あなたは、実の母親と、良い関係を築けていますか? 世の中には、女友達のように仲の良い母娘もいますが、実母との関係に悩んでいる人も多いことでしょう。これは、出産・育児をきっかけに、毒母から逃げ出したある女性のお話です。
クソバイスとは?

『クソバイス』という新語をご存じでしょうか? クソバイスの生みの親で、エッセイストの犬山紙子さんによると、相手から求められてもいないのに、上から目線で持論を押し付けてくる、クソみたいなアドバイスを、クソバイスと定義しています。
出産・育児において、クソバイスに遭遇して、ウンザリする経験は、誰しも心当たりがあることでしょう。 赤ちゃんに微笑みかけてくれた初対面の人が、突然
「母乳?ミルク?母乳の方が、免疫がつくのよ」と話しかけてきたり、
「一人っこは可哀想よ。早く二人目をつくりなさいね」なんてクソバイスをお見舞いしてくるのは、日常茶飯事。
内心「そんなこと分かっているよ!」と苛立ったとしても、赤の他人なら、受け流すことができます。ところが、身内なら・・・そう簡単にはいきません。
ママ友Aさんの実母は、いわゆる毒母でした。一人で商売を成功させた経営者で、「自分の考えが一番正しい」と信じて疑わないタイプ。昔から母は、思い通りにならないと、激怒して手がつけられなくなるので、Aさんは事を荒立てないように、母の言いなりになっていました。
Aさんが子どもを産んでからも、その関係は変わりません。母を喜ばせようと、子どもの写真を見せると
「女の子に、モノトーンの洋服を着せるなんて可哀想! もっとピンクや赤の可愛い洋服を着せなさい」と、趣味じゃないベビー服をどっさり送りつけてくる。
母乳が出にくい体質で、ミルクと母乳を併用していることを知ると、
「母乳じゃないと赤ちゃんの体が弱くなる!」と、母乳マッサージで有名な助産院を、勝手に予約する。何度も断っても、
「ベビーベッドがないなんて、ありえない!」と大きなベビーベッドを送りつけてくる。
母の自分勝手な行動とクソバイスは、どれも悪気はないけれど、初めての育児に奮闘するAさんをどんどんと追い詰めていきました。
そして、子どもの保育園入園が決まり、仕事復帰を目前にした時、事件が起こります。
母親と決別!

Aさんが、電話で仕事復帰を報告した途端、母は猛反対。
「0歳児を保育園に預けたら、すぐに病気するに決まってる! 仕事復帰したって、あなたもすぐに休むことになるわよ。周囲に負担がかかることが分からないの? 経営者だから言わせてもらうけれど、権利ばかり主張してくる時短のママなんて、本当に迷惑なのよ!」
愛娘を保育園に預けて、働かなくてはいけない自分の葛藤を、一切考えてくれない母の言葉に、ハッと目が覚めたAさん。ここで闘わなければ、自分の人生だけでなく、子どもの人生も、母に奪われてしまうと覚悟を決めて、冷静に反論しました。
反抗期もなく、言いなりだったAさんが、はじめて言い返してきた為、母は怒り狂い、
「あんたが迷惑をかけるだろうから、会社の人に贈答用のお菓子を準備してあげようと思っていたのに、もういらないってことね!」 と電話をガチャ切りしました。
それから、Aさんは、母のLINEも電話も拒否。母のクソバイスに悩まされることはなくなりました。
「自分の子には、『自分で考えてから、好きなように行動しなさい。失敗しても成功してもいいんだよ。いつだってママが味方だからね』って育てたいんだ」 そう話すAさんは、晴れ晴れとした表情をしていました。 (ファンファン福岡一般ライター)


