舅姑や実親から「孫はまだ?」とプレッシャーをかけられたこと、ありますか? 結婚以来、エスカレートしていく孫催促と、毎年開催される舅姑同室旅行に、ストレスを溜め込んだ友人が、ついに爆発! 良い嫁終了宣言をした結果、姑との関係はどうなったのでしょう。
余計な世話をやく姑
結婚3年目のAは、野菜や食料品、その隙間を埋めるようにタオルが詰まったダンボールを開けて、溜め息をつきました。憂鬱の原因は、荷物の送り主で、数時間後に電話をよこすであろう姑。毎月、夫婦二人では消費できない程の食料品を送ってきては、
「荷物届いた~?」と確認し、必ず孫催促をしてくるのです。
「たくさん栄養をつけて、早く子どもを産みなさいね。あなた達も若くないのだから。私達の楽しみは、孫の顔を見ることなんだからね」
姑の言葉は、30代半ばのAの肩にずっしりとのしかかり、いつも気持ちを滅入らせます。段々、姑からの電話が苦痛になり、旦那に対応してもらっていましたが、それでも姑は
「Aちゃんに替わって。大事な話があるの」と譲りません。嫌々電話に出ると、まくしたてるように孫催促をされるのです。
「体を冷やしていない?この前テレビで、冷えは女性の大敵! 妊娠しづらい体になるって言っていたわよ」と余計な世話をやくのでした。
義母の言う“家族水入らずの旅行”とは…
結婚1年目は、電話で孫催促をしてくるだけでしたが、徐々に孫催促はエスカレート。姑の友達の娘さんが、出産のために里帰りすると聞きつけると、色紙を持参して突撃!
「陣痛がはじまったら、この色紙に富士山の絵を描いてくれないかしら? うちの嫁も、子宝に恵まれるように、縁起の良い色紙を送ってやりたいのよ」と勝手に頼み込みこんだりしました。
「陣痛中の妊婦さんに、富士山の絵を描いて貰うと、妊娠が伝染するって言うでしょ。この縁起の良い色紙を、寝室に飾りなさいね」 強引に手渡された色紙に、とまどうAでしたが、見ず知らずの妊婦さんが、辛い陣痛中にわざわざ描いてくれた絵をむげに捨てるわけにもいかず、そっと寝室のクローゼットに絵を仕舞いこむのでした。
もちろんAも旦那も、子どもを欲しがっていましたが、夫婦は共働きで、すれ違いの生活を送っていました。 旦那は、出張が多く、国内外を飛び回る生活で、月の半分以上、家にいません。
看護師として働くAは、夜勤があり、たまに旦那が家に帰ってきても、顔を合わせる時間がない状態でした。 そんな多忙を極める夫婦ですから、
「盆正月の休みくらいは、二人でゆっくりと旅行したいね」と話していましたが、結婚して3年、一度もその夢が叶ったことはなかったのです。
その原因は・・・ 姑でした。 盆正月、GW、連休のたびに、姑が
「家族水入らずで、旅行に行きましょう!あなた達は、いつも仕事が忙しくて、こっちに顔を出さないのだから、そのくらい親孝行してもいいでしょう」と強引に誘うのです。
「すみません・・・ 二人とも仕事で休めません」と、姑の誘いを断っているうちに、罪悪感が芽生えて、結局、舅姑と旅行することが、年に1~2回の恒例行事になりました。
一緒に旅するのは、我慢できます。けれど、なぜか毎回、舅姑と同室・・・。 広い和室に4組の布団を並べ、一緒に寝るのが、姑の主張する『家族水入らずの旅行』なのでした。
ついに義母に逆襲
そして数年前の年末、いつものように姑から荷物が届き、電話がかかってきました。
「荷物届いた? ところで、年末の予定だけど、今回はとっても良い宿を予約したのよ。お部屋に露天風呂がついているから、私達とあなた達、交代でお風呂に入りましょ」
嬉しそうな姑の声が、急にどこか遠くから聞こえてくるように感じ、クラッと引っ繰り返りそうになりました。
舅姑と交代で露天風呂・・・?! ない!絶対にない!! 背筋がゾゾゾ・・・ と凍るのを堪えきれず、3年間、良い嫁キャンペーンをしてきたAから、思わず本音が飛び出していました。
「やだー! お母様!『孫を抱かせてちょうだいね』って、いつも言ってるじゃないですか。そんな良い旅館なら、夫婦二人だけにしてくださいよ~!」
Aの明るい反撃に圧倒されたのか、姑は
「そ・・・ それもそうね」と、はじめて別室で予約を取り直してくれたそうです。
久しぶりにゆっくり夫婦二人の時間を過ごせたAは、いつもの姑の愚痴ではなく、旦那との惚気話を聞かせてくれました。孫催促から解放される日も、近いかもしれませんね。
(ファンファン福岡一般ライター)