夏休みも終盤になると、頭を悩ませる親子も多いのが夏休みの宿題です。なかなか終わらないわが子を見て、ついつい手を出してしまいそうになるママも多いのではないでしょうか? 今回は、わが子可愛さゆえに夏休みの宿題で大暴走してしまった、同じクラスのママのお話です。
夏休みの宿題どうする?!
息子と同じクラスに、絵の上手なA子ちゃんという女の子がいました。図画工作の時間に描いたポスターが入賞するなど、クラスの皆が認める実力の持ち主です。私も息子から、A子ちゃんが朝礼で表彰される話をよく聞いていました。
息子が二年生の時の話です。夏休みも終盤、わが家も何とか息子のお尻を叩きながら宿題を完成させ、新学期を無事に迎えることができました。
しばらくたったある日、A子ちゃんが夏休みの宿題として提出した統計グラフと自由研究、そして作文が入賞したと息子から聞きました。絵がとても上手な子だったので、「他の事も器用にこなせるのかな?すごいな」と感心していました。 入賞したA子ちゃんの統計グラフと自由研究の展示を見たのは、二学期の授業参観の時です。
統計グラフは、まるで大人顔負けの綿密な集計内容、自由研究は子どもらしい発想力ながらも見やすく、とても良い出来でした。 作品を見ている時に、ちょうどA子ちゃんとママがいたので、ママには挨拶をし、A子ちゃんには
「宿題すごいね! よくできてるね!」と声をかけました。 ところが、A子ちゃんは沈んだ顔になり、そして下を向いてボロボロと泣き出してしまったのです。
A子ちゃんの涙の理由
突然泣き出すA子ちゃんに、私は何か気になる事を言ってしまったかと思いました。どうしよう、と思っていると、A子ちゃんは
「ママがやったの。私の宿題全部ママがやったんだもん!」とそのまま大泣きしてしまいました。 一緒にいたA子ちゃんのママは、夏休みの宿題がうまく進まないA子ちゃんの姿を見て、最初は少しずつ口出しをするだけだったのですが、結局全て手を出してしまった事を恥ずかしそうに告白しました。
さらに、A子ちゃんの得意な絵のポスターも、ママが代わりに作成してしまったことを聞きました。 皮肉にも、A子ちゃんの代わりにママが書いたポスターは、今回入賞しませんでした。 A子ちゃんにとっては、自分の得意な絵もママが描いてしまい、入賞できなかった事が一番悔しかったのでしょう。そのまま泣き続けるA子ちゃんに、ママは謝り、親子は無事に仲直りしました。
A子ちゃんのママがやった事は、ずるい事かもしれません。けれども、ついわが子を助けたくなる母心も理解できますので、私は聞いた事は他言しない事をA子ちゃん親子に約束しました。
数日後、A子ちゃんのママと偶然街中で会いました。本人の希望で、A子ちゃんは美術教室に通い始めた事を聞きました。
その後、市の公募ポスターの応募に挑戦したA子ちゃんは、見事小学生の部で入賞! 市役所で誇らしく表彰状を受け取るA子ちゃんの姿が、広報で紹介されていました。
(ファンファン福岡一般ライター)