ハロウィンの日は、仮装をしたり、ハロウィンにちなんだ料理やお菓子を食べたり、子どもにとっては楽しいイベントですよね。今でこそわが家も楽しめるようになりましたが、数年前はハロウィンの日になると、実家に避難しなければならない、ある理由がありました。
新居で初めての子育て
当時、私と夫、0歳の息子の3人家族が住んでいたのは、ファミリーに人気の中庭付きのアパート。中庭を囲うような構造で、約20世帯が住んでいました。中庭では、幼稚園児から小学生の子どもがよく遊んでいて、私が息子を連れて外に出ると、駆け寄ってきて、いつも息子のことを可愛がってくれていました。
そんな息子はとても神経質。毎日夜泣きがひどく、朝まで抱っこしたり、子守唄を延々と歌ったり。数カ月に渡って睡眠不足が続き、私も精神的に疲れ果てていました。そこで、夜泣きを改善するため、タイムスケジュールを徹底し、1日のリズムをつけることに。
大変な日々が続きましたが、だんだんと息子が夜19時頃に寝る習慣がつき、夜泣きの回数も減ってきました。「やっと寝不足から解放される!」とホッとしていた頃に、やってきたハロウィンの日…。
突然の来客
いつものように息子を寝かしつけ、残った家事をしていると、ピンポーンとインターホンが。出てみると、仮装をした近所の子どもたちが10人ほど集まっていました。
「ハッピーハロウィン! お菓子をくれないとイタズラしちゃうぞ!」と声をそろえて叫ぶ子どもたち。敏感な息子は起きて、泣き叫びました。 私があたふたしながら
「ごめんね、今赤ちゃんが泣いているから…」と言うと、子どもたちは少し申し訳なさそうにしながら隣の家に行き、同じようにインターホンを鳴らしていました。
次々に家を回っていたようで、アパート中に響き渡る
「ハッピーハロウィン!」の声。時々、保護者の笑い声も聞こえてきました。21時を過ぎた頃にやっと静かになり、泣き続けていた息子もようやく夢の中へ…。
神経質になっていた私の気持ち
何事かと思っていましたが、翌日ポストを見ると
「今日はハロウィンなので、みんなで仮装してお菓子をもらおう☆」と子どもの字で書かれた手紙が入っていました。育児に追われていた私は、ポストを見るのを忘れていて、昨日の手紙に気づいていなかったのです。
今振り返ると「1日限りの子どもの楽しいイベントなのだから」と思うことができますが、このときの私は初めての子育てで神経質になっていたこともあり「これはちょっと非常識じゃないかな…」と、しばらくモヤモヤとした気持ちで過ごしていました。
しばらくすると以前と変わらない日々が続き、子どもたちも息子のことを相変わらず可愛がってくれていました。そして1年が経ち、またやってきたハロウィンの日。去年と同じように手紙が入っていて、ぜひ息子にも仮装してきてほしいという内容が書かれていました。
きっと参加をすれば息子が喜ぶのは分かっていましたが、やはり1年前の記憶を思い返すと、他の家庭に迷惑をかけられないと思い
「ごめんね、その日はおばあちゃんの家に行くから留守にしています」と返事を書き 、手紙をくれた子の家のポストに入れて、実家に避難したのでした。
周囲への配慮は大切
その後は家を建てアパートを出ましたが、きっと今もハロウィンのイベントは続いていることでしょう。私も現在は2児の母なので、「子どもたちを楽しませたい」という親の気持ちも分かりますが、周囲への配慮は忘れてはいけないと肝に銘じています。
(ファンファン福岡公式ライター / canaママ)