日本三大暴れ川のひとつ「筑後川」。 この川を舞台に、伝説になった男がいることをご存知ですか? 「鯉とりまあしゃん」。 本名は上村政雄さん。1999年、85歳で亡くなりましたが、筑後川に素潜りして素手で鯉をとる名人だった「まあしゃん」は伝説となって語り継がれています。
久留米市田主丸町に、まあしゃんが始めた川魚料理店があると聞き、さっそく訪ねてみました。
あったあった!ここですね。 店内には、在りし日の輝かしいまあしゃんの写真が飾られていました。
水中メガネをかけ、もりで大きな鯉を仕留めたまあしゃんが…。すごい迫力です。 まあしゃんは、火野葦平の小説「百年の鯉」のモデルとなり、「鯉抱き」というまあしゃんをたたえる歌もあるそうです。 「鯉抱き」のタイトルのように、まあしゃんの鯉とり手法は、鯉を腕に抱いてとるもの。川底にもぐり、鯉の巣穴を見つけると片方の手の平で鯉の目を塞ぎ、赤ちゃんを抱くように優しく腕に鯉を抱いてとっていたそうです。多い日には1日に100匹、全長95mの巨大な鯉を捕まえたことがあるそうです! 「筑後の生き河童」とたたえられ、74歳まで現役を貫いたまあしゃんは、女性にもかなりモテたようです。生前、まあしゃんは「(鯉とりの秘訣は)女をくどくようにそーっと近づき、女を抱くように優しく腕に抱く」と話していたそうです。なるほど…。 さて、まあしゃんの伝説をいろいろとお店の方に伺ったところで、鯉料理を。
川魚は生臭いイメージがあったのですが、まったくそのようなことはなく、プリップリのお刺身も歯ごたえがあり、とても美味しかったです。 今回伺ったお店のすぐ近くには「鯉の巣本店」がありました。どちらもまあしゃんのご親族が経営されているようです。
それにしても、伝説となって語り継がれるまあしゃんの魅力は底知れないものがありました。 雄大に流れる筑後川を眺め、全盛期のまあしゃんの勇姿を想像した一日でした。