福岡市の中心といえば「天神」。この地の由来となる神社がオフィス街にあります。それが「水鏡天満宮」。
水鏡天神または容見(すがたみ)天神と呼ばれるこちらの神社は、菅原道真を祀る神社です。社伝によると、延喜元年(901年)藤原時平の讒言により大宰府に左遷された菅原道真が、四十川の清流を水鏡にして自らの姿を映した場所に社殿を建てたことからこの名が付いたそうです。川面に映る憔悴し、変わり果てた自分の姿に嘆く菅原道真。「水鏡」という響きは美しいですが、こんな悲しいエピソードがあるんですね。 もともとは現在の福岡市中央区今泉に社殿があったそうですが、慶長17年(1612年)に福岡藩初代藩主黒田長政が福岡城の築城にあたり、城の鬼門に当たるこの地へ移し、二代藩主忠之が社殿を再建したと伝えられています。黒田長政が神社を移さなければ、現在の今泉が「天神」という名になっていたかもしれません。
それでは早速、境内へ入ってみましょう。
外から見ると小さな神社なのですが、案外奥行きがあります。
そして、菅原道真にゆかりのある梅や牛の姿が目に入ります。
東風吹かば匂いおこせよ梅の花主なしとて春な忘れそ (私がいなくなっても春になったら忘れずに芳しい花を咲かせておくれ) 菅原道真が都を離れる際に詠んだとされる歌が記された絵馬もありました。 そして、牛の像も。
太宰府天満宮は、道真の亡骸を運ぶ牛車の牛がどうしても動かなくなってしまった場所に建てられたと伝えられています。太宰府天満宮にも牛の像が多くありますが、水鏡天満宮にも4体の牛の像がありました。 菅原道真は学問の神様として有名で、多くの受験生が太宰府天満宮へ合格祈願に訪れますが、福岡市・天神の真ん中にも菅原道真公を祀った神社があったなんて・・・。
天神でショッピングを楽しんでいると通り過ぎてしまいそうな小さな神社ですが、境内へ入ると静寂な雰囲気に包まれ、神聖な気分になります。境内から路地へ出ると、そこにはノスタルジックなお店が並んでいます。
天神を訪れた際には、押さえておきたいスポット「水鏡天満宮」。地元の人でも「へ~。そうだったんだー」と思うことが少なくない隠れた名所ですので、ぜひみなさんも訪れてみてください。