冠婚葬祭時の贈答品の包み紙などを飾る帯ひもとして、古くから日本人に親しまれている「水引」。福岡市在住の長浦ちえさん(福岡市)は、若い世代にはなじみが薄くなりつつある水引を「もっと暮らしの中に溶け込ませたい」と、ユニークなポスターやアクセサリーなどを制作している、全国でも数少ない水引専門のデザイナーです。
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水引は、和紙を固めて作るひものこと。一般的にご祝儀袋や正月飾りなどに使われますが、色の組み合わせや結び方で多彩にアレンジできます。
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長浦さんは23歳のとき、「たまたま求人誌で『水引デザイン』の文字が目に留まって」水引と出合い、デザイナーとして企画会社に就職したそうです。その後、フランスに渡り、フリーの水引デザイナーとして活動。パリの有名ホテルなどに作品が展示されたこともあるそうです。「フランス人の多くがリボンではなく、紙で思いを結ぶ水引に、細やかな日本人の精神性が表れていると感動していた」と長浦さん。渡仏の経験を機に、長浦さん自身もまた、水引の美しさを再認識したそうです。
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水引デザイナーとして長浦さんが注目される理由の一つが、「こんなものも水引で?」という驚きの作品を誕生させること。福岡市・天神の商業施設イムズで展開中のキャンペーンポスターでは金色の水引でイムズビルを表現し、自身の母校・福岡女学院創立130周年イベントのチラシでは細かく切った水引などを利用してバッハの肖像画を浮かび上がらせました。
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TIER(タイヤー)アクセサリー、動物や花など現代的な結び方を次々と生み出し、伝統的な結び方とポップなイラストを組み合わせて新たな魅力を発信する長浦さん。黒柳徹子さんも長浦さんの手にかかればこんな風に…!
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すごいです。これまで誰が『黒柳徹子さんの髪型が水引で表現できる』と考えついたでしょうか?発想の柔軟性、水引の表現力に脱帽です。 長浦さんは水引の魅力を「思いを結びに託すこと」と語ります。配色、結び方など、細かいところまで気を配り、結んだ縁が広く長くつながってほしいとの思いを込めて作られる。そんな水引には「目に見えない何かが宿っている」そうです。
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「現代的な水引を提案しつつ、長い時間をかけて受け継がれてきた水引の歴史も大切にしていきたい。水引の奥ゆかしさや美しさを、これからも多彩に表現していきたい」と話す長浦さん。フォーマル、カジュアルな場面を含め、海外に対しても身近な人に対しても、ご縁に感謝してコミュニケーションを深めていく長浦さんの水引は、「現代のコミュニケーションツール」として、ますます活躍の幅を広げていきそうです。