「ビーナスちゃんカップ」出場 ママでインスタグラマーのボートレーサー、魚谷香織さんに注目を!

 20歳でデビューして17年。3度の産休を経て、三たびトップランクに舞い戻ったママさんボートレーサーが福岡県にいます。魚谷香織選手(37)がその人。10月17日(月)~22日(土)には、ボートレースびわこ(滋賀県)のGⅢオールレディース「ビーナスちゃんカップ」に出場を予定しています。魚谷選手は14 年前にびわこで初優勝。そんな相性のよい場所で、今回も活躍が期待されます。思い出の水面への思いや普段の素顔、子育てについてなどを聞きました。

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初優勝した「びわこ」 難しい水面でも大好き

GⅢオールレディース「ビーナスちゃんカップ」に出場予定の魚谷香織選手

―ボートレースびわこ(びわこ)は、14年前に初優勝したレース場ですね。

 特に印象的だったのが準優。私は10R(レース)で、(最も不利な)6号艇で2着に入って優勝戦進出を決めました。その後の準優の11、12Rが順当な結果なら私は優勝戦も6号艇だったのですが、11Rも12Rも6号艇が2着。優勝戦は4号艇になったんです(それ以外の結果なら、4号艇より断然不利な5、6号艇になっていた)。初優勝への流れが来ていたシリーズだったと思います。


―びわこは元から得意な水面ですか。

 同期で仲良しの佳江ちゃん(飯田佳江=旧姓白石=昨年引退)の地元ということもあって大好きな気持ちが強いです。(全国的には1コースが断然強いレース場が多数の中で)びわこの特徴として、センター(3、4コース)が割と強いことも、内寄り(1、2コース)よりセンターの方が得意な私にとっては向いていますね。ただ水面自体が得意かというと…。波やうねりが出て荒れた水面になることもあるので難しい印象。でも今の時季なら、(雪解け水で水位が上がって水面が荒れやすい)春先と比べたら大丈夫かな。

魚谷選手が初優勝を決めたのが「ボートレースびわこ」

■メモ ボートレースびわこ
滋賀県大津市茶が崎。「びわこボート」とも呼ばれます。1952年に全国で2番目の公認コースとして開設。琵琶湖や比叡山など豊かな自然に囲まれ、その美しい景観は全国のレース場の中でも屈指の存在。

3度の産休。復帰前はワクワク!

3度の出産から復帰を果たして活躍中

―今年7月からは最高ランクのA1級に2年半ぶりに復帰。“出産後にA1復帰”を3度も繰り返しているのはすごいですね

 産休のたびに肝も座ってきて、落ち着いてレースできるようになっているのもプラスだと思います。産休から復帰直後のシリーズで優勝戦まで進んだのが3回のうち2回あり、思い返せばエンジンも良かった。“復帰してまた頑張ろう”“ワクワク、楽しみだな”という前向きな気持ちが、抽選運(※)も引き寄せてくれるのかなと思います。 ※ そのシリーズで使うエンジンは抽選で決まるので時の運

―ボートレースでは産休制度(※)が導入され、女性が子育てしながら戦いやすい環境が日々整備されていますね

 上の2人の時はまだその制度がなかったんです。3人目で初めて適用を受け、いい制度だなと実感しています。
※ボートの産休制度=半年間休むと最下位のB2級(出走は月に7日程度)に降格が免れないが、産休の場合は降格しても、産休前の級別と同じ日数だけ出走できる。A1級だと月に21日程度出走できる

オン/オフを完全リセットし。オフは子どもとイベントを計画

「インスタや動画配信もチェックしてくださいね!」インスタグラムは@kaori4347

―夫婦でレーサーだと2人とも不在のことが多くて子育ては大変では?

 旦那のお母さんと同居しているので、出走中は面倒を見てもらっています。家に帰れば、私はレースからは完全にオフ。その中でもプロペラ調整用の準備は常にしていますし、どう時間を使えば結果が出せるのか、より考えるようになりました。
 レース場に入ってしまえば、使える時間はみんな同じ。どれだけ考えて集中力を持ってやれるかが大切です。時間の使い方の工夫と、オンオフをはっきりさせ心の切り替えができるのは、子ども3人のおかげです。
 子どもたちとはいろいろなイベントを計画し、(第1子の)長男は私と一緒に10歳で50㎞ウオークを完歩。最後は泣いていましたけど(笑)。富士山にも登りました。頑張って何かを達成することで、精神的に強くなったらいいなと思って。

「オフは3人の子どもと楽しく過ごしています」


―ピットではいつでも親切丁寧でにこやか。お母さんとしてはどんな姿ですか。

 子どもに聞いてみないと分かりませんが、ピット内のままだと思います。親として叱ることはありますが、“しっかりしたお母さん”という感じとは違うかな。一緒に楽しく過ごしながら、私もお母さんとして成長していけたらな、という気持ちでいます。旦那とは“すごく仲のいい友達”という関係性ですね。

SNSでは普通の日常を発信。コメントに涙しました

「SNSの応援コメントに元気づけられています」

―家族、夫婦の仲むつまじさは魚谷選手のSNSからも伝わってきます。

 ボートレーサーって「お金持ちでブランド物ばっかり買っていそう」みたいなイメージを持たれがちですが、決してそんなことはなくて普通なんだよ、という一面を知ってもらえたらと思っています。これが良かった、これがおいしかったという普通の女子が気になることを共有できたらいいなという気持ち。私、(ポイントをためる)〝ポイ活〟もしていますし、庶民派です!

―SNSで印象的なファンの反応はありましたか。

 頑張っていたのにどうしても結果が出ないシリーズがあったんですが、「魚谷さんが誰よりも一番、試運転をしていましたよね」というコメントを読んで泣きました。見てくれる人は見てくれているんだと分かって励みになります。

ピラティスにはまって資格取得。レースに生かされています

体幹ばっちり、歩き姿も美しい魚谷選手

―ピラティスインストラクターの資格をお持ちなんですね。

 3回目の産休からの復帰の体づくりに取り入れたのがきっかけで勉強して、今年3月に合格しました。最初の産休の時は加圧トレーニングで、2回目はヨガ。そして今回(21 年10月に復帰)がピラティス。ピラティスはボートレースの操縦に大切な体幹が鍛えられます。それについさっき、「歩く姿がきれい」と褒められてうれしかった。それもその効果かな。

ボートレースびわこのマスコットキャラクター「ビーナスちゃん」

―今後の目標を。

 勝つべきときにしっかりと勝てる、強い選手になりたいです。日々成長して、自分の地力を上げたいと思っています。「ビーナスちゃんカップ」では、皆さんぜひ応援してください!

魚谷香織(うおたに かおり)選手

<プロフィル> 1985年生まれ、山口県下松市出身。同県立華陵高卒業。高校時代はハンドボール部で国体8位など全国レベルで活躍。2005年5月山口支部96期として徳山でデビュー。08年8月びわこで初優勝。通算優勝10回。最高グレードのSGに6度の出場歴がある。95期の青木幸太郎選手との結婚を機に福岡支部へ移籍。1男2女を育てる。154㎝、44kg、AB型。

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