博多の夏の風物詩といえば「博多祇園山笠」(7月1日~7月15日)ですが、この時期、山笠の男たちにはいくつかのタブーがあります。よく知られているのが、「キュウリを食べてはいけない」というもの。
実際、私の周りの“やまのぼせ”たちは、絶対に食べません。サラダに入っていたらキュウリだけ除くし、キュウリのたたきなどオーダーしようものなら、「お前は…なんてことを…」といった冷たい視線がバシバシ飛んできます。
この時期は、小学校の給食からも「キュウリ」は消えてしまいます。一体、どうしてそんなことになったのでしょうか…? 答えは、輪切りにしたきゅうりの切り口が、山笠の祭神である素戔嗚尊(すさのおのみこと)のご神紋である木瓜(ぼけ)の花に似ているから。ご神紋を口に入れることに対し、氏子が畏れ多いと遠慮したことに由来するそうです。実際に、そんなものなのかキュウリを輪切りにして確かめてみました。
ふーん…。なるほど、角度を変えて見てみると確かに似ているように感じます。
700年以上の伝統を誇る博多祇園山笠で、いつからキュウリがタブーとなったのかは分かりませんが、今でも舁き手が怪我をしたら「キュウリを食べたけんたい」と言われることがあるそうです。最近は「オクラもご神紋に似てる」と言って食べない方もいるそうですが、長い年月にわたり、ずっとタブーを守り続けている博多の男たちに敬意を払いたいと思います。どうぞ、今年もキュウリを断ち、怪我なく、無事に山を神様に奉納してください!