを伝えました。これがまさか火種を生むとは…!
義母は、私の話を聞いても、
「でも端午の節句の兜も向こうのお母さんが買われたでしょ? 今回はこちらが払いますよ」と、ランドセル購入について強い意志を感じます。普段は穏やかで優しい姑の頑固さに、私は驚きました。もしかしたら、息子の初節句の際、姑に相談しなかったことを根に持っているのかな…? と申し訳ない気持ちになります。
姑との電話を切った後、実家の母に連絡しました。
「ランドセルの件、夫の実家からプレゼントしたいって言ってるんだけど」そう伝えたのですが、母も引きません。
「でも向こうの実家にはお兄さん家族がいて、ランドセルを買ってあげてるでしょ? うちは初孫だから」どちらのおばあちゃんも孫の成長を喜んでくれているのはわかります。しかし、板挟みになった私は「勘弁してよー!」という思いで、胃がキリキリ。
苦悩する私のもとへ自治体から一通の封書が届きました。書面のタイトルは「ランドセル贈呈について」です。
ランドセルは買わなくていい!
書面によれば、息子が入学する年から「自治体でランドセルを贈呈する事業」が始まるそうです。貰えるのは決まった形のランドセルではなく、数種類の中から好きな色やデザインを選べるとのこと。
私は書面を見て「ヤッター!」と叫びそうになりました。自治体からの贈呈ならば、角が立たずに母と姑の申し出を断れます。さっそく母と姑に電話で事情を話し、
「息子もお友達と同じデザインにしたい思う」
「違うランドセルだと仲間外れにされるかも…」と熱弁しました。
双方は
「そういうことなら…」と納得。ランドセル戦争の回避に成功しました。息子は、仲良しのお友達と同じオーソドックスな黒ランドセルを選び、届いたときには
「○○くんとお揃いだ!」と大喜び。母にはランドセルを背負った写真を送り、姑には見せに行きました。母も姑も
「似合うよ、かっこいいねえ!」と喜んでくれたので一安心。争いをおさめてくれた公共事業に感謝しつつも、6年後の中学入学を思うとゾッとするのでした。
(ファンファン福岡公式ライター/芦谷)