「イクメン」という言葉が定着した一方で、育児の良い部分だけつまみ食いして、大変なところは奥さんに押しつける、自称イクメンも増殖中。SNSで子育てアピールをする自称イクメンが、化けの皮をはがされて、痛い目を見る話をしましょう。
育児の恨みは70年?!
先日92歳になる祖母とおしゃべりしていると、こんな話題になりました。
「最近の男の人は、赤ちゃんの抱っこ紐をつけてくれるのねぇ。じいちゃんなんて『男が、外で赤子を抱くなんてみっともない!』って、先にスタスタ歩いて行って、なんの役にも立たなかったわ!」
30年前に死んだじいちゃん、祖母は70年前の出来事を、未だに根に持っていました。(苦笑)女性は、半世紀経っても、育児中の恨みをありありと思い起こすことができるんですね。
そして、大正生まれの祖母から見れば、現代の男性は皆イクメンに見えるようですが、実情はどうでしょう。
「貴方の旦那さんはイクメンですか?」 そう尋ねられて、
「もちろん!」と即答できる女性は、少ない気がします。 逆にオムツ替えや休日に子どもと遊ぶだけで、イクメンぶる男性の多いこと!
友人Aの旦那は、残念なことに、そんな自称イクメンの一人でした。 結婚前から
「俺は子ども好きだから、絶対イクメンになるよ! 子どもは3人欲しいな。息子とサッカー、娘とデートするのが夢だったんだ」と言い、赤ちゃんが生まれると、メロメロになって子育てをしていました。 ただし、育児の良いところ限定で。
イイトコだけとる夫
例えば、オムツ替えはしてくれるけれど、おしっこの時だけ。プーンと臭くても知らんぷりで、
「おーい! 臭いからうんちじゃない?」と言いだし、結局オムツ替えはしません。
もちろん、赤ちゃんが夜泣きをしても、絶対に起きません。Aが眠い目をこすりながら3時間も抱っこして、ようやく寝かしつけたのに、旦那の寝屁で赤ちゃんを起こした時は、
「コイツどうしてくれよう・・・!」と怒髪天をつくほど、怒り狂っていました。
まったく育児において戦力外だった旦那ですが、Facebookで子育て日記をつけて、友人達から「いいね!」をもらうのは大好き! 沐浴をする自分。(洋服の準備や着替えはAが担当) 抱っこ紐で赤ちゃんとお散歩する自分。(赤子と旦那の荷物を全部持つA) 離乳食をあげる、面倒見のいい自分。(もちろんAが離乳食を調理)
毎日のように、赤ちゃんの写真をアップして、自分のイクメンぶりをアピールしていました。実際に育児しているAは、日々忙しすぎて、携帯電話をチェックするヒマもないのに! そんなイクメンぶる旦那に、ついに鉄槌が下される事件が起きたのです。
いつものように、赤ちゃんと入浴していた旦那が、
「おーい! 早く来て!!!」と風呂場で叫んでいます。 Aが急いで見に行くと、赤ちゃんを抱きかかえたまま、アワアワしている旦那と、バスタブに浮かぶウンチが、目に飛び込んできました。
Aは
「すぐに戻るから、そのままで待っていて!」と言い残すと、すごい速さでビニール袋と携帯電話を手にとり、戻ってきたかと思うと、バシャッと携帯電話のカメラで、風呂場の惨劇を激写しました。
「え?! あ?! なにしてんの?! うんちどうにかしてよ!」と悲鳴をあげる旦那から、赤ちゃんを受け取り、かわりにビニールを手渡して、
「うん! ビニール持ってきてあげたから、拾ってトイレに流してね。よろしく!」 と言い残して、Aは立ち去りました。
そして赤ちゃんを着替えさせたら、久しぶりにFacebookにアクセスをして、風呂場での顛末と、慌てる旦那の写真をアップしました。もちろん局部は、しっかり黒丸で隠して!
するとあっという間に「いいね!」の嵐。旦那と共通の友人も、次々Aの投稿を共有してくれました。最終的に100件を越える「いいね!」を獲得して、旦那のイクメン詐称の事実も周知されたのです。
今でもあの日の事件は、私達の記憶に鮮明に残り、笑い話になっています。 そして旦那が、育児の大変な部分を押しつけてくると、Aは
「またFacebookで暴露するよ!」と脅しをかけながら、夫婦二人で協力しながら、子育てを頑張っています。
(ファンファン福岡一般ライター)