息子たちは、時々「見えないお友達」がいるかのようにして遊んでいることがあります。 小さな子どもがいる友人からもこんなことがあると聞いていたので、あまり気にしなかったのですが…。 ある日息子が私に見せようとした、見えないお友達。その正体に思わず涙してしまった体験談です。
子ども達の“お友達”とは
私の二人の息子たちは、一時期、まるで「大人には見えないお友達」がいるかのようにして遊んでいることがよくありました。突然、誰もいないところに向かって、おいでおいでをしてみたり。遊んでいる途中で、バイバーイ、と手を振ったり。
ふざけてやっているという感じではなく、一連の遊びの流れの中で自然に…といった感じの振る舞い方です。 以前、小さな子どもを持つ友人からも、これと似たような話しを聞いたことがありました。
「うちの子、どうも目に見えないお友達がいるみたい」
「もしかしたら、幽霊とかが見えているのかも…」
小さな子どもたちは私たちとは異なり、余計な先入観は持たず、感じたものをそのまま受け止めているのかもしれません。だから、大人には見えない、「子どもだけに見えるなにか」があっても、おかしくはないかな…と思ったりします。
「見えないお友達」と遊んでいる息子たちを見ると、怖がったりする様子は全くなく、むしろ楽しそうにしています。万が一、幽霊だったとしても、きっと悪いものではないのだろうと思います。
なので、私も「見えないお友達」のことはさほど気にせず、そのままにしていました。おそらくは、息子たちの空想遊びの一つなのでしょう。大きくなっていくにつれて、そういったものも見られなくなっていくはずだと思っていました。
しかし、ある日のこと。洗濯物をたたんでいる私のところへ次男がトコトコと近づいてきました。そして、私の袖をひっぱると、
「ほら見て、ワンワン」。促されて次男の指す方を見てみたのですが、ただ、カーテンが揺れているだけ。
「ワンワン?」半信半疑で次男に聞いてみると、次男は私の顔を見て、
「ワンワン、お母さんが好き」と。
涙の理由
それを聞いた瞬間、昔飼っていた愛犬の姿が鮮烈に頭の中によみがえってきました。家族の中でも私に特に懐いていた、可愛い愛犬。でも、たちの悪い動物病院に入院させてしまったせいで最期を看取ってやることができず、後悔の残る別れをしたのでした。
もしかしたら、息子たちの「見えないお友達」って、私の愛犬だったの…? 鼻の奥がツーンとして、目には思わず涙。
「ワンワンのこと、教えてくれてありがとう」そう言いながら次男を見ると、次男は自分が指差した方に「バイバイ」と手を振っていました。
「見えないお友達」の正体が私の愛犬だったのかどうか。実際のところ、その真偽を知る術はありません。けれど、可愛がっていた愛犬が自分の子どもたちと遊んでくれているのかも… と、その姿を思い浮かべるだけで、なんだかとても懐かしく、温かい気持ちになる私なのでした。
(ファンファン福岡一般ライター)