PTAは苦情窓口? クレーム殺到の背景には追い詰められた母たちの姿が…

 私は小学生の息子を持つワーママです。PTA役員をした際、お母さんたちがいかに追い詰められているかということを痛感する出来事がありました。日本の社会が抱える問題を、ぜひ皆さんにもシェアできたらという思いでこの文章を書いています。

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何があってもやらねばならないPTA役員制度

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 PTA役員は必ずやらねばならない… 日本の小学校にはそんな風潮がありますよね? 仕事があろうが妊娠中であろうが、どんな事情があろうとやるべきもの、という暗黙のルールです。

 わかってはいましたが、なかなか都合がつかず役員をやっていなかった私。息子が小学6年になる際、ついに
 「まだやってないですよね?」とお声がかかりました。もう逃れる術はなく、清水の舞台から飛び降りるような気持ちで役員を引き受けることに…。

 息子の小学校では子ども達の登下校の際に保護者の見守り当番があり、私はその当番表を作る担当になりました。月に1回ほど当番表を作り、印刷して保護者に配布することが主な仕事です。家事育児仕事だけで既に手一杯なので、役員の仕事はスキマ時間を使って取り組まざるを得ませんでした。

やまないクレームの電話に疲弊する役員

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 それでも役員達は文句一つ言わず黙々と仕事をこなしています。でも当番表の作成以上に手間取る案件が発生しました。それは保護者からかかってくるクレームの電話対応です。
 「せっかく当番に立っているのに、誰も通らない」
 「なんで時間通りに子どもが下校しないの?」
 「仕事が忙しいから当番はこの日にしてほしい」

 「新型コロナウイルスの影響による急な欠席者もあり、誰も通らない日もあります」
 「下校指導はしていますが、子どもゆえ時間通りに通らないこともあるかもしれません」
 「予定をその都度聞いて調整する余裕がありません。お知り合いの方と交代してください」などなどクレームの度、事情を丁寧に説明します。

 しかし相手は割り切れない思いを抱えて電話してくるため、すぐには納得できないようです。仕事の都合もあるのに… と私自身も感じたことがあるので、共感しつつ
 「お忙しいのに本当にすみません」と平謝りする日々。こんなクレームが続いて、役員も精神的に参ってしまいそうです。

なんとか支えている日本の子育ての現状

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 家事に育児に仕事にと、日本のお母さんは毎日目の回るような忙しさ! 正直私ももういっぱいいっぱい。そんな時にせっかく仕事を休んで当番をしたら誰も通らなかった…。なんで?! という気持ちは痛い程よくわかります。

 どうにかならないかという思いを役員にぶつけるしかないのでしょう。でもクレームをぶつける相手も同じ手一杯のお母さん。お母さんがお母さんを追い込んでいく… という悲劇が起こっています。業を煮やした役員の中から、見守り当番の外部委託化の声が挙がり始めましたが、学校との調整や保護者の同意を得るなど、実施までにはまだまだ時間がかかりそうです。その間もクレームがやむことはありません。

 日本では子育てという大きなバッグを一人で背負っているお母さんが多いですよね。母の大きなストレスは、子どもにも良くない影響を与えるかもしれません。根本的な解決は難しいかもしれませんが、身近にいるお父さん、おじいちゃんおばあちゃんがそのバッグを少し分けて背負うことはできませんか? 
 
 まずは「困ってることはない?」と声をかけることから。その小さな一言がお母さんを救い、将来日本の社会を担う子どもたちの未来を支えることになるのではないでしょうか。

(ファンファン福岡ライター/ 日野原花)

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