東アフリカの息吹を感じる!『マコンデ美術館』(三重県伊勢市)に行ってきた。

皆さん、マコンデ美術館をご存知ですか? なんと三重県伊勢市にあるのです。鳥羽駅からタクシーで10分ぐらいの風光明媚な場所。 そこに、どどどーんと、立派なマコンデ美術館が建っているのです。

出典:ファンファン福岡

私、モザンビークでもうかれこれ6年間、マコンデ族と暮らし、NGO活動も一緒にやっているというのに、日本のマコンデ美術館に行ったことがなかったのです。 今年も「マコンデ族の音楽と文化交流ツアー」のため、全国奔走どたばたで、今年も断念か…と思っていたのですが、8月の台風で予定していた東京→福岡の飛行機が欠航になり、急遽、これはチャンス!と、台風の夜に新幹線で名古屋へ移動し、翌日、念願のマコンデ美術館を訪問しました。 マコンデ美術館は、世界初のマコンデ彫刻専門の美術館ということです。しかも、私設美術館!しかし、2000点ものマコンデ彫刻を収集しているのです。 館長の水野さんは、現在76、7歳。もともと名古屋市で鉄工所を経営していて、40年ほど前からマコンデ彫刻に魅せられ、収集を始め、50歳の時に、鉄工所をたたみ、美術館まで建てしまったのです。凄まじい情熱です。

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マコンデ族はもともとモザンビーク北部とタンザニア南部にかけて居住しており、儀式・舞踏に使う仮面を製作していました。その後、交易のため多数彫刻作品を製作し、世界で知られるようになりました。 マコンデ彫刻は黒檀という樹木を使う作品で有名です。輪切りにすると外側が白く、内側が真っ黒。成長が非常に遅く、とても固いのですが、換金価値の高い樹木で、違法伐採が問題になっています。 ちなみに、このマコンデ美術館にあるのは、タンザニア側のマコンデ族のものということです。館長さんにはぜひぜひ、モザンビークのマコンデ族にも会ってほしい! マコンデ美術館には、2メートルを超える巨大な作品もたくさんあって、圧巻です。 マコンデ族といえばマピコ舞踏なのですが、舞踏で使うマピコの仮面(入れ墨と鼻の下に大きなピアスを入れた、伝統的なマコンデ族の人の顔をモチーフ)をはじめ、交易用に作った大きな仮面、マコンデ族の人々の暮らしや、動物や精霊、悪魔といった立体彫刻作品もあります。

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大きな作品だけでなく、かわいらしい手のひらサイズのマコンデ彫刻もあり、私がとっても気に入ったのは、マピコ舞踏の太鼓(ニアという種類の太鼓)を叩く立像。

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こんな大きさと数のマコンデ彫刻、モザンビークでも見たことない!というものばかりでした。声を大にして、オススメしたい美術館です。 ちなみに、マコンデ族が住んでいる我が地域での、マコンデ彫刻の所有状況について語ると…。 スラムの私の家から徒歩3分のところにマコンデ彫刻の小さな工房がありますが、旅行客用の作品を作っています。マコンデ彫刻は一般庶民には高価なので、家の調度にマコンデ彫刻があるというのは、お金がある家のみで、スラムの家庭には飾っていません。 マコンデ族のふるさとのムエダ村でも、立体彫刻を飾ることはないですが、マコンデ族の伝統であるマピコ舞踏の仮面を、壁に飾ることはあります。マピコの仮面は、家を守る力を持っていると考えられているとのことです。

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マコンデ族に関するいろいろな資料を読むと、ほぼ欧米の大学で出版されているものなのですが、誤った情報が多々あり、本の表紙写真からマピコの仮面でない仮面を、マピコ仮面と紹介されていたりするので、早く正確な情報収集をしないと!と、考えています。 マコンデ族は筆記文化がなく歴史や文化が口伝で継承されていて、文化継承が希薄になっているので、時間をかけてでも、コツコツとマコンデ族の昔物語や歌、数ある舞踏の収集と分類等を行っていきたいと思っています。 マコンデ美術館 住所:三重県伊勢市二見町字松下1799 開館時間:午前9時~午後5時 休館日:火曜日(祝日の場合は翌日)、6月と12月の第二週平日 入館料:大人千円、高校生八百円、小中学生六百円

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