福岡の書店員さんに福岡ゆかりの本を紹介してもらうファンファン福岡の「福岡キミスイ本」シリーズ。27回目は、アミュプラザ博多(福岡市博多区)にある「丸善 博多店」の徳永圭子さんを訪ねました。さらに、おうち時間の気分転換にぴったりの、この時期に読みたい9冊を紹介します!
福岡の書店員さんの書評140タイトル分が詰まった“本のガイド”!
「暗がりで本を読む」 徳永圭子
―明けましておめでとうございます! 2020年もたくさん面白い書籍を紹介してくださった丸善 博多店さんですが、新年1冊目は何が控えているのでしょうか。 実は、私が昨年10月に書籍を出したんです。「暗がりで本を読む」(1,600円+税)というタイトルで、本の雑誌社さんから発行しました。私が「本の雑誌」や西日本新聞などで書いてきたコラムや書評を1冊にまとめています。「目立つ本じゃないけれど、読んでみたらこの本面白いんですよ!」っていう、今まで手に取ったことのない本を知るきっかけや“ガイド本”になれたらいいなと思って書いたので、今回はこれを紹介させてください!
―すてきなタイトルと装丁です。このタイトルにした理由は? 私がよく本を読む場所が暗いんです(笑)。薄暗いバーや喫茶店など、そういう場所で本を読むのが好きで。嫌なことがあると暗い場所へ足が向いていたりするんですよね、夜の街とか。 装丁は「クラフト・エヴィング商會(しょうかい)」という、夫婦でユニットを組んでいるデザイナーさんが担当してくれました。ぼんやりとした暗がりの中、一つ光る星が本当に大好きなデザインです。 ―コラムや書評で紹介しているのは、どんな本ですか。 書評、書き下ろしを含め、幅広いジャンルで140タイトル程をまとめています。個人的に好きなジャンルがエッセーなので、少しエッセーが多いかもしれません。 書店員としては珍しいのかもしれませんが、私はもともと、“本の虫”っていうほど読書が好きだったわけでもなく、書店員という仕事に就いてから読み始めたような人間なので、難しい本や専門的な本などは紹介してないです(笑)。
―今作に載った書籍を集めた棚を拝見しましたが、確かに難しそうな本はなかったです(笑)。聞いたことのないタイトルが多いなあとは思いましたが…。 そうなんです! すごくいい作品って世の中にたくさんあるのに、日の目を見ないことも多くて。少しでも皆さんが手に取るきっかけになったらいいなと思っています。コロナ禍でまた読書を始めましたというお客さんも多く、そういった人が「本を読む楽しさ」を思い出してくれたらうれしいです。 昔はたくさん読んでいたのに、日々の忙しさにかまけて読まなくなったという人も多いですよね。でもこういう時代だからこそ娯楽って必要で、そのガイドができればいいなと。実際に「徳永さんの本を読んで、気になった本があって買いに来ました」という声もいただいて、それが本当にうれしかったです。書いてよかったなあと思いました。 ―まだまだステイホームが続きそうですし、オススメ本を読んで読書の幅を広げたいですね! 続けておすすめの9冊を紹介します。
「丁寧に考える新型コロナ」【光文社】
岩田健太郎/著 960円(税別)
長期戦が予想される新型コロナウイルス。その対応策については常に議論がつきまといます。正解が分からないだけに、いかに選択していくのか―。本書は「分かったつもり」でなく、「本当に分かる」ために改めて新型コロナウイルスを考える内容となっています。「8割おじさん」西浦博氏との対談も収録。発売後、たちまち増刷に!
「ライト・スタッフ」【潮出版社】
山口恵以子/著 1,800円(税別)
舞台は「映画」が「娯楽の王様」だった昭和30年代。撮影現場で繰り広げられる俳優や監督のプライドを懸けたせめぎ合い。命を燃やして時代を創った裏方たちの奮闘と苦悩。一人の青年照明技師を軸に描く、松本清張賞作家による渾身の長編小説!
「マンガでカンタン! 中学英語は7日間でやり直せる。」【学研】
澤井康佑/著 1,200円(税別)
「中学英語」を7日間でやり直せる、ストーリー仕立てのマンガ講義。全7章の講義には「英語って、こう覚えればいいのか!」という驚きや新発見が満載。英語をもう一度やり直したい大人、英語の勉強を基礎からおさらいしたい中学生や高校生にピッタリな一冊です。
「新型コロナからいのちを守れ!」【中央公論新社】
西浦博/著、川端裕人/聞き手 1,600円(税別)
厚生労働省クラスター対策班の中枢でデータ分析に従事し、「8割おじさん」と呼ばれた数理モデルの第一人者が、未知のウイルスとの闘い、専門家による情報開示への挑戦、政治家・官僚との葛藤まで、ストレートに本音を語っています。「科学者の社会的使命とは何か?」自らに問いながら走り抜いた半年間の記録。
「『嫌いっ!』の運用」【小学館】
中野信子/著 780円(税別)
「嫌い」で終わるのはもったいない! 好悪の感情は、人間として生きていく上で、必ずついて回るもの。本書は「嫌い」の正体を脳科学的に分析し、同性、異性を問わず、日々の他人との付き合いを楽に、かつ有効に機能させ、戦略的に利用する方法を提案します。「嫌い」の感情を活用して上手に生きる、具体的な術が満載の1冊です。
「トッカイ 不良債権特別回収部」【講談社】
清武英利/著 800円(税別)
狂乱のバブル経済崩壊後の「失われた20年」のさなか、日本中の不良債権取り立てに奮闘する国策会社=整理回収機構。そこで働く面々は、その多くがバブル崩壊で破綻した金融機関の出身者だった。貸し手側から取り立てる側へ―泥沼の債権回収に奮闘した、男たちの物語。
「アパ社長カレーの野望」【青春出版社】
元谷拓/著 1,500円(税別)
累計販売実績が700万食を達成するほど大人気の「アパ社長カレー」。ホテルカレーがなぜここまで大ヒット商品になったのでしょうか? そこには人とモノを巻き込む「仕掛け」と「思い」が込められていました! アパホテル代表取締役専務でアパ社長カレーのプロデューサーである著者が、“逆境を楽しむ”アパホテルの独創的経営戦略を初公開した一冊。
「奇蹟のピアニスト 人生哲学 やがて鐘は鳴る」【双葉社】
フジコ・ ヘミング/著 1,800円(税別)
感動を呼ぶ“奇蹟のピアニスト”フジコ・ヘミング。壮絶な人生を歩んできた、異才ならでは生き方に迫った自伝的エッセーです。「何かをあきらめる必要はない―」苦しんでいるすべての人に届いてほしい、慈愛に満ちたメッセージが込められています。また、孤高の天才の生活に密着した貴重な写真も多数掲載。
「農家が教える もち百珍」【農文協】
農文協/編 1,800円(税別)
お正月の白餅を上手に作るコツや、人気のヨモギ餅を色よく仕上げるためのヨモギの採取や下処理、混ぜ込み方など名人の技を詳しく紹介。ニンジン、紫イモ、ミカン、ショウガなど色々な野菜や果物などを使った変わり餅のアイデアも満載。カビを防いだり、冷めても固くならない餅にするなどの裏ワザも収録されています。
いかがでしたか? おうち時間は読者が一番! 新型コロナウイルス関連の知識もしっかり身につけたいですね。来月もお楽しみに。
福岡の書店員さん、君の推薦する本を読みたい【福岡キミスイ本 第26回】<読者プレあり>