保育園激戦区で何とか入園も…わずか一年で転園 その理由とは?

 スプーン1杯の粗末な給食。真冬でも暖房をつけずに、室温はわずか14℃。定員オーバーで狭い室内に詰め込まれた子ども達・・・。ずさんな保育実態が明らかになり、認定を取り消された、とあるこども園の事件のニュース。まだ記憶にある方も多いのではないでしょうか? その事件が起こった当時、子持ちの友人と集まった時に「親は、こんなに酷いって気づかなかったのかな? クレームを言えば良かったのに」と話題になったのですが、一人のママがポツリと「『これって虐待じゃない?』と思っても、言えないことあるよ。保育園激戦区で苦労して入れた園なら、なおさら。先生を怒らせたら損だと下手に出ちゃうんだよね」と漏らしたのです。果たして、彼女の子どもが通う園で、何が起きたのでしょう…。

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全国有数の保育園激戦区を勝ち抜いて入園

出典:https://www.photo-ac.com/

 その当時、友人Aの子どもは、保育園から幼稚園に転園したばかりでした。
 Aは、根っからの仕事人間で、
 「子どものことは大好きだけど、やっぱり仕事の方が、子育てよりもずっと気が楽! 保育園は、保育のプロなんだし、預けている方が安心だよ」と明言していたくらいなので、このまま保育園に通わせるのだと思っていました。

 最近の幼稚園は、働くママのために延長保育があります。それでも、保育園に比べれば、親が参加する行事が多く、頻繁に休園日もあります。だから、近くに手助けしてくれる両親がいない状態で、フルタイムで働きながら、子どもを幼稚園に通わせるのは至難の業。それに、Aが住んでいたのは、全国有数の保育園激戦区でした。

 「せっかく保活をして入園した保育園を、一年も経たずに辞めるなんて、もったいない・・・」と、Aの選択を意外に思って尋ねてみると、驚きの答えが返ってきました。

 「子どもが通っていた保育園の先生が、虐待ギリギリのことをしていたの。不信感が募って、転園を決意したんだ」  ニュースになったこども園のような、虐待まがいの保育をする園が、こんな身近にあるだなんて驚きで、詳しい話を聞きました。

先生の行動にびっくり!

 ある日、Aは、仕事が早く終わり、普段よりもずっと早くお迎えに向かいました。保育園の園庭で賑やかに遊ぶ子ども達の中に、Aの子はいません。教室に向かうと、担任の先生と子どもが、二人でいる様子が見えました。

 教室から漏れ聞こえてきた声で、なにか先生が怒っているようだと分かりました。叱られるとうつむいてしまうわが子は、肩を小さく震わせて、今にも泣きだしてしまいそう・・・。Aの胸はギュッと痛み、教室に入ろうとした瞬間、先生が子どものあごをクイッとつかみました。 そして
 「先生が大事な話をしている時には、ちゃんと目を見なさい! 本当に聞いているわけ?」とすごんだのです。

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 慌てて、教室に飛び込むと、先生はすぐにあごから手を離しました。
  「A子くんのママ!今日は早いんですね。実は、A子くんが給食の時にふざけて、他のお友達の邪魔をしたんですよ。今、そのお話をしていたんです」 と慌てたように言いました。そしてつらつらと、Aの子の悪口を言うのです。

 落ち着きがない。クラスの集団生活になじもうとしない。できないことが多くて、他の子について行けない・・・、などなど。それが事実だったとしても、保護者面談の時に話せば良いことで、子どもには聞かせたくないネガティブな批判ばかり。

 この一件で、すっかりAは先生に不信感を抱き、それからちょくちょくと、お迎えの時間外に保育園を訪れ、様子を見ることにしました。

ついに起きた、決定的な出来事

 それから約1カ月後、決定的な事件が起こります。
 偶然、先生がAの子の首根っこをつかみ、ズルズルと引きずっていく様子を目撃してしまったのです。先生は、教室から廊下へとAの子を連れだし、壁にドンっとぶつけて
 「お友達に何を言われたか知らないけれど、先に手を出した方が悪いのよ!!」と叱りました。  

 Aはその様子を見て、先生に対して猛烈に腹を立てましたが、それ以上に、「虐待かも?」と不安に思っていたのに、園に抗議もせず、1カ月近く様子を見ていた自分に対して、怒りが湧いてきました。すぐに先生と園長に抗議をして、転園したいと伝えました。

 「待機児童200人以上の保育園激戦区で、やっと入園できた保育園だったから、『うちの園が嫌なら、退園してください』と先生を怒らせたらまずいと思って・・・。先生のやり方に疑問があっても、先生には頭が上がらなくて、下手に出てしまった。わが子を守れるのは、親の私だけなのに・・・ だから次は、子どもに合う場所を見つけて、楽しく通えるようにしてあげたいの」

 Aの子どもの新生活は、はじまったばかり。あごクイッや壁ドンの叱責とは無縁の場所で、たくましく成長して欲しいと願っています。
 (ファンファン福岡一般ライター)

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