いよいよ受験シーズンに突入し、受験勉強に勤しむ学生も多いことでしょう。本番まで限られた時間しかない今、勝負の鍵を握るのは“集中力”。短時間で学習効果をあげるだけでなく、試験で100%、ときにはそれ以上の力を発揮するためにも欠かせない要素と言えるでしょう。 今回は、受験シーズン追いこみのこの時期に向け、短時間で学習効果を上げるコツを、百ます計算のメソッドで有名な陰山英男先生にご協力いただきご紹介します。
■勉強前に飲むものによって問題を計算のスピードが変化する?! 事前に飲むものによって計算スピードが変わるのかどうか、一般的な飲みもの3種で比較実験を行いました。その結果、テスト完了までにかかる平均タイムは 1.オレンジジュース、2.お茶、3.水の順で短いことがわかりました。 調査方法:テスト結果(タイム)比較調査 調査対象:陰山英男先生が主宰する学習塾に通う5~10歳男女 計14名(うち4名は調査前の平均タイムスコアはなし) 調査期間:2017年11月下旬~12月初旬の3日間 調査詳細:調査期間3日間のうち1日は、対象者14名にオレンジジュース(200ml)を摂取してから、塾での通常時のフローとして、深呼吸(1~2分位)・音読(約10分程)を実施し、各レベルに応じた100ます計算/50ます計算を行ってもらう。もう1日は同じく対象者14名が、水(200ml)を摂取してから、深呼吸・音読後、レベルに応じた100ます計算/50ます計算を行ってもらい、完了までの時間を測定。さらにもう1日では、対象者14名が、お茶(200ml)を摂取後、深呼吸・音読をし、各レベルに応じた100ます計算/50ます計算を行ってもらい、完了までの時間を測定。以上3条件での完了時間の差を検証する。なお、飲用する順番は無作為で入れ替えることとする。 【何も飲まないときの標準タイムと勉強前に飲みものを摂ったときのタイムの比較】 全員タイムを縮めたのはオレンジジュース 生徒10名の普段の計算完了平均時間=標準タイムと、各種飲料摂取後の計算完了時間を比較検証してみたところ、オレンジジュースを飲んだ後では全員がタイムを短縮していました。一方、お茶を飲んだあとは1名が同タイムをキープ、2名がタイムダウン。水では4名が以前より計算が終わるまで時間がかかってしまう結果となってしまいました。 これら3種類の飲料の中ではオレンジジュースが最も計算スピードに良い影響を与えるようですが、この結果について陰山先生は「実験では、オレンジジュースのときは、わあ!と嬉しい声や、『おいしい』といった声がありました。オレンジジュースは子どもたちの気分の向上につながりやすく、さらにそのポジティブな気分が集中モードに入るためのよいスイッチになるという好循環が生まれたのでは?」と推測されています。
それぞれの飲料を飲んだ後と、標準時(何も飲まずに計算)の平均計算時間を比べる※と、下図(棒グラフ)のような結果となりました。最速はオレンジジュース飲用後の111秒。対して最も遅いタイムとなった水では134秒かかっており、23秒の差が見られました。オレンジジュースとお茶の飲用後は大幅に計算時間を短縮する子が多く、学習前に集中スイッチを入れるアクセントとして期待できそうです。 ※100ます計算で実験を実施した8人で検証
【3種の飲みもの別平均タイムの比較】 3種の飲みものの中で最も好影響を与えるのはオレンジジュース 次に、被験者全員に、水・お茶・オレンジジュースを飲ませた後の平均タイムをそれぞれ比較しました。オレンジジュースと水では、オレンジジュース飲用後にタイムが縮まった子が12人。オレンジジュースとお茶では、オレンジジュース飲用後にタイムが縮まった子が9人おり、3種の飲みものの中ではオレンジジュースが最も計算時間を短縮する傾向が見られました。 また、お茶と水を比較するとお茶のほうがタイムが縮まった生徒が多いことがわかりました。これら3つの比較から、集中して学習に取り組み、計算時間を縮める効果は 1.オレンジジュース、2.お茶、3.水の順になるのではと推測されます。
【3種の飲みもの別平均タイムの比較】 3種の飲みものの中で最も好影響を与えるのはオレンジジュース 次に、被験者全員に、水・お茶・オレンジジュースを飲ませた後の平均タイムをそれぞれ比較しました。オレンジジュースと水では、オレンジジュース飲用後にタイムが縮まった子が12人。オレンジジュースとお茶では、オレンジジュース飲用後にタイムが縮まった子が9人おり、3種の飲みものの中ではオレンジジュースが最も計算時間を短縮する傾向が見られました。 また、お茶と水を比較するとお茶のほうがタイムが縮まった生徒が多いことがわかりました。これら3つの比較から、集中して学習に取り組み、計算時間を縮める効果は 1.オレンジジュース、2.お茶、3.水の順になるのではと推測されます。
■陰山英男先生 インタビュー 100ます計算や音読を取り入れた徹底反復学習により、児童の成績を著しく伸ばす「陰山メソッド」。メソッドを採り入れることで、反復学習している内容のみならず、異なる科目の成績までもが上がると評判となり、現在では全国各地の小学校の授業で採用されています。この陰山メソッドのカギを握るのが“集中力“。「集中力を獲得するために、勉強をするのだ」と断言される陰山先生に、今回の実験での果汁と計算スピードとの相関性や集中力を高める工夫についてお話を伺いました。
―今回ご協力いただいた実験では、オレンジジュースを飲んだ後のほうが飲用前、そして水やお茶よりも計算の平均タイムが向上するという結果となりました。なぜ、果汁を飲むことで成果が上がったと考えられるでしょうか? 「オレンジジュースを始め、果汁ジュースには糖分が含まれていますよね。適量の糖分を、最適なタイミングで身体に摂り込むことは、学習能力を向上させるのに効果的だと考えています。私の経験上、朝ごはんを食べないで、登校するお子さんは授業に集中できないことがほとんど。それが続くと基礎学力もどんどん下がり、学校がつまらなくなって生活全般も乱れていくという負のスパイラルに陥ります。その点、果汁ジュースは液体で素早く糖分を摂取できますよね。 また、お茶や水と比べ果汁の方が甘くておいしく、子どもたちが嬉しい感情を抱き、楽しくリラックスしたことで、より集中力が高まった可能性も考えられます。子どもに対して怒ったり罰を与えるなどのプレッシャーを与えて緊張させることは、集中力を阻害し逆効果。子どもたちは萎縮すると集中できなくなってしまうんですね。 子どもを集中させるためには『楽しくリラックスした気分にさせること』が一番。僕が授業を行うときは、常に『いかに子どもたちを笑わせるか』に注力しています。 集中力を発揮するのに必要なのは、リラックス、睡眠、食事の3つ。その点、オレンジジュースの風味は子どもの集中力をONモードに切り替えるのに適しているのかもしれませんね」 受験生はもちろん、みなさんも集中力の維持やUPのため、生活習慣のアクセントとして朝食時や勉強前に果汁を飲む習慣づくりをしてみませんか。