今回は、卵巣・卵子と不妊の関係についてお話します。
卵子のもとはどんどん減っていく 卵子は、赤ちゃんを授かるために欠かせないお母さんの分身。女性は胎児の時点ですでに卵巣の中に一生分の「卵子のもと」を蓄えています。この卵子のもとは「原始卵胞」といって、出生時に約200万個あると言われています。それが月経がはじまる思春期には約30万個まで減少し、それ以降も月1,000個程度のペースで減り続け、大抵50歳頃にはほぼなくなって閉経を迎えます。
若くても月経がなくなる「早発閉経」 人によっては、もともと原始卵胞の数が少なかったり減少するペースが人より速かったりする場合があります。中でも20~30代で原始卵胞が尽きて月経がなくなることを「早発閉経」といいます。早発閉経となれば、自然妊娠は難しいと言えます。 原始卵胞の数で決まる卵巣年齢 そうなると、今の自分の卵巣にはどれだけ卵子が残っているか、つまり卵巣年齢がどのくらいかが気になりますよね。これは、原始卵胞が卵子に成長するときに分泌される抗ミュラー管ホルモン(AMH)の値を血液検査で調べれば分かります。卵子に成長する原始卵胞の数は、年齢に比例するとされています。例えば、AMH値が高いということは原始卵胞がたくさん成長しようとしているので、卵巣年齢は若いと考えます。一方、AMH値が低い場合は成長している原始卵胞が少ないので、卵巣年齢は高いと判断します。 ただ、AMH値には個人差がありますし、また卵巣年齢が高くても卵子がきちんと排卵されていれば妊娠は可能です。不妊には、むしろ「卵子の質の低下=卵子の老化」が大きく関わっていると言えます。 ちなみに、AMH値の検査は不妊治療を行っている産婦人科などで検査が可能ですが、健康保険は適用されないため自由診療(自費)となります。検査を希望される方は、医療機関へ検査が可能か否か、またその費用などを事前に確認することをおすすめします。 卵子の質の低下(卵子の老化)が不妊の原因に 原始卵胞は胎児のときから卵巣で待機しています。そのため、年齢とともに原始卵胞も年をとり、卵子に成長するときに必要なエネルギーを確保する力も落ちていきます。そうすると、せっかく成長したにもかかわらず、染色体に異常のある卵子になってしまう可能性が高くなります。卵子に染色体異常があれば、精子と出会っても妊娠が成立しなかったり、流産しやすくなったりします。また、生まれてくる子どもに先天性の病気が見つかるリスクも高くなると言われています。
「月経がある=妊娠できる」じゃない! 卵子の老化は年齢とともに進んでいきます。そのため、不妊治療にチャレンジしても年齢を重ねるにつれて妊娠に至る確率は低くなります。 妊娠や出産よりも仕事を優先せざるを得ない状況にある女性は少なくないでしょう。ですが、卵子が無事赤ちゃんとして生まれる時期的なリミットを考えて、一度ライフプランを見直してみるのもよいかもしれません。