これはわが子が小学校3年生の時の出来事です。わが子は運動が得意ではなく、特に泳ぐのが苦手…。だけど体育の授業もプールも大好きです。1学期終業式前に、小学校では恒例の通信簿を受け取る一大イベント「個人懇談」があった時のこと。 冷房のない小学校の教室で通信簿を見せられ、暑さとわが子の成績にクラクラしていると、担任の先生が「ところで夏休みのご予定は…」と言いながら一枚のプリントを取り出しました。ふと、目をやると「プール補習申込書」と書かれてあります。
夏休みにプールの補習?!
「○○さんは目標の13mが泳げないので、夏休みのプール補習に参加してください。もちろん、ご家族の予定があれば休んでも構いません」とのことで、日程表の出欠に〇をつけて参加申込書を期日までに提出することになりました。 わが子はスイミングスクールに通わせていないので、泳げないもの不思議ではありません。しかし、それ以前にわが子が通う小学校は1学期に5回(2時間×5回=10時間)しかプールの授業がありません。 しかも、梅雨の時期は雨で中止になったりして5回も入れるかどうか…。
他の学年との兼ね合いや調整で、毎日のようにプールに入れない状況なのです。 私が小学生の頃は、毎日のようにプールの授業があり、夏休みもお盆以外はプール講習に行っていた記憶があります。泳げる距離やタイムで級分けされ、階級が上がるごとに水泳帽に黒線が増えて、スイミングスクールに通っていなかった当時の私でもメキメキ泳ぎが上達していきました。
まあ、泳げないのも仕方ないかなと思いつつ、わが子に
「今、何級なの?」と聞いてみると…。
わが子から衝撃の一言!
「級じゃないよ。私はメダカ」
「ん?!?! メダカ!?」
「5m泳げない人はメダカで、5mから13m泳げる人はトビウオ」メダカとトビウオ… 分かりやすいような、分かりにくいようなクラス分けに私は戸惑いつつ、その上の例え魚に興味津々。
「13m泳げても25m泳げない人は、イルカ。25m泳げる人はクジラ」 5回程度のプールの授業で、13m泳げなかったメンバーは、スイミングスクールに通っていない児童ばかり。送迎ついでに、メダカとトビウオのプール補習を覗いてみると、先生が付きっきりで指導していました。
近頃の先生は全身日焼け対策で、ラッシュガードや長袖シャツを羽織り、長ズボン姿。スキューバーダイビングのような姿にも驚きました。うだるような暑さの中、わが子は夏休み中に小学校に頑張って通い、冷房のない教室で着替え、汗だくでプール補習に挑みました。
しかし夏休みのプール補習も90分×6回程度で、結局わが子は目標達成できず終い…。5mがやっとという結果に終わりました。
「お母さん! 大きいプールに連れて行って!!」 その結果が悔しかったようで、練習をしたい様子のわが子。これは気合いを入れて付き合わなければ… と私も一大決心。 メダカ卒業を目指して、健気に頑張れ! と親子でプールに通った忘れられない夏になったのでした。
(ファンファン福岡一般ライター)