小学3年の息子が「学校に行きたくない」と言ったとき、母親の私がすぐに思い浮かんだのは「いじめ」。しかし、本当の理由は「担任のA先生の過去の指導」でした。大声で怒鳴られた息子はその恐怖のトラウマから、不登校になってしまったのです。
4月から小学3年生になった息子の元気がない
4月から3年生になった息子。元気に登校! のはずが、なぜか元気がない様子。聞いても無言です。
「もしかして、いじめ?」と不安がよぎります。毎朝登校する足取りが重くなり、とうとう
「今日学校休みたい」と息子が言いだしてしまいました。
担任のA先生に電話すると
「元気に学校で過ごしていますよ、心配ありません。いじめにあっている様子もないです」とA先生。私はさらに不安になりました。
不登校スタート、なんと原因は担任の先生!
数日欠席が続き、ある日息子がリラックスしているタイミングを見計らって、
「ママね、〇〇くんが学校で嫌なことがあって行きたくないのかな。って心配なの」優しく尋ねてみました。
すると、息子はさっと暗い顔になり、小さな声で話してくれました。
「本当はね、A先生がイヤなの。前に大きな声で怒られて。それからA先生が怖いの…」まさか、担任のA先生が原因だなんて! 私は驚きました。
A先生が担任になる前のこと。息子が掃除中に上級生と遊んでいて、A先生に大声で怒鳴られたそうです。当時、上級生の担任がそのA先生でした。「まさか、あのA先生が担任になるなんて」と、息子は新学期に絶望的になったようです。大声で怒鳴られたことがトラウマになり、息子は
「授業中お腹が痛くなったり、足が震えたりした…」と、話してくれました。
A先生に電話で事情を話すと、
「私が原因のハズがないじゃないですか。息子さんがズル休みしたくて理由を作っているんです。私はそんなに強く怒鳴った覚えはないです!」と、A先生からきっぱり、そして半ば怒ったようなキツい返事。出張中の校長先生ともお話ができず、自主欠席で1週間が経過しました。
支援センターに救われて元気なった息子
悩んだ私は、教育委員会を検索し「支援センター」の存在を知りました。息子と二人で向かうと、そこは不登校の小中学生が通える小さな学校でした。
私とセンター長の面談中、息子は隣の部屋で中学生のお兄ちゃん、お姉ちゃんと過ごしていました。息子の笑い声が聞こえた時、「来てよかった」と私は救われた気持ちで涙ぐむほどに。そして、「我慢して嫌なA先生に会わなくてもいいよ」のセンター長の言葉に、息子は「いいの?」と、嬉しそうでした。
息子は、支援センター通学が決定しました。車で20分の送迎は大変でしたが、私は息子が元気でいることが嬉しくて苦になりませんでした。夕方迎えに行くと、息子は
「今日はお兄ちゃんと〇〇したよ。それから…」と今日の出来事を車の中で元気に話してくれました。息子も毎日、中学生と過ごす貴重な経験ができたようです。
半年後、私たちは県外に引っ越し、転校が決定。書類をもらいに欠席していた小学校へ行く際、息子と一緒に「嫌だけど最後の挨拶しようね」と約束。
時間を確認して行ったにも関わらず校長先生は転任の準備で、担任のA先生は急用を理由に不在でした。その後、転校先の新しい学校にすぐに馴染んだ息子は、普通の学校生活へと戻りました。
先生も色々な人がいます。同様に色々な子どもがいます。子どもの多様性に理解ある先生、適切な対応ができる先生との出会いが、不登校の問題解決のひとつになるのかもしれないな、と思います。
(ファンファン福岡公式ライター/松永つむじ)