“写真の町”北海道東川町がふるさと納税で映画づくり 映画「カムイのうた」撮影中  

 「アイヌ神謡集」の著者、知里幸恵をモデルにした映画「カムイのうた」の製作が7月から始まりました。明治期に生まれた知里幸恵は、アイヌだからという理由で差別やいじめを受けながらも、文字を持たないアイヌ文化を初めて日本語に訳した「アイヌ神謡集」を完成させ、アイヌ文化の継承と復権に大きな影響を与えました。

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アイヌの言葉を日本語に訳し伝えた女性

北海道・忠別湖畔での撮影の様子

 本作は彼女の生涯をモチーフに、明治・大正期、土地や生活を奪われ衰亡の危機にひんしていたアイヌ民族の生き様や伝統、文化を、雄大な北海道の自然の中に描き出します。

北海道の大自然の中ロケを敢行

吉田さんと望月さんに演技指導する菅原監督

 7月中旬、アイヌ語で「カムイミンタラ(神々が遊ぶ庭)」といわれる北海道最高峰の旭岳を望む忠別湖畔でロケを敢行。主人公のテル(吉田美月喜さん)が伝統楽器の「ムックリ」を演奏するシーンや、恋人の一三四(望月歩さん)とアイヌ差別について語り合う重要なシーンが撮影されました。脚本も手がけた札幌市出身の菅原監督は「派手さはないが、登場人物の心の揺れが見る人を揺さぶり感動させる。アイヌのために支援したいという全国の人に見てもらいたい」と話します。撮影は年を越えて続き、来年秋ごろに完成の予定。

ふるさと納税で支援を募る

 この映画は全国高等学校写真選手権大会「写真甲子園」で知られる北海道東川町が企画。町へのふるさと納税で個人、企業から支援を募り、映画の完成を目指します。ふるさと納税では、金額に応じて映画のエンドロールへの名前の掲載、無料の上映権利などの特典が用意されています。

撮影現場で右から菅原浩志監督、吉田美月喜さん、望月歩さん

【ストーリー】
 アイヌの血を引く少女テルは、アイヌの子ども達だけが集められた「土人学校」に通っていた。学業優秀なテルは進学を希望するものの、アイヌであることを理由に不合格となる。叔母エンネッコンが歌い聞かせるアイヌの口承文芸ユカに心癒されるテル。ある日、アイヌ語研究の第一人者・兼田教授が東京からやってきた。教授はアイヌ語と日本語が話せるテルに、ユカを文字で残すことを勧める。テルは文字を持たないアイヌ文化を文字にして残すことは大切なことと感じ、上京を決意する。二度と故郷に戻れない運命を知らずに…。

映画「カムイのうた」

監督・脚本:菅原浩志
出演:吉田美月喜、望月歩、阿部進之介、島田歌穂、加藤雅也

※この記事内容は公開日時点での情報です。

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