私はイタリア人の夫と、2人の子どもと一緒にイタリアで暮らしています。子どもは2人ともイタリアで産みましたが、初めてのお産は、一生忘れることができないものとなりました。今回は産の「痛すぎる話」をご紹介したいと思います。
波乱万丈のお産の始まり
一言で言うと、長女の出産は波乱万丈でした。
妊娠経過は至って順調で、悪阻も比較的軽く、私は楽しいマタニティライフを過ごしていました。しかし予定日まであと2週間というある日、お昼頃になって一度も胎動がないことに気づいたのです。さすがに不安になった私は、病院に電話をしました。
電話をすると、すぐに病院に来るように言われたので、夫と一緒に病院へ駆け込みました。すると
「胎内の羊水が少ないので、陣痛促進剤を使ってすぐにでも出産しないといけない」という衝撃の事実を医師から告げられたのです!
予想外の展開に私はパニック状態、夫は呆然としていました。そうしている間にも準備は進み、私は処置室に。顔面蒼白の夫が
「赤ちゃんは大丈夫ですか?」を繰り返していたのは、今でも覚えています。
陣痛促進剤を入れてから数時間後、陣痛がやってきました。経験したこともないような痛みに耐えること6時間…。しかし、その間にも赤ちゃんの心拍がどんどん落ち、最終的には緊急帝王切開をすることになりました。
緊急帝王切開で出産
私は出血も多く、輸血をしながらのオペだったそうです。あとで助産師さんから
「旦那さんが赤ちゃんより大きな声で泣いていたわよ」と聞かされました。夫は、娘が生まれた瞬間気が抜けて号泣してしまったようです…。
初めて娘を腕に抱いた時の安堵感は、今でも昨日のことのように覚えています。
そして1週間後、退院前の最後の検診を受けたのですが、そこでまたしてもありえない言葉を医師から聞くことになります。
「来週になったら旦那さんに抜糸をしてもらってください」
イタリア人である夫すら意味がわからず2回聞き直しました。その医師によると、なんとイタリアでは、抜糸を自宅で行う事が多いそうなのです!
私は心の底から、日本に里帰り出産しなかったことを後悔しました。
恐怖の抜糸
退院してから10日。いよいよ抜糸の日がやってきました。
夫がまずは先端の縫い目をパチっと切断、続いて反対側の端も切断。この時点は痛くもなんともなく、余裕だと思っていたのです。
その様子を見て、今度は夫が切断した糸を勢いよく引っ張りました。その瞬間、お腹に鋭い痛みが走り私は絶叫! よく見ると、ところどころ傷が盛りあがって糸を巻き込んでいます。
糸を引っぱる度に激痛なため、抜糸は一向に進みません。病院に電話をするも、予約が取れるのは数日後。
「予約を待っていては糸が完全に癒着してしまうため、頑張って自力で抜糸しろ」とのことでした。
15cmの傷に対して、3時間をかけて抜糸。
夫は汗だく、私もべっとり嫌な汗をかき、2人で魂が抜けた状態でした。しかも、ところどころ出血しており、傷がズキズキと痛み消毒も激痛。ちなみに、血が苦手な夫は、この後何度か夢に見たそうです。
外国でのお産はしっかりリサーチを!
波乱万丈、そして恐怖の抜糸を経験した私ですが、実はイタリアで出産したママ友の中には似たような経験をした人が少なからずいます。中には、帝王切開の後にホッチキスで留められ、退院後に外れてしまった人も…。
国が変われば、医療事情も異なります。今後、外国でお産の予定がある方には、事前のリサーチをおすすめしたい私です。
(ファンファン福岡公式ライター / raymama)