子どもが入院する場合、親が24時間付き添うことを求められる病院は多いものです。可愛い子どものためとはいえ、親にとっても大変な付き添い入院。それが、大部屋ともなれば、さらにストレスフルな状況に陥ってしまうこともあるのです…。
急遽、入院となった次男
数年前のクリスマスの夜、3歳の次男は救急病院で点滴や酸素のチューブにつながれていました。 突然呼吸困難に陥った次男は肺炎を起こしており、小児科に入院することになってしまったのです。 私もそのまま次男に付き添うこととなり、しばらく二人で入院生活を送ることになりました。
入院当初は体調が安定せず、見ているこちらが辛くなるような様子の次男でしたが、幸い2~3日で症状も快方へ。 一般病棟の二人部屋へ移動が決定しました。それまでは私も次男の看病でほとんど眠ることができず、睡眠不足でフラフラだったので、少しは休めるようになるかも… と、移動を楽しみにしていました。
ところが。いざ部屋を移ってみると、その希望はみごとに打ち砕かれてしまったのです。 カーテン一枚隔てただけで、二組の親子が入院生活を送ることになる二人部屋。どうしても生活音が筒抜けになってしまうので、ある程度は「お互い様」かとは思うのですが…。
同室の付き添いママときたら、
「も~、これ見たら終わりだからね!」と言いながら、深夜1時ごろまで子どもとDVD鑑賞。
しかも、ママの歌に合わせて子どもが棚をドンドン蹴ってリズムをとるというおまけつき。これでは隣の音が気になって眠れません。
結局、隣の子どもが寝落ちする深夜2時~3時まで、イライラしながら起きているほかありませんでした。
まさかの訪問者
その翌日、せめてお昼寝で体力の回復を… と思い、昼食後に次男と横になっていると、突然隣からガヤガヤと話し声が聞こえてきました。
「あら~! 〇〇ちゃん! クリスマスなのにかわいそうにねぇ!」
「ほら、ケーキ食べて元気出して!」 同室者の祖父母や親戚が大勢で押しかけ、ケーキを食べつつ大騒ぎ。
一般病棟に移ったとはいえ、熱もまだ高く、酸素の吸入もしている次男。ゆっくり寝かせてやりたいという思いもむなしく、ウトウトしているところを起こされた次男は、グズグズ泣き出しました。
具合の悪い子どももいるんだから静かにしてよ! 喉まで出かかっていた言葉をやっとのことで飲み込み、ひたすら次男を抱っこしてあやし続けました。 しかし、その日の深夜のこと。
母親の一言にドン引き
「もっとDVD見る~!」とお隣の子どもが叫ぶ声で起こされてしまった次男は、両耳を手でふさいで
「隣、うるさい~!」と、泣きながら訴えてきました。
すると、同室の付き添いママはカーテン越しに舌打ちしながら、
「そっちも点滴のアラームうるさいやろ!」と吐き捨てるように言ったのです。
文句を言ってくるんなら、自分もマナーを守ってからにしてよ!! さすがに我慢の限界を超えてしまった私は、ナースセンターへ。同室者との生活のリズムが違い過ぎて、次男も私もここ数日間ろくに睡眠がとれていないこと、できれば別の部屋へ移動させてもらいたいということを看護師さんに相談しました。
看護師さんには、
「そうですよね…」と同情されつつも、他の部屋に空きがないので移動は不可能とのこと。ただ、同室者は翌日には退院するとのことなので、もう一晩だけ我慢をしてみることになりました。
そして、翌日。同室者が退院して、平穏な入院生活を取り戻した私たち。 その日はそれまでの疲れが一気に出たのか、ちょっとお昼寝のつもりが、夕食が運ばれてくるまでの間、二人で泥のように眠ったのでした。
(ファンファン福岡一般ライター)