長男が通う小学校の運動会では、朝早くから“保護者の運動会”が開催されます。それは、子どもたちの競技を観覧するための場所取り合戦です。 この戦いにおいて、ある保護者にドン引きした体験談です。
場所取りは午前3時に始まる?!
朝7時の開門と同時に、保護者の猛ダッシュで始まる場所取り合戦。子どもたちの競技が見やすいのはもちろんのこと、日陰という絶好のポジションを確保するのは、毎年至難の業です。
この保護者同士の戦いは、開門時間のずっと前、まだ夜も明けていない午前3時から幕を開けます。 アウトドアチェアと防寒具、暇つぶし用の携帯&ポータブルバッテリーを持って、家を出る夫と私。 開門前に並んでくれる夫を、小学校の門の前まで車で送迎するのが、私の担当です。
しかし、学校に着いて愕然としました。 自分たちが一番乗りだと思っていたにも関わらず、なんと、すでに5人ものお父さんたちが並んでいるのです! 車を降りるなり、門まで猛ダッシュする夫。夫の後にも次々と他のお父さんたちが列をなしていくのが、車の室内ミラーからも確認できました。
長蛇の列に驚き
帰宅後、運動会のお弁当作りに励んでいる私のもとに、夫からメールが入りました。
「開門20分前に、門に集合!」 夫によると、開門1時間前の6時で、すでに100人超えの保護者が並んでいると言うのです。
「夫婦で協力し合わなければ到底良席なんて確保できそうにない!」 焦った夫から、切実なSOSメールが次々と届きます。
こうして、事の重大さに半信半疑ながらも内心ソワソワしだした私は、開門30分前に学校に行ってみることに。すると、びっくり仰天!
夫が6番目に並んでいたはずなのに、門の前にもう1本の列のようなものができているのです。 慌てて駆け寄る私に、夫がこそっと耳打ちします。
「列が学校を1周してるんだよ!」 あまりに驚きすぎて、声も出ない私。 口を開けたまま列を見渡すと、確かに、私の目の前にいる人たちは列の最後尾のようなのです。
身が引き締まった私たちは、改めて場所取り予定のポジションを確認。 開門と同時に今年一番のダッシュで校舎前を走り抜け、少ない日陰スポットを渾身の滑り込みで確保することができました!
ドン引き保護者「それってアリなの?!」
ところが、本来であれば日当たりが良いが故にみんなの通り道になる場所に、のんびりと敷物を広げ出した保護者が一人。「初めての運動会なのかな?あそこは暑いから、見るのも待つのも大変だよね。」 そう話していた私たちの度肝を抜く出来事が起こったのです。
その保護者は、広がった敷物の上に、パラソル付きのキャンプ用テーブルセットを組み立て始めたのです! 私たち以外にも、周りでザワつき始める保護者たち。 しかし、「テーブルセット禁止」などという明確なルールは、事前に配られているプリントにも、学校にも、どこにも記載がありません。
暗黙のルールとは言え、事前にアナウンスがなされていない以上、止めるすべのない学校関係者たちは諦め顔です。
こうして、「キャンプ用品」という荒業で大注目されることになった、その一家。 恥ずかしかったのか、お昼休憩になっても子どもが帰ってくることはありませんでした。 仮に快適な席で運動会を観覧することができたとしても、周りの雰囲気を悪くしたり、子ども自身が楽しめないのはとても悲しいものです。
親である以上、良席を確保したいなら、ルールに則って、努力してでも並ぶべきです。 子どものお手本となるべく行動を、常に取るべきだと考えさせられた、私たち夫婦でした。
(ファンファン福岡一般ライター)