〝日本人初の世界一〟チェリスト宮田大さん 佐賀でオーケストラと共演

チェロといえば西洋の弦楽器の一つ。大きさはヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスと大きいほうから2番目(全長は120センチ程度)で、座って演奏します。 

日本人はチェロがとても好きな国民なのだそうで、その理由は「チェロの音色が弦楽器の中で一番、人の声に近いから」ではないかと。つまり、チェロの音を耳にすると、心が落ち着き、ゆったりなれる……。 そのチェロの演奏家(チェリスト)として日本人で初めて、世界一に輝いたのが宮田大(みやた・だい)さん。2009年、4年に1度行われるロストロポーヴィチ国際チェロコンクールで、堂々優勝しました。このとき23歳。以来、国内外でコンサート活動を続け、巨匠・小澤征爾(おざわせいじ)さんやN響との共演や「題名のない音楽会」や「らららクラシック」などテレビの音楽番組にも多数登場しています。

出典:ファンファン福岡

2016年5月17日、『徹子の部屋』に出演した折には、あのルールル、ルルル、ルールールの番組のテーマ音楽から、バッハの名曲・無伴奏チェロまでかるーく弾いてみせる〝超絶技巧〟を披露して話題を集めました。 チェロはどちらかといえばオーケストラの〝縁の下の力持ち〟的な楽器で、チェロだけで会場がいっぱいにできるアーティストは比較的、数が少ないのですが、宮田さんのコンサートは会場がいっぱいになるという、圧倒的な人気を持つ若い音楽家です。 宮田さんの人気の秘密は、「語りかけるような、胸に染み入る音色」。ご本人は「僕は言葉で話そうとするとなかなか出てこなくて、チェロでそのときの感情を語っているのが楽なんです」と。

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You tubeでは、2013年大晦日の東京スカイツリー展望台での「天空コンサート」の模様が紹介されていますが、クラシックの名曲を弾いても、映画やアニメのテーマソングを弾いても、音楽に詳しい人でも詳しくない人でも、誰が聞いても、「いい音楽」だとわかる。ひとりひとりの胸に届く「癒しの音楽」がここにあります。

https://www.youtube.com/watch?v=BGhW3P39Gkw

爽やかに晴れ上がった5月最後の日曜、佐賀市文化会館で、佐賀を拠点に活動する九州のプロ・アマ音楽家87名によるオーケストラ・アルモニア管弦楽団(2003年設立)が、垣内悠希さんを指揮者に、宮田大さんをソロに迎えて第16回定期演奏会が行われました(垣内さん39歳、宮田さん30歳と若い組み合わせです)。 開場40分前の時点で、駐車場は満杯、大ホールの外に300~400人のお客さんが、ドアが開くのを待っているという盛況ぶり。全席自由でしたので、「自分の好きな場所に座りたい」と力が入ります。2階席まである1811席のホールがかなり埋まりました。  この日の演目は、 E.エルガー/チェロ協奏曲 ホ短調 H.ベルリオーズ/幻想交響曲

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前半のエルガーは、宮田大さんのソロとアルモニア管弦楽団の共演です。1918年といまから百年前の第一次大戦が終わった直後に書かれた作品ですが、宮田さんの言葉によれば、「エルガーは〝英国紳士〟のイメージの曲ですね。堂々として、折り目正しい(笑)。オーケストラとソロが非常に合わせにくい、難しい曲なので、指揮者のコンクールの課題曲によく選ばれるほどです」 この日の宮田さんと垣内さん&アルモニア管弦楽団の息は、曲が進むごとにピッタリと合い、前日初めて音を合わせた同士とはとても思えないほどの、すばらしい音楽が文化会館の大ホールに鳴り響きました。演奏が終わると、いつまでも鳴り止まない熱い拍手に、宮田さんが一人で、バッハの超名曲・無伴奏チェロより「プレリュード」をアンコールで弾いて、ようやく休憩時間に。 詳しくは次回の「宮田大さんスペシャルインタビュー」でお伝えするとして……コンサート後のサイン会の風景をご紹介します。 演奏中の黒のドレスシャツと黒のパンツ姿とは打って変わって、若者に人気のアウトドア・ブランドのTシャツと短いパンツというカジュアルな服装でロビーに現れた宮田さんに、みなびっくり。筋肉質なのは、特にジムで鍛えなくても、チェロを弾いていると自然にこういう筋肉が付くのだとか。楽器を弾きこなすのは、重労働です。

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クラシックのコンサートやサイン会といえば、たいてい中高年のマダムが主流ですが、佐賀では10代・20代の若い人がサイン会の列に多かったのが特徴的でした。宮田さんの演奏を聴いて、休憩時間になるやいなや、ロビーのCD売り場めがけて真っ先に走ってこられたのも、10代の青年でした。

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3000円はするCDは安いお買い物ではないですが、用意してあったCDは完売、コンサートの後、宮田さんにサインしてもらいながら、コンサートの感想を話したり、写真を撮ったり、握手したり……皆さんも宮田さんも楽しそう。 サイン会が始まるとき、ご近所からふらりとやって来た感じのおじい様が宮田さんに近づいてきて、「おいは、こがん音楽は初めて聴いたばってん、良かったぁ。感動した。こいからもがんばってね」と言って、ポンポンと宮田さんの腕をたたきました。いきなり佐賀の言葉で話しかけられて、宮田さんは最初、驚いた顔でしたが、やがて「はい、ありがとうございます。がんばります」と笑顔に。 こうしてコンサートを通して、知らない同士が、みな〝仲良し〟になりました。 サイン会のわずかな間も宮田さんのそばには、白いチェロケースが。中には1698年製のチェロ、ストラディバリウス・シャモニーが収められています。350年ほど前に作られた世界的な楽器で、非常に貴重なものですから、移動のときはどこででも、リュックサックのように宮田さんが自分で背負って運びます。

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コンサートが終わると、その足で佐賀空港から羽田に向けて、飛び立たれた宮田さんですが、インタビューに答えて下さいました。コンサートの話のほか、佐賀の印象や九州のお話も出てきます。どうぞお楽しみに…♪♪ ※インタビュー記事⇒「新鋭チェリスト・宮田大さんが語る九州の印象は?オケの裏話も」

宮田大さん公式HP

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