乗り物酔いしやすい体質のお子さんをお持ちの親御さんなら、乗車前に「これだけは絶対に食べさせたくないもの」があると思います。 筆者の娘の場合、冷たくて甘い乳製品です。例えばアイスクリームや飲むヨーグルト、シェイクを普通に食べても気持ち悪くなりませんが、車や電車に乗る前に食べるとてきめんに酔って嘔吐するようです。この法則が分かってから、乗車前は冷たくて甘い乳製品は絶対厳禁! それにも関わらず義母がやらかしてしまったのです…。
甘いものを与えてしまう義母
昨年、義実家へ帰省した時のこと。帰りの新幹線に乗る前、義母に子ども達を預けて、車内で食べるお弁当を買いに行きました。
「子どもが酔うので、冷たくて甘い乳製品は絶対に飲ませないでくださいね。そこの喫茶コーナーでお茶を飲ませてください」 そう言い残して買い物へ。
10分後に喫茶コーナーへ戻ると、シェイクのLサイズをゴクゴクと飲む娘がいました。「あーあ… 駄目だって言ったのに、なんで飲ませるんだろう」と腹が立ちますが、義母に怒るわけにもいきません。
「なーに飲んでるの? また気持ち悪くなっちゃうよ。冷たいお茶にしておきなさい」そう言いながらシェイクを取り上げ、娘の飲み残しをストローでズズッと吸い上げると妙に甘ったるく、ドロリとした液体とザラザラと残るものが舌にまとわりつき、口内を不快にします。
それはただのシェイクではなく、ご当地銘菓の和菓子を一緒にミキサーにかけたものでした。
これは普通に飲んでも気持ち悪くなる…。 新幹線の出発時間も迫っていたため、娘には、車内で吐き気止めの薬を飲ませようと新幹線に乗り込みました。昼食の時間帯だったため、車内ではお弁当を空けている人がたくさんいます。 ムワンとした空気に、お弁当の匂いが混じっていました。
娘が嘔吐して地獄絵図に!
席に座ったその時です。娘の喉がぐぐぅっと嫌な音を立ててなり、突然マーライオンのように嘔吐したのです。まき散らされたシェイクの海に、ぐったりと倒れ込む娘。
地獄絵図のような事態に一瞬意識が飛びそうになるものの、現実逃避している場合ではありません。慌てて娘に
「大丈夫だよ。すぐきれいになるからね」と声をかけます。
娘の横の席には、姉の嘔吐に驚いた息子がいて
「ねぇねぇーー! おえーしたの!(お姉ちゃんが、おえーって吐いたの)」と、わぁわぁと騒いでいます。娘を励まし、息子を落ち着かせながら手早く片づけていきました。
子育て中のママなら、みんな持っているおしりふきシートで子どもの洋服やシート、床を拭きました。 それが足りなくなると、トイレに走ってトイレットペーパーを拝借。あらかた拭き取り、洋服を着替えさせても、嘔吐の臭いは消えません。
車掌さんの神対応
密室の新幹線でこの臭いはキツイ…! 頭を抱えていたら、車掌さんが通りかかりました。
「すみません…! 子どもが嘔吐してしまいました。臭いが残ってしまって、周りのお客様にも迷惑になってしまうので、このシートを外して洗うことできますか?」と尋ねました。
車掌さんは
「乗車途中でシートを外して洗うことはできないんですが… 少々お待ちください」と言い、手洗い場に向かうと、棚の鍵を開けて、スプレーを取り出しました。
「消臭スプレーです。良かったらお使いください」
そのスプレーを座席のシートや床に吹きかけたところ、あっという間に臭いが消えてしまいました。
「こちらもお使いください」とたくさんのウェットティッシュを持ってきてくれた車掌さんにお礼を伝え、消臭スプレーを返しました。
その後は、子どもに酔い止めの薬を飲ませて、なんとか4時間の乗車時間を耐え抜くことができましたが、内心「どうして『絶対に飲ませないで』とお願いしていたのに、買い与えるんだろう」と義親への苛立ちが募ります。
帰宅次第、新幹線の中で娘が嘔吐してしまったことを義母に伝えました。 乗り物酔いしやすい体質の娘は、乗車前に冷たくて甘い乳製品を飲むと必ず気持ち悪くなること。4歳の子供にとって、Lサイズのシェイクは大きすぎること。可愛い孫がどれだけねだったとしても、義父と義母にはなんでも言うことを聞いて甘やかすのではなく、駄目なものは駄目だと強い態度でいて欲しいと、きつく伝えました。
きっと今後、こんな悲惨な事態にはならないでしょう。そして落ち着いた今、気になるのはあの消臭スプレーがどこのものだったのかということ。あの消臭力、オムツ臭で悩む我が家のトイレに導入したいです。
(ファンファン福岡一般ライター)