44歳芸人 小遣い500円の涙ぐましい日々 vol.11

前回44歳でアルバイトがんばってって言われる身にもなって下さい。44にもなって、あっ、あの人アルバイトしてるんだって、高校生じゃないんですから、恥ずかしすぎるでしょ。 そういう時は、うやむやに『仕事』でいいと思うんですが。   お酒を飲んでご陽気に歌っているって言われますが、決してご陽気には歌ってません。 私が歌っているのは、ビートたけしさんの嘲笑、玉置浩二さんのメロディー、小田和正さんのたしかなこと等、どれも悲しくて、切ない、バラードばかりです。そして時には、お酒を飲みながら、涙して歌っているのです。 そんな珠玉の名バラードの数々が、ご陽気に聞こえるという事は、それはもう、私の歌が下手くそという事をあなたは、言いたいのでしょうか。   健康に気をつけて、朝ごはんを食べていますかという事ですが、あなたがいない朝、どんな行動をしているか教えましょうか。   たけのりを起こす。 ↓ 妖怪ウォッチのパンを食べさせる。 ↓ 着替えさせる。 ↓ 保育所に送っていく。 ↓ 家に帰ってくる。 ↓ たけのりの残した妖怪ウォッチのパンがある。 ↓ ほったらかしていたらパンがカピカピになるから、その前に、それを食べる。 ↓ 仕事に行く。   という事で、朝食は、たけのりが食べ残してくれたパンをありがたくいただいております。 だから、つまりは、たけのりがパンを完食してしまった場合は、朝食はないという事です。 ですから、私は、毎朝、弁当の準備をしながら、たけのりが完食しない事を願いつつ、その風景を見守っています。 おい、もう残せ。食べるなよ。全部食べるなよ。全部食べやがった! 褒めてもらおうと、 「ぼく、ぜんぶパンたべたよ。」 こう嬉しそうに言ってきます。 そう言われた時は、俺のパンがない。今日は朝食抜きか、そんな複雑な気持ちで、 「偉いね〜。」 とは言いますが、子供は敏感です。 顔に出ているんでしょう。 「パパ、ニコニコしてないじゃん。」 そう言ってきます。 私は、無理矢理ニコニコします。 完食された場合は、保育所に送る自転車のペダルがいつもより重く感じます。   お願いです。ジバニャンの絵のクリームパンを買うのは止めて下さい。   統計を取りますと、たけのりの野郎は、これは、ほぼ完食するのです。

出典:ファンファン福岡

ですから、メロンニャンの絵のメロンパンにして欲しいんです。メロンパンは回りが固いからか、ほぼ残してくれます。

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自分で食パン食べればいいやんとか、野暮な事は言わないで下さい。そんな時間はないんです。朝はタイトなスケジュールで動いています。そんなことしてたらバスに間に合いません。 だからこそ、私の健康を考えていただけるのであれば、メロンニャンのメロンパンにしていただきたいのです。 でないと、朝、パンを食べないとなれば、私は夜まで何も食べない事になるのです。 そう、昼ごはんは食べていません。これが昼ごはん食べてますかに対する私からの解答です。   朝、いつもあなたは500円を置いていってくれます。 私が何も言わないので、あなたは気付いてないのでしょう。私も自分の稼ぎが少ないと言う負い目がありましたので、控えさせていただいていましたが、今、勇気を持って言わさせていただきますと、 「十何時間、外におるのに、44歳の男が、一日、500円で足りるか!」 あなたに買っていただいたバスの定期は、夜の23時までは乗り放題という物です。23時までに家に帰るならいいですよ。 しかし、ほとんど、私は、23時を過ぎて、家に帰っています。と言う事は、バス代が発生していると言う事です。 バス代が370円です。それを差し引いて考えると、使えるお金は130円です。 ホッと一息ついて、調子に乗ってコーヒーでも飲もうものなら、もう私の手元にはお金は残っておりません。 ホッと一息つけないんです。こんなホッと一息もつけないのに、昼食を食べてますかなんて聞かないで下さい。 食べてる訳ないでしょう! 食べれる訳がないでしょう! 誘惑に負けて、食べてしまえば、夜中に、15キロ強の道のりを歩いて帰らないといけないという罰ゲームが待っているんです! 営業先に行ってもそうです。ステージに立つ時、主催者の方が貴重品預かりますって言ってくれるんですが、皆が、預かってもらっている中、僕だけ財布なんか預けた事もありません。 幸いな事に、そんな僕を見て、後輩達は、男らしいと思ってくれているみたいですが…。 もう楽しみは、バイト先で食べる賄いご飯だけです。

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20代のバイトの子たちに言われています。 「森本さん、40過ぎとうのに、エゲツない食欲ですね。」 私は聞こえないふりして、ただただ、ご飯をお代わりしています。   なので、お客さんが、おにぎりとか、お茶漬けとか頼みすぎて、ご飯物のオーダーがどんどん入る時は、注文を聞きながら、自分の食べる米は残っているのか、ジャーの中ばかりを心配し、仕事が手につきません。

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それでも、お客さんがご飯物のオーダーをどんどんしてくる時があるんです。 そんな時の、注文を受けている私の顔を、タケノリが見たら、きっとこう言うでしょう。 「パパ、ニコニコしてないじゃん。」 あなたの知らない私の食生活はこんな感じです。 でも大丈夫です。そういうリズムに身体も慣れて来ています。 よく巷では、一日一食の健康療法なんてものがあります。それを知らず知らずのうちに、あなたのおかげで、実践させていただいております。 ただ、『一日一食』それが正しいのかどうかは、色んな見解があり、定かではないでしょう。 でも、その真実の答えを、あなたなら導き出せるかもしれません。 だって、一日一食で、人間は本当に健康になれるのかと言う実験を、あなたは、一番間近で観察しているのです。 あなたは、あなたの知らない間に、私というモルモット、いや、モリモットを使って、実験しているのです。 いつか、この実験の成果を世間に発表して下さい。 今後の医学界の為にと、そう思う事にしたら、なんとか、まだ、一日500円でもやっていけそうな感じがしてきました。

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夫のりひさより  

※情報は2015.12.7時点のものです

出典:森本夫妻

※この記事内容は公開日時点での情報です。

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